フェルは未だにガラケー派だ。

「便利すぎるの、スマホって」

「あぁ、確かに機能が多すぎますよね」

「そう。余計なのよ」

そう言ってフェルはため息をついた。

「勝手に拾っちゃうみたいで、うるさかったの。命のおとが」

「……」

あのアプリなんなの、とフェルは言う。
鐘子は、そんなアプリなどない、と言い切れない。

――あの、霊の声が聴こえるアプリなんなの?

確か、詩春はそんなことを話していた。

ともかく、ハイテク化はああいう人たちに辛いらしい。