話題:SS
ことごとく赤信号に引っ掛かる“赤信号の当たり日”なるものが存在するが、それに準(なぞら)えるならば、その日は“間違い電話の当たり日”であった。なんと午前中だけで7度も間違い電話が掛かって来たのだ。
その日は日曜で私は録画しておいた映画をリビングで一人観ていた。ちなみに間違い電話が掛かって来たのは携帯ではなく全て“家電”の方だ。以下、簡潔にその内容を順を追う形で記そうと思う。
‐1本目‐
電話の着信を報せるメロディが鳴り響いた。
ガチャリ。
私「はい、もしもし」
相手「もしもし、佐藤さんのお宅ですか?」
私「……いえ、違いますけど」
相手「あ、すみません。間違えました」
ガチャリ。
極めてオーソドックス、絵に描いたような間違い電話だ。私は気にも留めなかった。が、その直後……
‐2本目‐
電話の着信を報せるメロディが鳴り響いた。
ガチャリ。
私「はい、もしもし」
相手「わたくし、中尊寺綾女と申しますが、武者小路先生は御在宅でいらっしゃいますでしょうか?」
私「…あの…うちは武者小路ではありませんが……」
相手「ああ…これは大変失礼致しました。何卒、ご容赦下さいまし。それでは、ご機嫌よう。ごめん下さいまし」
ガチャリ。
何だろう。単なる間違いと言えば確かにそうなのだが、先程の庶民的な間違い電話に比べ、いささか品格が上がっているような気がする。さしずめ高級な間違い電話と言ったところか。もっとも、間違い電話に高級も低級もないだろうが。それにしても、立て続けに間違い電話というのはちょっと珍しい。
‐3本目‐
電話の着信を報せるメロディが鳴り響いた。
ガチャリ。
私「はい、もしもし」
相手「ハロー、Mr.マイケル、ハウアーユー?」
私「え……あの、失礼ですがどちらさまで?」
相手「マイケル・マイケル、ハウスOK?」
私「いえ、違いますけど」
相手「ウップス!オー、テレフォンミス!ソーリー、ソーリー、ヒゲソーリー、アベソーリー!」
私「あの…日本人の方ですよね?」
相手「アウチ!バレました?」
私「ええ、だって英語めちゃくちゃですもの」
相手「……と言う事で、間違えました。失礼しまーす」
ガチャリ。
3連続間違い。しかも外国人。と言うか、マイケル・マイケルなんて名前の人、本当にいるのだろうか。ああ、でも、マイケル・ジャクソンがいてジョージ・マイケルがいるのだから、マイケル・マイケルがいてもおかしくはない訳か。同様に、リッチー・ブラックモアがいてライオネル・リッチーがいるのだから、リッチー・リッチーが存在する可能性もある事になる。でも、もし私の名字が三木だとしたら、娘の名前にはミキ以外を選ぶと思うけど。
‐4本目‐
電話の着信を報せるメロディが鳴り響いた。
ガチャリ。
私「はい、もしもし」
相手「深紅の薔薇を百本、それで花束を作って贈り届けて貰っていいかな?」
私「えっ、何ですか?」
相手「それとメッセージカード。カードには、そうだな、“君は薔薇より美しい”と書いて貰っていいかな?」
私「布施明さん?…と言うか、どちらへお掛けですか?」
相手「うん?花キューピッド…だよね?電話口からフローラルな香りがする」
私「全然違います」
相手「フッ…またまた御冗談を」
私「いえ、本当に違います」
相手「ハハァン…どうやら僕は間違えてしまったようだね。こんなファニーな僕の事を笑って許して貰っていいかな?」
私「…どうぞ、お大事に」
ガチャリ。
4本目にして、ついに個人宅を超えてきた。何だか、回を追うごとに間違え方が酷くなってきている気がする。上手く説明出来ないが、とても嫌な予感がする。
【続きは追記からどうぞ】
‐5本目‐
電話の着信を報せるメロディが鳴り響いた。ガチャリ。
私「はい、もしもし」
相手「あ、もしもし、都古さんですか?」
おや。珍しく合ってるぞ。と言うか、これが普通なのだが。
私「はい、そうですが」
相手「えーっと、【スキップで巡る南インド下町ツアー】というやつに16名で参加したいんですけど、人数に空きあります?」
私「……えっ?」
相手「あ、もし満席なら【ママチャリで登るド根性エベレスト登頂ツアー】の方でもいいんですけど」
私「あの…どちらにお掛けですか?」
相手「都古ツーリストさんですよね?」
私「いえ、ツーリストじゃありません」
相手「えっ、じゃ、何リスト?」
私「何リストでもなく、ただの都古です」
相手「ああ、どうやら番号間違えたみたいです。ほんと、すみません」
私「いえいえ。ツアーに空きあるといいですね」
相手「ありがとうございます。失礼します」
私「では、良い旅を」
ガチャリ。
流石に5回は洒落にならない。しかも目に見えて間違え方が酷くなっている。そんな変なツアー聞いた事がない。無節操にも程がある。何だか家に居るのがだんだん怖くなって来た。
‐6本目‐
電話の着信を報せるメロディが鳴り響いた。ガチャリ。
私「はい、もしもし」
相手「ハァハァ…お、俺だ…」
私「えっ、もしもし?だ、誰?」
相手「任務は無事完了した。だが…ハァハァ…どうやら追われているようだ。何とか敵を巻いて合流地点に向かうつもりだ。先に向こうで待っていてくれ」
私「えっ、なに?何の話?ってか、あなた誰?」
相手「…OK、その調子だ。向こうで誰かに何か訊かれたらそんな感じで誤魔化せばいい」
私「いやいや、そうじゃなくて本当に判らないんですけど」
相手「フッ…流石だな。そのすっとぼけ方、この俺が聞いても本当に何も知らないように聞こえる」
私「いや、だから…」
相手「すまんがもう時間がない。問題のブツはいつものコインロッカーに入れてある。それを回収してから合流地点に来てくれ。ロッカーの番号は210。鍵は隣の209のロッカーの中だ。で、209の鍵は更に隣の208、その鍵は207、の鍵は206…という感じで001まで行ってくれ。001の鍵はロッカー棚の上にガムテープで貼り付けてある」
私「それ、210の鍵を上に置いとけば済む話では?いや、行くつもりは無いけど」
相手「兎に角、怪しまれないよう素早く自然な感じでブツを取り出して欲しい。頼んだぞ」
私「いや、どうやったって200個以上のロッカー開けたら不審者になるから。いや、その前に、行かないけどね」
相手「Excellent!その調子で白ばっくれ続けてくれ。じゃ、合流地点で。なに、大丈夫、この俺に抜かりはない。すべて上手く行くさ。じゃあな」
ガチャリ。
いや、こんな大事な電話を間違えて掛けてる時点で既に抜かりはあり過ぎると思う。と言うか、いったい何が起こっているのだろう。産業スパイか、国家を巻き込んだ陰謀か。折り返そうにも相手の表示は“コウシュウデンワ”となっている。トンデモない事が起きているのだけは確かだ。ここまで来ると、もう単なる間違い電話では済まないだろう。電話番号を変えた方が良いかも知れない。テレビ画面では、ケビン・ベーコンが半笑いのまま静止している。
‐7本目‐
電話の着信を報せるメロディが鳴り響いた。
―――
私「はい、もしもし」
相手「あ、都古?」
私「いえ、都古ツーリストではないです」
相手「ツーリスト?何言ってるの?博則だろ、俺だよ、倉本だよ」
私「あ、何だ倉本か、いやちょっとビックリしたもんで」
相手「何でビックリするんだよ」
私「いや、まあ、ちょっとね……で、どうした?」
相手「ああ、そうそう、来月の同窓会なんだけど、どうする?」
私「ああ、同窓会かあ、すっかり忘れてた。どうしようかな。君が行くなら私も行こうかな。来ないなら私も行かない」
相手「お前が来るなら俺も出席するよ。欠席なら俺も欠席」
私「君が出席なら私も迷わず参加だな。不参加なら同じく不参加」
相手「うん、お前が出て来るなら俺も顔を出すとしよう。出さんなら俺も出さん」
私「じゃ、そういう事で」
相手「おう」
―――
いやいやいや……。これは流石に参った。この間違え方は酷すぎる。先程の6本目の間違い電話も相当なものだったが、ある意味それ以上である事は間違いない。はっきり言って常軌を逸している。
そして、部屋にいるのが怖くなった私は観ていた映画を途中で止め、昼になるのを待たずに家を出たのであった。
〜おしまひ〜。
……えっ?「7本目の電話は別におかしくないだろう」って?
いえいえ、トンデモない。7本目が一番酷いのです。と言うのはですね……鳴ったのは電話機ではなくて、その横に置いてある“電気ポット”なのだから。まさか!と思いましたが、蓋を上げて耳に当てると倉本の声が……そして普通に会話が出来てしまったと。ええ、電気ポットで。幾ら何でもこれは酷い。全く、間違い電話にも程がある。どうです、そうは思いませんか?
ところで……来月の同窓会、結局私は行くのだろうか、それとも行かないのだろうか。どっちなのでしょう?
〜おしまひ〜。
バナナ電話!けっこうお洒落かも♪南国気分で会話が弾みそうな気がします(笑)(//∇//)
バナナの形をしたボールペンは使った事ありますけど、むしろ電話にぴったりですよね、形的に♪他にもキュウリ電話とかゴーヤー電話とか(笑)
間違い電話への対応も丁寧に……なるほど♪そこから世界が広がる事もある、と♪素晴らしい♪(*´∇`*)
本当にバナナから音が聞こえて 話しが聞こえてきたら…
ぜひ 某局モニ◯リングで取り上げて頂きたいです♪
「間違い電話の相手がお客様として来て下さるような応対」
と講習で言われたことを思いだしました!
o(^-^)oよし
今日から バナナで練習するぞ♪
もう、完全に信じた(笑)
取り敢えず、面白いものは何でも信じる主義なので♪(笑)(/▽\)♪一度しか読めないとしたら超真剣に読むだろうなあ♪…あ、書き写す手もあるか(笑)
そう♪
噂だから♪o(^-^)o
信じるか信じないかはアナタ次第!(b^ー°)(笑)
おっ、いいところに目をつけたなあ〜♪【スキップで巡る南インド下町ツアー】は都古ツーリスト一押しの目玉ツアーなのですよ♪ 今はまだ全然人気ないけど、これから先は予約取れなくなると思う♪申し込むなら今だね♪三( ゜∀゜) 因みに、今回申し込もうとしている16人は南インド風カレーとスキップをこよなく愛する日本の下町代表の16人♪( ̄∇ ̄*)ゞ
で……電気ポット♪そうか!魔法瓶ならぬ魔法ポットだ♪水の量で音量を調整するんだったっけ…♪
と言うか…読むと砂に戻ると噂の取説(笑)ヾ(*T▽T*)ヤラレタ!なんか悔しい〜(笑)
こんにちは(o^∀^o)
【スキップで巡る南インド下町ツアー】に16人って…どんな人たちなんですかね(^w^)
めっさ気になる(笑)
あ、でも、最後のは大丈夫だと思うけどなぁ♪これって、電気ポットじゃなくて、通販のウマシカ堂でシークレットシューズと一緒に売っていた『お湯も沸かせる電話』なんでしょo(^-^)o一度読んだら砂に戻ると噂の取説が残ってたら見てご覧よ!
…なぁんてことは、ないですよね(^。^;)(笑)
そう、これ、フィクションのふりをしてますけど実は私の実体験……なワケはないと(笑)ヾ(*T▽T*)
会話って、向こうとこちらの間に温度差があると笑えますよね♪会話オンリーの電話だと、それがより顕著になるというか♪(^〇^)スパイさんは私も心配ですけど、彼なら何やかんやで運良く乗りきれそうな気もします(笑)
午前0時… その軽やかさが妙に可笑しい(笑)(/▽\)♪
やっぱりないですね!( T∀T)(笑)
疑いなくかけてる人が多くて、そのずれた掛け合いに笑っちゃいました♪
抜かりあるスパイさんのその後が心配なのですが(笑)
私も以前迷惑な間違い電話したことがあって(^_^;)
自分のケータイにかけたつもりだったんです、探そうと思って家電から。
しばらく鳴らしても近くで音がしないので車の中かなーなんて思いながら受話器を置こうとしたところ「もしもし?」と聞こえるはずのない声が(゜ロ゜)
時刻は深夜0時…あわててお詫び申し上げたら「はいはーい」と軽やかにお返事して下さいました(笑)
もちろん、知ってましたとも♪何故なら私は世界を陰で操る秘密結社「裏・花キューピッド」の首領だから♪三( ゜∀゜) 表・花キューピッドは実はダミーなのだ♪
↑
加盟店さん、すみません(笑)m(__)m
OK♪アンダスタン♪では、来月の同窓会、参加すると致しましょう( ̄∇ ̄*)ゞ
早速、ポットで電話を……あれ?、番号はどこを押せばいいのだろう?…数字がない(笑)(/▽\)♪
怖い(笑)そんな電話掛かってきたらそっこーで引越し考えます♪(/▽\)♪
弟のシャカイちゃん、イメージ的には腹話術の人形♪もしくは社会派、筑紫哲也みたいな(笑)ヾ(*T▽T*)
それを送り先近くのお店にお願いして、届けてくれる
システムらしい
ご存知でしたか?(´・ω・`)
……と、お友だちにカマかけてみては?←
折り返しのお電話はもちろん、ポットでするでしょ?
えくせれん、と!!!
オトウトノナマエハシャカイチャン
リカチャンガシチジヲオシラセシマス
ジュウイチフンオクレダケド
それはまた奇遇というかタイムリーな♪(☆o☆)
私の計算によると、三人が同じ学校である確率は97・4%となっております♪是非とも倉本と都古を探してみて下さい♪あ…もしかして、三日月☆さん=中尊寺綾女さんでは!?!Σ( ̄□ ̄;)
声が違うから別人……いや、待てよ、倉本が実は七色の声の持ち主だという可能性も三( ゜∀゜) 電気ポットが電話になったのは超能力?
同窓会は……倉本の出方次第だな♪(^.^)
まさか倉本さんと都古と私、
同じ学校じゃないですよね(笑)
で、結局同窓会に行くんですか?行かないんですか?
(´・ω・`)??