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手相

二岡さんは、綺麗な手を差し出した。

「鐘子ちゃんは、手相とかも見れンの?」

私は手をとる。

「少しなら」

「生命線、見てくんない?」

てのひらのまんなか。走る線を追いかける。

「えっ」

線は手の甲へ。
そのまま真っ直ぐ、またもとのところへ繋がっている。手を一周しているのだ。

「なんですか、これ」

「俺、幾つに見える?」

鐘子の質問には答えず、二岡さんは尋ねた。

「40…………」

「俺、今年還暦なんだよ」

絶句する鐘子。

「死なねぇンじゃないかな、俺」

二岡さんは、ため息混じりにそう言った。
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