不思議の國【擬似アリス】
(20100425)
Mr.支離死滅。
思いつくままに書いたらこうなりました。矛盾上等^p^←
一応アリスモチーフですが詳しくないです、ごめんなさい。
あと一部びーでえるなので苦手な方注意
台詞オンリーだよ!▼
――――とある兎の竅の先
「っきゃあああぁあ!?、いっ……つぅ…」
「…ようこそ、アリス。不思議の國へ。追い掛けてくれてありがとう、君を歓迎するよ」
「あっ、さっきの白兎っ…、ッ!?な、えっ、人の姿…!?」
「…そんなに驚かれてもな」
「驚くわよ!」
「まあいいじゃないか」
「っ…何で、私を……ッ」
「…その資格が君にはあったから。帽子屋たちは“少年”アリスを手に入れたんだ。それによって僕達は“少女”のアリスを捜す必要が出来てしまった」
「何よそれ。少年?少女?じゃあ別に私じゃなくてもいいじゃない…」
「駄目だよ。資格があったのは君だ。君なんだよ、アリス。君じゃないと駄目なんだ」
「……私は、普通の女の子よ…地元の中学に通う、ただの女の子なのに…」
「……」
「それに私の名前はアリスじゃない…有紗(アリサ)、それが私の名前だもの…!」
「……君がそう思いたいならそうすればいい。だがこの世界では君はアリスの一人なんだ。それが君に与えられた役なんだから」
「っ……兎耳!」
「白兎だよ。または時計兎。…何、アリス」
「帰る方法は無いの?」
「……君は僕の話を聞いていた?」
「だって現実味が無さ過ぎるわ。ちょっと頭を捻ってはみたけれど…まず時計兎、貴方みたいに兎が喋って、人の姿に変身して、兎耳が生えてる時点でこれは可笑しいのよ!夢なら早く私を現実に帰して頂戴」
「夢……あぁ、そうなのかもね。此処は夢の世界なのかもしれない…君がそう思いたいならそうすればいい。でもねアリス。帰ろうなんて言っちゃあいけない。今の君は此処の住民だ」
「私の住む街はこんな所じゃないわ!もっと普通な、住宅地が立ち並ぶ場所だもの!」
「此処ではこれが普通さ。…そういえばアリス、君の知り合いが数年間行方不明なんだってね」
「え?…な、何で…知って…っ、まさか有徒さんを知ってるの!?」
「ああ、彼アリトって言うんだ。17歳くらいの少年だろう?知ってるさ。彼はね、
少年アリスなのさ」
「…………え……」
「もう5年は経ったかな…随分と綺麗になったよ、彼。あの帽子屋が庇護欲に駆られてるんだ、異常だよあれは。帽子屋以外も、彼のことはみんなが大好きさ」
「………」
「彼の存在はね、今は抑制剤なのさ。帽子屋集団と、僕らハート城集団とのね。今は一応帽子屋が彼の“核”を所有してる。でも彼はうちにもよく来てくれてね…女王は彼をもてなしつつ、色々なことを調べ上げたのさ」
「色々なこと…?」
「ああ。まあそれについては僕もよくは知らないから割愛するけど。そしてその結果、女王は“アリスはもう一人いる”ということを知った。同時にそれが少女であることもね。その後は、まあ…分かるね?」
「……えぇ。貴方に命じて、私を此処に連れてきた」
「ご名答。説明になりえたかどうかは僕の預かり知るところではないけれど、そんなところだ」
「正直訳が分からないわ」
「奇遇だね、僕もそう思う」
「……………………」
「ていうか、僕なにを何処まで話したっけ…?たまに記憶飛ぶんだよね」
「都合いいわね……」
「そういう風にしてるからね、今は」
「…向かってる場所についたらちゃんと一からもう一度説明しなさいよ。納得なんて全然してないんだから!」
「分かってるよ。でも少年アリスの件は事実だ。僕の説明は穴だらけだけど、情報に誤報はない」
+++
――――とある帽子屋の邸
「………チェシャ…」
「ああ、気付いてる。ついに来たな、お前の対となる存在が」
「チェシャ……俺は…どうしたらいい…?」
「どうもしねえさ。いつも通りのアリスでいればいい。俺たちのアリスが二人になる。ただそれだけさ」
「……チェシャ………」
「アリス?」
「…彼女はハート城に引き取られるみたいだけど…今の均衡はいつまでもつんだろう。下手したらすぐにでも、俺という抑制剤で保たれていた均衡が崩れる……別に、彼女の所為では無い。それは分かってるよ。さぞ不本意だっただろうね、かつての俺と同じように…でも、でもさ……っ」
「…アリス」
「!……チェシャ…」
「今はまだ大丈夫だ、アリスが望まなければそんな簡単には均衡は崩れやしないさ。…少女アリスがハート城に連れて行かれたのは幸いだったな。ウチに来てたらその時点でドカンだった」
「……チェシャ」
「何だ?」
「…もっと強く抱いてよ。名前…読んで」
「………アリト」
「……チェシャ…っ……」
「…大丈夫なのか?帽子屋に怒られるぞ」
「いいよ……別に大丈夫」
+++
――――とある邸の門
「退屈だねぇ兄弟」
「退屈だなぁ兄弟」
「そういえばさっきの、あれって二人目のアリスが現れたんだよねぇ」
「ああ、そうだなぁ。ハート城の方に行っちゃったみたいだけどなぁ」
「僕らのところには来てくれなかったねぇ」
「バランスを保ったんだろうなぁ」
「そうだねぇ、僕らのところには」
「そうだなぁ、兄弟」
「「第三のアリスがいるんだから」」
「でもさ兄弟、僕らって雇われではあるけど帽子屋の所属だよねぇ?」
「いいんじゃないかぁ?保管場所に困ってた僕らを、事情は世間に内密で雇っただけさぁ。だからアリスは僕らのさぁ」
不思議の國に存在する少年アリス、少女アリス、そして――第三のアリス。
均衡が崩れた時、彼らは―――