ニンテンドー3DSにはじめから入っている「顔シューティング」というソフト。
要はDSのカメラ機能で撮影した顔を使ってシューティングゲームが行えるというだけの代物なのだが、ハマると意外に面白いと評判らしい。
Yahoo!知恵袋で、顔シューティングに関する不思議な質問を見つけた。
撮った覚えのないおばさんの顔が、シューティング出来るようになっている、と。
回答者によれば、撮った覚えがなくとも、ゲーム中に映り込んだ(ゲーム画面もカメラ機能を使い、現実の部屋や屋外が舞台となる)顔が、認識される場合があるとのこと。
しかし、質問者は屋内でしかプレイしたことがないし、家族にもこんなおばさんはいないと返答し、そのまま回答も締め切られていた。
鐘子が出会う人に聞いてみると、案外にこのような現象を体験した人は多いようだ。
考えてみれば、心霊写真として顔が写り込むこともあるくらいだし、3DSのカメラに写り込んでも不思議ではないのかもしれない。
ただ、普通のカメラではなく、カメラ自体が3Dになる、この3DSカメラに霊が写ったら、立体感とかどうなるんだろうか?
これも米田さんの話。
小さい頃、米田さんの家はトイレが離れにあった。
トイレと母屋を繋ぐのは渡り廊下。
いたずらをしてよく怒られた米田さんへのお仕置きは、母屋から渡り廊下側への閉め出し。
暗い廊下の中で、なにも見えない空間を見つめては泣いたものだった。
その日も、じっと開かないドアに向き合って、反省……ということにしながら、両親の怒りが冷めるのを待っていた。
そんなとき。
手。
白い手が壁から出てきた。
びっくりした米田さん。
手招きをするように、ゆっくり動く、白い手。
驚いた米田さんは目をつむった。
そのまま、気絶。気絶しても、真っ暗。
「まぁ、母親がいたずらしてただけだったんだけどね」
米田さんは笑う。
鐘子は違和感を覚えた。
「と言うと?」
「ドアの向こうで、母親が手を動かしてるのが見えたし」
「……向こうで?」
真っ暗で? ドアは閉まってるのに?
「どうやって、見えたんです?」
「え、あぁ……まぁ、わからないけど」
気にもしない様子。
米田さんの記憶は、やはりどこか欠如している気がする。
黒い棒のようなもの。
米田さんは、そう表現した。棒が宙に浮かんで、ゆっくり視界の端に消えていく。
その様を、窓から眺めていた。
音もしないし、雲の下を飛んでいるから、飛行機ではありえない。
「としたら、UFOでしょ?」
そう断言する米田さん。
確かめようと窓に近付いたそのとき、
バンッ!!
と、突然なにかが窓に張り付いた。
瞬間、気を失ったので、なんだったのかはわからない。
「宇宙人が記憶を消しにきたのかもしれない」
嬉々として語る米田さん。
だとすれば、いまある記憶は?
……もっと他に恐ろしいことがあったんじゃ?