本当の気持ち   17

hiromi



「ねえ、今(こん)ちゃん」

「なに?宏美さん」



今ちゃんは私のパートナー

子供と離れ病気で苦しんでいた時ずっとそばで支えてくれていた

年下なのにしっかりしていて子供みたいな私を叱ってくれたり諭してくれたり
相談に乗ってくれたり・・・

4月1日エープリールフールの日にプロポーズされたんだけど
バタバタしていて何の冗談かとおもっていたらあまりにも真剣な顔をするから
本気なんだとわかった時には涙が出てきて

「はい!」て一言だけ返事したっけ・・・



「とうとう優子にばれちゃった」

「そうか・・・・・よかったね!」

・・・・・・なんで?

「ずーと我慢して見守ってきたんだから、偉かったね」

頭をそっと撫でてくれた

ああ〜この人は私の事全てわかってくれてる・・・

本当にこんなにもいい人とめぐり合わせてくれた神様に感謝しなくちゃね

今日あったことを全て話した


でもまだ世間にバレるわけにはいかない

私は構わないけど、AKBと言う国民的アイドルのトップに居る
優子にはスキャンダルにしかならないからだ

母親として邪魔をするわけにはいかない


「まだ、ほかの人には言わないでおこうと思うの、もちろんよしりんにも」

よしりんは私の妹で(タッチ)を歌っていた歌手もちろん今も歌ってるけどね

事実を知ってるのはあの人と、篠田さんと小嶋さんと今ちゃんだけ

少ない方がリスクが少ないからね

「外で会えないんだからうちに呼んであげたら?」

「えっ!いいの?」

「もちろんだよ、僕も逢いたいし」

「ありがとう今ちゃん!」

この人と一緒になれてよかった神様本当にありがとう!

本当の気持ち   16

yuko




引き取れなかった理由がわかって心の靄が晴れていくようだった

私の為に病気にまでなってたなんて・・・
凄く苦しんだんだろうなー

私の悩みなんて凄く小さいものだったんじゃないかって思えてきた

「どうして私が母親だってわかったの?」

昔、よく歌ってくれていたのを覚えていた事

テレビから聞こえた歌声に引き込まれた事

コンサートを聴いて確信に変わった事を伝えた

「そう」少し嬉しそうにはにかむ

「あっ!わかった!」 

麻里ちゃんが急に大きな声を出した

「宏美さんの笑顔どこかで見たことがあるって思ってたら、
優子とそっくりだったんだ!」

私と宏美さんは顔を見合わせ、照れて微笑んだ

確かに似てるかも・・・ちょっと嬉しい!

「普段の優子ちゃんはどんな感じなの?」

その言葉を皮切りに二人は怒涛のように話し出した

「優ちゃんはいつも裸で楽屋を走り回ってるし陽菜にすぐ抱き付いてきて
キスしたり、太もも触ってくるし、変態でうざいんです!」

「にゃろ!」

「あっ・・・うざいって言うのは陽菜の口癖で・・・すいません」(シュン)

話を楽しそうに聞いている宏美さんを見ると私も嬉しくなってくる

まあ、話してるのはほとんどこじぱだけどね


お店の人がそろそろ・・・と言ってきたので

じゃーまた今度!という事になりアドレスを交換した

もじもじしている私に 「どうしたの?」て聞いてくれたので

「あのう・・・ギュッてしてもらってもいいですか?」

自分でも赤くなってるのがわかるくらい暑い

「いいわよ!喜んで!」

そういうとぎゅーと抱きしめられて・・・

「お母さん」自然に言葉が漏れてきた

さらにきつく抱きしめられて頭をやさしく撫でられた


外に出て「いのちの理由とあなたへ、すごくいい歌ですね」て言うと

あれはね、あなたに向けて歌っているのよと言われた

(生まれてきてくれてありがとう・いつもここで歌っているから
幸せはきっといつか来る)


お母さん・・・・届いたよその歌、届いたよその愛!

本当の気持ち   15

mariko



「お母さん」

小さく聞こえてきた声に驚いた!

隣を見ると陽菜も聞こえたようで驚いた顔をしている

優子は堤防が崩れたかのように、岩崎さんを攻めたてていた

「ゆっぴー!」 「優ちゃん!」

私と陽菜が同時に叫んでいた

優子はビクンとして言葉を止め眉毛をハの字にしながらこちらを向いて

また岩崎さんの方を向いて

「ごめんなさい」と謝った

少し落ち着きを取り戻したゆっぴーを席に座らせ4人で食事を再開

少し重い沈黙の中岩崎さんが口を開いた


優子のお父さんと離婚したとき引き取ろうとしたが
すぐにお父さんが結婚してしまったので親権を取られてしまった事

芸能人の子供と言うのがばれるのが嫌で二度と会わない様に言われた事

悲しさのあまり病気になってしまった事

全て話してくださった


篠田と陽菜がそんな話を聞いてもいいのか迷ったけど
優子が二人には全部知っていてほしい!
二人は自分にとってかけがえのない人だからって・・・・

こんな状況なのに、不覚にも胸がキュンとしてしまった

たぶん陽菜もそうだろうと思う

本当の気持ち   14

hiromi




中休憩の時にスタッフから

AKBの大島さんと、しの・・・・・・・・・

その名前を聞いた瞬間、頭の中が真っ白になった

「あっ、ごめんなさいもう一度言って」

大島・篠田・小嶋 さんの三人が挨拶をしたいと言ってくれている

「すごい!アイドルの人が聴きに来てくれるなんて
私もまだまだ捨てたもんじゃないわね!」

少しおどけて見せる

いつものお店に連絡を入れておいてそこで待っていてもらうように伝言した


内心は凄いドキドキしてるけど他に人のは悟られてはいけない・・・


優子どうして・・・ばれた?いいえ分かるはずがない

あの人は絶対に言わないし、小さかった優子は顔を覚えていないはず
写真はもちろんないし・・・


きっと興味本位で聞きに来て挨拶しに来ただけなんだ

そう自分に言い聞かして後半に臨んだ

いつも以上に力が入っていたと、終わってからの握手会で
親衛隊の面々から言われて少し恥ずかしかった・・・


ホールのスタッフに挨拶をして会館を出る、マネージャーにも帰ってもらい
1人でお店に向かった


部屋に入るとシュートカットの子が挨拶してくれた確か篠田麻里子さん
その隣で髪が長くてかわいらしい子が小嶋陽菜さん

そして私の目の前にいて背中を向けたまま俯いているのが・・・・・


・・・・優子・・・


急に涙が溢れてきた

すぐそこに優子がいる、手放したくて手放したんじゃない
ずっと逢いたかった

もちろん子役で出てきた時もすぐに分かった

AKBに入って頑張ってた姿も知っている

何度も逢いに行こうと思った、でも・・・・・・

きっと優子に迷惑がかかる

今やスーパースターの王道を行くAKBにとってどんなスキャンダルもご法度

そう思うと名乗り出る事は出来なかった・・・


「ごめんね」

今の私には謝る事しか出来なかった

本当の気持ち   13

yuko



歌を聴き終えたとき、疑心が確信へと変わった

私、この歌声知ってる、体が、脳が覚えてる

離れるまで歌っていてくれた声だった

お母さん・・・・この人がお母さんだ!


でも、まだ二人には言えない・・・

もしかしたら向こうが言って欲しくないのかもしれない

だってこんなに近くにいたのに・・・同じ芸能界で歌っていたのに

私の事を気づかないわけがない!

でも・・・小さい時に別れてるから本当に分からなかったのかも・・・

考えがまとまらないまま、お店についた

食事が運ばれてきたけどのどを通らない


障子が開くけど、振り返る事が出来ない・・・

「こんばんは」 この声だ・・・

麻里ちゃん達が挨拶してくれてるけど顔を上げることが出来なかった

もし、拒絶されたらどうしよう、そんな事を考えていると


「あっ!」 

こじぱが「どうしたんですか?」

と叫んだからビックリして振り返ると涙を流して私を見つめる岩崎さんが居た


「ごめんね・・・」そう言いながら私に歩み寄り
そして・・・抱きしめられた

一気に子供のころに戻った感じ

感触・匂い、忘れてなかった・・・

「お母さんなの?」そっと耳元で囁いた

「優子、ごめんね、本当にごめんなさい(涙)」

何度も謝る岩崎さんの言葉に我を忘れて攻めてしまった

「なんで、連れて行ってくれなかったの!」

「なんで、名乗ってくれなかったの!」

「なんで!なんで!・・・・・」

次から次へと出てくるひどい言葉を何も言わずただ黙って受け止めている


「ゆっぴー!」「優ちゃん!」

二人の声にハッと我に返る


岩崎さんはずっと泣いていた
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