アンブレラ  42

陽菜

年が明けて優ちゃんとは一緒に初詣には行けなかったけど
生きる事を選んでくれたんだから来年は二人で行けるよね?

だから今年も仕方なくみーちゃんと行った(бвб) 

「おい、こら(怒)仕方なくってどーいう事だよ」

「陽菜のナレーションに勝手に入ってこないでよ(怒)」

「何がナレーションだよ全部漏れてますけど」

「煩いなー独り言なんだからほっといてよ(怒)」

「最近の陽菜イライラしてるけど
勉強上手くいってないの?」

「勉強は頑張ってるもん、約束したから」

「じゃーなんで?」

「優ちゃんが移植手術の為に
最強?の抗がん剤を使ってるから
無菌室に入っちゃったの」

「最強って・・・(笑)
なるほど、欲求不満と言うわけですか(笑)」

「・・・・だってやっと心が通じ合って
恋人になれたのに触れれないなんて拷問でしかないじゃん」

「毎日会いに行ってるんでしょ?」

「行ってるけどガラス越しにしか見る事が出来ないし
声も電話を通してでしか聞こえないんだもん
それに30分ぐらいしか見ていられないし
しんどい時はブラインドがかかっていて
見ることも出来ない・・・・」

「仕方ないよ凄い辛いって聞くからね」

「移植手術の後はもっと辛いらしいの・・・」

「調べたの?」

「ネットで調べてみた」

「私が行ってもいいのかな(汗)」

「優ちゃん意外にみーちゃんの事気に入ってるから
喜ぶと思う(бвб) 」

「意外にって・・・(汗)」

今日は少し調子がいいみたいでガラス窓の近くまで来てくれた

「みーちゃん久しぶりきてくれてありがとね」

「優子お久、あれ帽子買ったの?」

「にゃんにゃんがまた作ってくれたんだ
今三つあるんだよ(-∀-`) 」

「優ちゃん無理しないでベットに寝てていいよ」

「もう少しだけにゃんにゃんの近くに居たいから・・・」

「優ちゃん・・・」

「毎日来てくれてありがとね
でも受験もうすぐでしょ?
私は大丈夫だから毎日来なくてもいいよ」

「やだ!毎日声聞かないと勉強はかどんないもん・・・
でも、もし優ちゃんがしんどくて辛いなら言って
寝てる姿だけ見て帰るから」

「ありがとう・・・私も体が辛いけど
にゃんにゃんそ姿見たり声を聴くと
体が少し楽になるんだよね」

「・・・・早く優ちゃんにキスしたい・・・」

「私もにゃんにゃんに触れたい・・・」

「もしもーし、私の事忘れてやしませんかお二人さん」

「あっ・・・いたんだった(笑)(´-∀-)」

せっかく見つめ合っていい雰囲気だったのに(怒)

(そろそろ戻った方が)

看護士さんが優ちゃんの後ろから話しかけて来た

体に負担がかかるから話は五分から十分ほどしかできない

「また明日も来るね(бвб) 」

「うん、待ってる(´-∀-)」

いつもガラスに陽菜の手形とグロスを付けて帰る

無菌室病棟を出てエレベーターに乗ろうとしたら

「ニャロ、ちょっといいかな」

「麻里ちゃんなに?」

みーちゃんと三人談話室に移動する

「移植日が決まったよ」

「・・・・」

「10日後」

「そっか・・・いよいよだね」

「移植した日から生着するまで地獄のような日々が待ってるんだよね」

「みたいだね」

「中には殺してくれーて叫ぶ人もいるぐらい苦しいんだよ」

「そんなー・・・」

「それを家族が支えるんだけどゆっぴーにはいないから
にゃろが支えになってあげて欲しい」

「そのつもりだもん・・・」

「ニャロが今思ってるよりも何倍も凄いから
覚悟しといてね」

「・・・・わかった」

「峯岸さんだっけ?」

「はい」

「峯岸さんはニャロを支えてあげてね」

「任せてください!」

「他の事は篠田に任せて(*`ω´) 」

「絶対に治してよ(бвб) 」

「大丈夫!篠田失敗しないから(*`ω´) 」

「・・・なんか嘘くさーい」

「ひどーいシクシク(泣)」

ウソ泣きする変な医者はほっておいて病院を出た

「陽菜、あの先生といつの間に仲良くなったの?」

「別に仲良くなってないし」

「麻里ちゃんて呼んでたじゃん」

「毎日声かけてくるから自然と呼ぶようになっただけ(бвб) 」

「医者の知り合い作っておいたら
いざと言うときいいかもね」

「・・・麻里ちゃんに胸見せるのヤダ(бвб) 」

「いやいや、キモイ男の医者よりいいでしょ」

「麻里ちゃんも十分変態だもん」

「そうなの?美人さんなのに」

「綺麗なバラには棘があるみたいな感じかな(бвб) 」

「うーん・・・いまいちよくわかんないけど
そう言えば10日後って受験の次の日じゃん良かったね」

「うんかぶらなくてよかった」

「もしかしたらその辺も考慮してくれたのかもよ」

「まさかそんな事・・・」

でもこの前受験日聞いて来てたからなー・・・・
変態だけじゃないって事か(笑)



アンブレラ  41

優子

とうとう陽菜にばれちゃった(汗)

てか、みんなにバレてたなんて
私ってどんだけわかりやすいんだよ(笑)

「だから手術受けろよ」

「え!?なんで・・・」

佐江の言葉に先生を見ると

「篠田はなーんにも知りませーん
たまーに独り言を言う癖はあるけどね(*`ω´) 」

「この確信犯め(怒)」

「優ちゃんお願い!陽菜を一人にしないで」

「こじぱ・・・でもお金が・・・」

「俺が立て替えとくから!
あげるんじゃないぞ貸しとく
返すのはゆっくりでいいからな」

「才加にそんなことしてもらえないよ
だって私は才加の気持ちには・・・」

「俺の自己満足だからいいんだよ
カッコつけさせてくれよ」

「才加・・・」

「そうと決まれば準備に取り掛からなきゃね(*`ω´) 」

「ちょっと待ってよ
私まだ受けるって言ってないよ」

「優ちゃん!!」

いきなり抱きつき唇を押し当てて来た陽菜

私は目をつむる事も瞬きさえできずにいると
こじぱの後ろが目に入る

大きく目を見開き口を開けて固まっている三人
ニコニコしながら覗こうとしてる変態医師

陽菜の顔がゆっくり離れて行く

「優ちゃん陽菜と付き合って下さい」

「っ・・・・」

「小嶋さん(汗)」

一番に我に返ったのはゆきりんで
男二人はまだ戻ってこない

「優ちゃんは陽菜を抱きたくないの?」

「おおーニャロだいたーん(*`ω´) 」

ちゃちゃを入れてきて睨まれる医者

「こ、こ、こ、小嶋さん(汗)」

ニワトリになったゆきりん(笑)

「陽菜は受験頑張って合格するから
優ちゃんが退院したら一緒に住もう」

「積極的なニャロかっこいい!(*`ω´) 」

「さっきから煩い(怒)」

陽菜に怒られシュンとする有名医師

「ふぅー・・ゆっぴーどうするの
好きな人にここまで言わせて
それでもまだ死んでもいいって思ってるの?」

「私は・・・」

「優ちゃんは死にたくないって思ってるよね
昨日寝るときに言ってたもん」

「っ・・・起きてたんだ・・・」

「ウトウトしてたけどはっきり聞こえたもん
本当の事を言ってよ優ちゃん」

「私は・・・私は・・・
死にたくない!死にたくないよ先生(涙)」

「はい!死にたくない頂きました(*`ω´) 
篠田頑張っちゃうから覚悟しててよ
絶対死なせないから」

さーて急がなきゃ年末年始で機関とかしまっちゃうー
ていいながら病室を出て行った

「優ちゃん!」

また私に抱き付き泣き出した陽菜

泣いてるゆきりんを自分も頬をぬらしながら
そっと抱き寄せる佐江

顔をぐちゃぐちゃにして男泣きしてる才加


みんな有難うどんな結果になろうとも
私は幸せだよ

アンブレラ  40

陽菜

次の日の朝四人で集まりパソコンや携帯で調べてみたら
色々分かった事があった

ドナーへの助成金がある事
支援基金が沢山ある事
高額医療用制度があってかなり返ってくる事

「一度払わないといけないけどほとんど返ってくるじゃん」

「だな、優子はちゃんと調べてなかったのかな」

「あいつ諦めてたからな・・・・」

「佐江と才加で立て替えれるよな」

「俺一人でいいよ、佐江は結婚資金とか必要だろ」

「そうだけど、少しきりつめれば・・・」

「いいって、一人の方が返してもらうときややこしくないし」

「でも・・・優子ちゃん大人しく出させてくれるかしら」

「陽菜が絶対に受けさせるから・・・
秋元先生お願いします」

そう言って頭を下げると

「小嶋が先生って言ったよ・・・(汗)
これなんか裏があるな・・・うん、俺は騙されないぞ(汗)」

「才加煩い(怒)」

「うん、うん、それでこそ小嶋だ」

「・・・そう言ってもだな、佐江達だって
今まで説得してきたけどダメだったんだぞ」

でも、昨日優ちゃん死にたくないって言ってたもん
・・・・たぶん、夢じゃないならだけど・・・

それから早い昼食をとって病院に行った

病室に入ろうとすると

「だからもういいって言ってるでしょ(怒)」

「ゆっぴーは本当にそれでいいの?死んじゃうんだよ
それに今なら悲しんでくれる人いるじゃん
その子を悲しませていいの?置いて行ってもいいの?」

「大丈夫だよ、今はまだ私に好きな人がいると思ってるから
片想いのままの方がショックは少ないでしょ」

え?どういう事?片想いって陽菜の事だよね
今の言い方だと好きな人がいるって・・・え?どういう事?

必死に考えていると
誰かが頭をポンポンと撫でてくれていて
横を見ると佐江ちゃんが優しく微笑んでいて
手を離すとベットの方へ歩いて行きカーテンを開ける

「優子!」

「ッ・・・佐江」

視線は陽菜達にたどり着き目をそらす優ちゃん

「なんで悲しむ人がいないだなんて思うの
佐江達が悲しまないとでも思ってた?」

「それは・・・佐江は従兄ってだけで・・・
二人はその友達ってだけで・・・」

「佐江は優子の事を本当の妹のように接してきたよ
妹が死んで悲しまないお兄ちゃんなんていないだろ」

「佐江ちゃんの妹は私の妹になるんだから由紀も悲しいよ」

「お、お、俺は初めて会った時から優子を
優子の事を・・・たとえ優子にその気がないとしてもだ
俺は優子が好きなんだから悲しいに決まってるだろ(汗)」

「それに今じゃ両想いの可愛い子がいるじゃんか(笑)
本人は気が付いてないみたいだけど
回りから見たら優子の気持ちだだ漏れだったぜ(笑)」

「うそ・・・陽菜だけ知らなかったって事?」

「そう言う事だな(笑)」

「小嶋さん考えてみて
好きでもない相手と二人きりでクリスマスを過ごしたり
病気なのに家に呼んだりしないわよ」

「優ちゃん、そうなの?
優ちゃんの好きな人って陽菜だったの?」

優ちゃんは陽菜の顔を見ようとせず俯いたままだった

アンブレラ  39

陽菜

急に冷たくなった優ちゃんに体が動かなくて
呆然としていると誰かの手が肩に添えられ

「小嶋さん帰りましょう」

両肩を支えられ立たされた

「優ちゃん・・・」

何の反応も示さない優ちゃんにまた明日と言って病室を出た

「陽菜の荷物・・・」

「今日はもう遅いから明日にでも取に行けばいい」

佐江ちゃんにそう言われ頷き廊下を歩いていると

「ニャロ帰るんだ」

先生が違う病室から出てきて話しかけて来た

「帰れって言われたから・・・
そう言えばさっき何か言いかけてましたよね?
こつ、って骨髄移植の事ですか?」

「そうだとしたら?」

「ドナーいてるんですか?」

「さぁどうでしょ」

「そうなのか?佐江聞いてないぞ(怒)」

「医者にはね守秘義務って言うのがあって
患者さんが言って欲しくないことは言えないんだよ」

「でも、家族には(汗)」

「佐江は親戚で家族じゃないからね」

「そんなの関係ないじゃん(бвб) 」

「・・・・・そう言えば昔ドナーが見つかったのに
お金ないし面倒見る親もいないし兄妹もいないから
このままでいいって言ってきた人いたなー」

「・・・・・・・(бвб) 」

「ニャロ知ってる?今いろんな支援制度があるから
お金がなくても助かる命沢山あるんだけど
本人に生きる気力?生きたいっていう気持ちがないと
医者なんてどうすることも出来ないんだよ
悔しいよね」

「でも好きな人いるって・・・
その人と両想いになれたら生きる意味あるんじゃ」

「そうだね・・・実はもう両想いだったりして(*`ω´) 」

え?先生優ちゃんの好きな人知ってるの?

「知ってるんだったら言ってあげたら考え直すかもしれないじゃん(怒)」

「ゆっぴーは知ってるよ」

「うそ・・・」

なのに陽菜と遊んでくれてたの?

「陽菜が邪魔をしてたって事?」

「それは違うと思うけどね・・・
自分の耳で聞いてみたらいいよ(*`ω´) 」

陽菜の頭をワシャワシャ撫でて

「じゃーまた明日ね」

長い廊下を歩いて行った

アンブレラ  38

優子

目が覚めると見慣れた天井とあんまり好きじゃない匂いがして

あれ、私なんで・・・・そうか、鼻血・・・

「優ちゃん・・・」

横を見ると目が腫れていて泣いたんだってわかった

今も私の手を両手で握りしめ辛そうに私を見てる

その後ろには見慣れた三人の姿と白衣を着た先生がいた

「みんなどうしたの?」

「どうしたのじゃないよ、小嶋さんがLINEで知らせてくれたから
飛んできたんだぞ」

「大げさだなーいつものやつなのに(笑)」

でも、前の治療中には起こらなかったけどね・・・

「アハッ(-∀-`) 美人さんが台無しだよ」

しかめっ面のまま私達の話を聞いている篠田先生に冗談ぽく言うと

「ゆっぴーやっぱり体力があるうちに骨髄「先生!!」

「くっ・・・回診行ってまた後で来るから」

そう言うと背を向けて出て行った

「こじぱ、私アパートには帰れそうにないから
お家に帰ってねごめんね」

「居ちゃダメ?アパートの方がここに近いし」

「ダメだよあんなボロアパートに
若くてかわいい子を一人で居させるだなんて出来ない」

「優ちゃんだって一人で住んでたんじゃん」

「私は小さいけど強いからね
佐江、悪いけどこじぱを家まで送ってあげて」

「わかった」

「やだ、今日は泊まる!」

「ダメだって言ってるでしょ!」

つい声を荒げると

「ごめん・・・でも病院に来てもいい?」

涙を浮かべながら小さい声で聞いてくる

「いいけど、しんどくて相手してをあげれないかもしれないよ」

「いいもん、そばに居れるだけで・・・」

「勉強しないといけないから2時間だけだよ」

「っ・・・わかった」

「少し眠りたいから今日はみんな帰って」

これ以上話していると泣いてしまいそうだから
みんなに背を向けギュッと目を閉じた

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