仕事終わりに、携帯を見たら大学時代の先輩からメールが来ていた

あらなつかしい、というか珍しいなと思いつつメールを開いてみると

「大学時代の演劇部の資料とか整理してたらこんなの出てきたよ(笑)」と、先輩のノートに書かれていた文章を写メで送ってくれていて

その内容がこれまた懐かしくて笑ってしまった


私は大学時代に演劇部に所属していたのですが

二年生の終わりに、演劇部の執行期の交代があったんですね

執行に就く前に、よくある所信表明をするのだけど、ちょうどその時私はその場に居なかったんです

メールをくれた先輩はその場に居合わせていたのだが

所信表明をしていた私の同期と、彼らに質疑をしていたこれまた同期とのやりとりを見ていたら大変イラついたそうで

写メにはそのイラついた内容がチラリと書きなぐられていて、ああそんな時代もあったなあと帰り道に一人でゲラゲラ笑っていました


先輩なつかしいなほんと。元気にしてるかしら。最後に会ったのいつだったかしら


その先輩とは、在学中はふつうに仲良いくらいの関係だったのだけど

たしか、私が卒業する少し前だったかな

既に卒業されていた先輩と、私の後輩達とで地味にトラブルが起こっていたんですね



演劇部は、毎年秋の学祭に大教室を使って公演を打つのだが

私が卒業する年の学祭で、先輩が後輩達に頼まれて、お着物や刀なんかをかなり貸していたんですよ

学祭も終わり、時は巡って

さて私ももうすぐ卒業だー

なんて矢先に先輩から「モネちゃん、ちょっと聞いて欲しいことがあるんだ」と突然電話が来ましてな

珍しいなーと思いつつ、とくに何も考えずに話を聞いてみると

現役達に貸した着物や刀が返ってこない、とのこと


一体どういうことかと詳しく聞いてみると

公演で衣装係・小道具係を担当していた子達が、何やら連携不足により

どれが先輩からお借りしたお着物だったか把握していなかったり、クリーニングに出さないまま物置小屋よろしい部室に他の衣装などと共に放置しっぱなしのまま数ヵ月経っていたり

挙げ句先輩にちゃんと連絡も入れておらず、数ヵ月経っても音沙汰の無いことを疑問に思った先輩から連絡を入れたら、そんな事態が発覚したとのこと


私が現役の時は、衣装・小道具系の部室の管理者みたいなのやってたのもあり

今の現役生の部室管理者は一体全体どうなってんだい?的なお怒りのお電話でした


ちょっとモネからも後輩に連絡してみてくれないか?「先輩がガチ切れしながら電話してきたんだけど何があったの?」とか言ってさ

とのことで、断る理由も勿論無くそのまま後輩に電話しました


概要は先輩から聞いたことそのまんまで、しかしその後輩も既に引退して後輩に引き継いだ後だったので

どうにもその引き継ぎの際に上手いこと連携が取れなかったらしい

公演でメインで衣装係をやっていた子は既に部を去っていたり何なりもあり、めちゃめちゃややこしいことになってた気がする


「今後輩達と一緒に部室で衣装を探し中だが、元々部室にあった着物と混じって、どれがお借りしたものか全てを把握できていない」とのことで

そのまんまを伝えるしかなかったので先輩に伝えて

それじゃあ後日、先輩が直接大学に出向いて一緒にお着物を掘り起こしましょう

と一段落

と思いきや、あれ刀の方は解決してなくない?っていう


刀に関しても、小道具係のお返しが滞っていて

さて返してもらおうか、と現物を見てみれば、なんとボロボロで見る影も無くなっていたそうな


お着物もだけど、刀も、先輩が知り合いの方から譲り受けた大切なものだそうで

それを貸す以上は、多少の劣化は避けられないけれど

刀に関しては、その劣化が明らかに異常だったそう

「人から借りたものをこんな風に扱うなんて何考えてんだ!」と先輩の怒りは止まらない

私に怒っていたわけではなかったけど

他に怒りを吐き出す相手も相談できる相手も居なかったようで、2・3ヶ月位はひたすら先輩とその件で電話したりメールしたりしていた気がする

あまりのボロボロ具合にショックが大きすぎて、刀の返却は一旦保留になったらしい


もちろん、電話ではただ怒りを吐き出すだけではなく

「今後同じような事態を避ける為に、後輩達から対策をちゃんと呈示して貰わないと溜飲を下ろせない」

二人でどのような対策が良いかけっこう真剣に話し合い

「最低でもこれくらいの案は呈示して欲しいね」

「モネちゃん、ちょっと後輩に対策案呈示するよう根回ししてくれない?
『先輩ガチ切れしてるから、先輩に安心してもらえるように今後の予防策を考えて呈示した方がいいよ』ってオーバーに伝えといて」

私「やべえよ先輩マジでガチ切れしてるからうんたらかんたら」後輩「」

二人でどのような対策が良いか超真剣に話し合い

後輩、先輩に呈示

みたいな流れも一応ありました

ただ怒ったり泣いたり喚いてたって何も変わらないものね


結局、現役の執行期・公演で衣装小道具を担当していた子達・引退していた後輩たち全員を総動員して

お着物は無事に全て発掘し、クリーニングした上で先輩にお返しできました

刀に関しては、「この刀を見ると怒りが込み上げてきて辛いから」と、そのまま現役生に譲り渡したそうです


刀を譲る際、再び大学に赴いていたのだけど

部室に現役執行期・小道具衣装係・先輩が全員集合して

「私はもう二度と君たちに物を貸さないし、
“人から物を借りる”ということを、この刀で以てしっかりと後輩達に引き継いでいって欲しい」

と、件の刀を後輩に手渡しながら全てを悟ったような穏やかな顔で仰ったそうです。後輩は泣いていたそうです


まあ、それやる前々から二人で

「ちょっと私ひと芝居打とうかと思うんだけどいいかな!?いいかな!?」「マジすか!?演劇部OGの腕の見せ所っすね!」「無事やりとげたら報告するね!」

みたいなやりとりしてて

その頃には、根本的に許してこそいないものの、怒りを通り越して妙に楽しんじゃってる先輩(元々わりとお茶目)になっていたので

「やりとげたよー!私もう後輩達に会えないわ(笑)怖がられる(笑)
後輩達の顔が神妙過ぎて逆に笑いそうになっちゃったよ(笑)」

と先輩が朗らかに報告してくれた日と同じ日に

「今日、先輩が大学にいらっしゃって、最終的にこういう結果になりました」

と死にそうな様子で後輩が報告をしてくれて

あれこれ私のポジション地味にしんどくね??めちゃ心苦しいんですけど??と一人悶々としていました、なんてオチ


誰にもこのこと言わなかったからなー

まあ、もう後輩達とその話をすることもないし、ここに書く分には誰も広めることはないからいいよね?3年近く我慢したしいいよね?


ダラダラと書きなぐったけど

そんな経緯があり、現役時代とはまた別の意味で仲よくなれた先輩です

あの頃はマジで私死んでたから人の問題抱えるのも誰にも言えないのもしんどかったけど

今思うとただの笑い話だな


ただ、やはりそれを切っ掛けに

後輩に会いづらくなったり、大学にも顔を出しづらくなったみたいなので、それが少し寂しいな


今週末に演劇部OBOG忘年会があるので、ついつい先輩に「忘年会行きます??」とか返信しちゃったんだけど、ちょっとヤッチマッタ感