黒い棒のようなもの。
米田さんは、そう表現した。棒が宙に浮かんで、ゆっくり視界の端に消えていく。
その様を、窓から眺めていた。
音もしないし、雲の下を飛んでいるから、飛行機ではありえない。
「としたら、UFOでしょ?」
そう断言する米田さん。
確かめようと窓に近付いたそのとき、
バンッ!!
と、突然なにかが窓に張り付いた。
瞬間、気を失ったので、なんだったのかはわからない。
「宇宙人が記憶を消しにきたのかもしれない」
嬉々として語る米田さん。
だとすれば、いまある記憶は?
……もっと他に恐ろしいことがあったんじゃ?