2011.4.28 01:30 [Thu]
コワイモノ
「ここからの眺めはオススメらしいっスよ。…どうしたの?」
「いや、…おれ、高所恐怖症なんだ…。」
「え?そうなの?」
「うん…わりぃ。」
「手、繋いでく?」
「いや、いい。…人、いるし…。」
「気にしないと思うけど。」
「俺が気にするんだよ!…それに、繋いでたって無理だと思う。」
「繋いでれば落ちる時は一緒っスよ。アタシが落ちる時も巻き添えにしますけどねン。」
「何言ってんだよ。」
「はは。…言ってくれればよかったのに。」
「ごめん。浦原さんが、今日色々考えて予定組んでくれたのわかってっし、その、…せっかくのデート、なんだし、さ。」
「…顔赤いっスよ。」
「っつ…言うなよ!アンタこそ無いのかよ、怖いもの!…って、無さそうだな…。」
「失礼な。怖いものくらいありますよ。」
「え、あんの?なに?」
「嬉しそうっスねぇ…君ですよ。」
「へ?」
「アタシは君が怖い。」
「な、んで。」
「君の一挙手一投足に一喜一憂してしまう。君の言動にびくびくと怯えてしまう。…君が好きだから。」
「…う、ら、はら、さん。」
「はい?」
「ん…。」
「なに?手、繋ぐの?」
「帰ろう。」
「楽しくない?」
「…ここじゃ何も出来ない…。」
「…!」
「帰って、から。またちゃんと聞かせてくれ。」
「…はい。じっくり含めて聞かせましょ。」
「普通でいい!」
「えー。」
「…お、れも。ちゃんと、言う、か、ら…。」
「…君ってコは、ほんとに怖いなぁ…。」
「はぁ?…って、なに笑ってんだよ!」
「だって、嬉しいっスもん。」
「”もん”とか言うな。…恥ずかしいやつ…!」
「一護サン真っ赤。」
「うるさい!」
【×××フォビア!】
「ああ、だから君アタシが家に誘ったとき何階に住んでるか訊いたの。」
「まぁ、そう。ビルなんかの建物はわりと大丈夫なんだけどな。…窓に気をつければ…。」