久しぶりの美術館レビューです。
広島市現代美術館で開催中
『第8回 ヒロシマ賞受賞記念 オノ・ヨーコ展 希望の路』
招待券を頂いたので短大での友人と行ってきました。
《再建 ― また建てればいいんだ、いいんだ》
3.11で崩壊した家の家具と柱。
ガラスの下部に『想像して下さい』と書いてある。
ニュースが何かで聞いた「家はまた建てればいい、だけど家族は戻っては来ない」という旨の、被災された方の言葉を思い出した。
しかしこの作品、タイトルには、また明日に向けて歩み直そうとする人の強さ、したたかさが感じられる。
人はちっぽけな存在。でも、生きていこうとする力は、強い。
《とびら》《想い》《鶴》(一番上の画像参照)
《想い》は床に作られた水溜まり。
《鶴》『平和の象徴、祈りの象徴でもある鶴を足元に置くことで、私たちは戦争や暴力によって亡くなった人々の犠牲の上に今ここにあることを実感できるかもしれません。』(作品解説より)
私は《想い》は、原爆で水を求めながら亡くなった人々の為にあるのかと思った。
この部屋には壁に大きく本通りのライブ映像が流れている。
過去に振り返らなければ、平和な今を当然と思ってしまい、また同じ過ちを繰り返す。
そんな危惧も感じられる。
《箱》
封じても溢れる、痛み。
《見えない人たち》《影》
暗い部屋に透明な人々。数分おきに閃光。焼き付けられる影。黒い雨。
静けさ。
原爆の恐怖感と同時に、人間が消えてしまう虚無感。
《カバー》
整然と並ぶ毛布にくるまれた遺体。
間を埋める無数の白い折り鶴。
その中を通る道。
怖さやマイナスなものより、それでも歩んでいかなければならない、無言の彼らはそれを望んでいる、そんな生ける者への希望のようなものを感じた。
絶望的な光景。それでも必ず希望はあると思う。
私もオノさんのメッセージを受け取って、《ウィッシュ・ツリー・フォー・ヒロシマ》に一言書いて帰りました。