ことあるごとに、尚樹は盛り塩を勧める。

「外から入ってこれないようにするんなら、昔からこれだろ」

 鐘子は反論しない。それはそれで間違いではないと思うから。
 確かに、塩が行く手を阻んでいるのは間違いない。と、思う。

「ねぇ、中にいる奴らはどうなるの?」

 尚樹は黙って塩を蹴飛ばした。