『台詞一つでショートショート』なお題バトン?
小説(ショートショート)用の、ちょっと特殊なお題バトンです。
文中のどこでも構わないので
「幸福も不幸も善も悪も、所詮それぞれの価値観でコロコロ変わる様な薄っぺらいものだと思わない?」
を入れてショートショートを創作して下さい。ジャンルは問いません。口調等の細部は変えても構いません。
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ほぼ同じ台詞を連載に組み込む予定でした。
という事なので以下予行練習。
設定公開しない不親切設計m(__)m
かなり先のネタバレになる可能性はあるけど、辿り着くまでに力尽きたらごめんなさい。
…書き終わって思ったけど、長くない?
「こんな運命、知らない…。」
繰り返して知っているはずの運命なのに現れた知らない〈ひと〉の存在。
それが怖くて無意識に呟いた瞬間、私に背を向けていたその〈ひと〉が振り向いた。
「あ、」
顔の上半分を覆う、無機質な白い仮面。
その下に見える唇が緩く弧を描いた。
聞いちゃいけない。
こわい、そう思うのに。
なんでか懐かしさを感じる存在。
彼女の言葉を聞くのが怖い。聞いたらきっと今までしてきた事の全てがダメになる。
そう、思うのに。
聞かなきゃいけない。聞かなきゃ後悔する。あの人の言葉は聞かなきゃいけない。
大切な言葉だから。
耳を塞ぎたいのに塞げない。目を逸らしたいのに逸らせない。
耳は彼女の言葉を一言も聞き漏らさないように周りの音を意識から外して。目は彼女の仕草の全てを焼き付けるように、一挙手一投足を見逃さないように追い続ける。
あいたかった。
無意識にそう思ったら、彼女の唇が言葉を紡ぐ。
それをただ、スローモーションの様に感じながら、私は見ていた。
「それが生きると言う事だよ、神子殿。」
神子殿。そう呼ばれた事がなんでか悲しくて泣きたくなる。
それでも私は彼女から目を離せないし、彼女の言葉を遮るなんてできなかった。
「幸福も不幸も善も悪も、所詮それぞれの価値観でコロコロ変わる様な薄っぺらいものだと思わない?
だから命は一度きり。誰も繰り返したりできないし、やり直しなんて利かない。
やり直す事ができたなら、誰かがやり直す度に他の誰かがやり直して前に進まない。
万人に都合の良い運命なんて存在しないよ。」
それは私はにとって絶対に言われたくなかった事で、目を逸らし続けていたかった事。
そして、
彼女に言わせてはいけなかった言葉。
「何かを選ぶ事は何かを選ばない事。
だから大きな選択は安易にしてはいけない。
…理解できなかった?」
それとも繰り返す内に忘れちゃった?
唇だけで告げられた言葉を容易に理解してしまった。音にされなかった言葉が私の中で音を成し温度を持って響き渡る。
彼女が誰だか分からない。
だけど私は彼女に失望された。
それが言葉から伝わってきて、気がついたら泣いていた。
お願い、きらわないで
願いは届かない
神子様視点でした。
連載は別視点の予定。
これはいつか修正して、サイトに番外扱いであげるかも