相手方の弁護士から電話があった
出来れば示談で
との内容
「はい、そこまでは警察から伺ってましたので」
私が言うと弁護士はホッとした様子で
「ああ、そうですか。それでは示談の方向ですすめさせて頂きます」
それほど時間もかからないらしいのだが、仕事が終わらないと落ち着いて話も出来ず
25日の夜に話を聞きに行く事になった
おそらく同様の事件は前例を元にあらすじがあるはずで、それに従った方が解決も早いというものだ
お金も相手方から既に預かっているような事も言ってたが
何を隠そう、実は相手の名前を聞いたのは今日が初めてだった
昨年は1艘だった海外からのクルーズ船が、今年は10艘、私の町にやって来る
乗員乗客合わせて2、3千人クラスの大きな船は遠くからも見えるほど圧巻だ
今回は中国からの寄港
五十台から百台近くの観光バスが乗客を迎え、県内の観光地へ繰り出す
地元のショッピングセンターでは中国人の店員を10倍に増員したそうだが、それでも間に合わない程の客が訪れたそうだ
九州のほぼ中央に位置し、五万トンを越える船を迎え入れる設備の港は他にない事もあり、そこから高速道路まで一直線の道路もある
そんな利便性もあって需要が増えたのだろう
町としても寄港の日にはテントが並び、地元高校生によるの和太鼓演奏等の特別イベントの開催で盛り上げる
この取り組みが、観光地へは行く事の無い千人近くの乗務員に好評だった事がたくさんのクルーズ船を迎え入れる事に繋がった
シャッター商店街にも客が訪れたらしい
来年度はアメリカ等、更に今年の倍以上のクルーズ船が寄港予定だという
「お父さん、見て」
息子が見せたのは足の裏の大きなマメ
「さては剣道、やったのか?」
「うん」
「ま、いきなり全力出したらこうなるわな(笑)」
中学までの練習がよほど堪えたのか、高校の部活は週に一度しか行かなくて良いという理由で写真部に在籍
家ではのんびり漫画を描いていた長男だが中学で同じ剣道部だった同級生から練習に誘われたようだ
おそらく何度も誘われていたのであまり無下に断れなかったのだろう
「治るのに一週間はかかるかな(笑)?」
「かかるね(笑)」
〜2度とやらないと言ってた剣道。私たちも本人の意思を尊重していたけど本当は続けて欲しかったんだよね〜
警察から電話
犯人を捕まえました
逮捕ですので身柄は送検
事件はこれから検察庁に
とりあえず一報まで
という内容
「あっ、あのっ、、。これから先はどうなりますか?」
「はい、先方には弁護士が就くと思いますので、そちらから何かしら連絡が入ると思われます」
「では、その連絡を待っていればいい訳ですね」
「そういう事になります。この度は捜査に時間がかかり、ご心配おかけしました」
4ヶ月目にして事件は解決したが
果たして肝心の
盗られたお金は戻ってくる?
それはいつ?
一先ず待ちますか(新聞載るかな)
カードでばかり現金を引き出していたので、何年も放置したままだった通帳を持って銀行へ行き、一気に記帳を済ませた
そもそも今ごろこんな事をしていること自体、警察もこちらを放置していた事の表れの気がする
そのまま警察へ
「また、捜査が進展しましたらご連絡差し上げます」
やれやれ、捜査もやっと進展か
お金、、、
返って来るかな?
へへ、、
返って来たら
くっくっく、、
あ、、、
返って来たら
『返って来たら返してね』
妻に返すんだった