運命の人 16

「はぁはぁはぁ・・・・」

「佐江!(;´-∀-)」

「はぁはぁ・・・なんか・・・苦しい」


膝をついて苦しいという佐江に気が付き
ボールをすぐ外に蹴り出す様に指示して駆けつける


「大丈夫か?」

「何とか我慢できそうだけど・・・・出来ないかも(汗)」


寄って来た審判の人が
救急車呼びましょうか?
と言った時


「すみません私医者です(*`ω´) 」

「看護師です(бвб) 」


篠田さんが小嶋さんと一緒にグランドへ入って来た


「どれくらい苦しい?」

「息が出来ないほどじゃないけど
なんか、苦しくて・・・
走らないから大丈夫かもだけどわからない(汗)」

「苦しさは変わる?」

「同じです」

「そっか・・・・」


あたりを見渡す篠田さん


「ちょっと歩けるかな」

「はい、大丈夫です」


そう言って佐江を立たせると


「え、そっちじゃないですよ(;´-∀-)」


相手ベンチに向かって歩きだした


「どう?」

「はあはあはあ・・・さっきより苦しい」

「すみません、前に座ってる三人の方
一人ずつこっちに来て貰えますか?」


何も説明せず一人で進める篠田さんに
小嶋さんも首をひねってる


まずコーチが向かってくると


「どう?」

「変わらないです」

「あ、もういいです次の方どうぞ(*`ω´) 」


怪訝な顔をして戻って行くコーチ

次にスコアをかいていた子が歩いてくると


「あっ・・・くる・・しい・・・」

「もういいよ!
才加、宮澤さんを元の位置まで連れてってあげて」


そう言うと相手ベンチへ歩いていき
何かを少し話すとスコアを書いていた子は
何処かへいってしまった


「・・・・あれ?・・・治ったぞ」

「ホントだったのか(怒)」

「ホントだって!篠田さんのおかげだよ」

「篠田マジックです(*`ω´) 」


わけわかんないドヤ顔を
バカみたいって言いながら席に戻る小嶋さん


「すみませんでした、もう大丈夫なので始めて下さい」


そう、審判の人に言って戻って行く篠田さん


ずっと見ていたら小嶋さんに何か話し始めた


「優子始まるぞ」

「うん」


そしてもう一度キックオフからやり直し

だって始まってから2分もたっていなかったから


その後の佐江は凄い元気で
苦しんでいたのが嘘のようだった

運命の人 15

試合当日の朝


「おっはよー♪」

「・・・・なんでいるの?」

「さて、どうしてでしょニャハ」

「・・・・・才加早く行こう」

「こらこら、心友をほったらかして行ってもいいんですか?」

「応援ならまだ早いよ」

「それが違うんだなぁ〜」

「まさか・・・・出るの?」

「そーなのぉー」

「聞いてない」

「なんか一人の子が夜、急に熱出しちゃったらしくてさ
人数が足りないから是非来てくださいって言われたんだ♪」

「足りない事無いよね、控えが三人もいるんだぞ!」

「素人ばっかでしょ」

「佐江だって素人みたいなもんじゃん」

「ほら、佐江は運動神経いいでしょ
体育の授業でやった時先生にサッカーしてみないかって
誘われたんだぞ!と」

「でも、フォーメーションとかやってないだろ」

「キーパーなので関係ありませーん」

「え、熱って晴香なの?」

「そう、キーパーがいないから是非ってさ」

「キーパーなら仕方ないか・・・
控えで出来る子いないもんな」

「でしょ〜、佐江に任せなさえ♪」


そんなこんなで試合開始10分前


「ハロー(*`ω´) 」

「麻里ちゃん♪来てくれてありがとう」

「ニャロも連れて来たよん」

「予定が無くなったから来ただけだし」

「にゃんにゃん有難う(-∀-`) 」

「ほうほう(*`ω´) 」

「なに、キモイんだけど(бвб) 」

「一昨日とは全然違うし
にゃんにゃんだと!?かわいいなゆっぴー」

「ニャロよりはいいんじゃない(бвб)」

「シクシク」

「早く椅子出して」

「はいはい・・・あれ、もう一人の子バスケ部じゃなかった?」

「キーパーが熱出して急きょ助っ人になったんだよ」

「へぇー三人共運動神経いいんだね(*`ω´) 」

「陽菜達とは大違いだね(бвб) 」

「篠田はニャロよりはいいはず」

「フィフティー・フィフティーだと思うけど」

「あ、篠田さんに小嶋さんご無沙汰してます」

「いきなりの助っ人で大変だね」

「体育ではした事あったんですけど
公式戦は初めてだからかさっきからドキドキしてるんですよね」

「へぇー佐江が珍しい」

「そうなんだよ、お互いベンチ入りして
練習でゴールキーパーの位置についた時から
ドキドキしだしてさ
今は少しマシだけどゴールポストに近づけば近づくほど
ドキドキが激しくなるんだよ、どうしよう(汗)」

「それって珍しいの?」

「うん、佐江は楽観的と言うか
緊張感を楽しむ所があるから
あんまりドキドキしてるって聞いたことがない」

「ふーん・・・・」

「なに?(бвб) 」

「ううん何でもない」

「やばっ、もう始まるから行くね」

「三人共ガンバ(*`ω´) 」

「はい!」

「・・・・・・(´-∀-)」

「ほら」

「・・・・頑張れば(бвб)」

「うん(-∀-`) 行ってくる」


よーし頑張るぞ!と思って張り切ったのに
試合はすぐ中断された

運命の人 14

送ってくれるという篠田さんに
まだ電車があるからって断った小嶋さん

マンションから駅まで10分ほどで電車は三駅
10分も二人っきりで歩くんだよ
どんな話をすればいいの(;´-∀-)


その心配はすぐに解消された


「私こんなだから」

「え?」

「優しくないし、素直じゃない」

「私はまだ全然小嶋さんの事を知りません!」

「・・・・・」

「だからいろんな事を知りたいし
私の事も知って欲しい」

「・・・・・」

「知りたくないならいいですけど・・・・」

「ん!」


ぶっきらぼうに差し出された右手

握手かなと思って右手を出したら

それだと歩けないでしょって
前を向いて歩きだしてしまった

それって・・・・・いいのかな・・・


すぐに追いかけ左手で右手を掴む


「陽菜はこっち側がいいから」

「はい(-∀-`) 」


ヤバい涙が出そう


「で、いつまで小嶋さん呼びなの」

「じゃー陽菜さんで」

「あんまり変わんない」

「こじはるさん」

「縮めただけじゃん」

「にゃろ?」

「それは麻里ちゃんだけでお腹いっぱい
他にないの?」


私だけの呼び方・・・・


「にゃんにゃん・・・・」

「なにそれ」

「ツンツンしててたまに甘えてくる猫?」

「・・・・・まあ、悪くないかも」

「にゃんにゃん(-∀-`) にゃんにゃん」

「わかったから連呼しないの!」

「アハッ(-∀-`) 」


心から楽しいって一緒に居て初めて思った


「そうやって笑えばいいのに」

「うん(。-∀-)」

「笑ってるのに泣くとか変なの(бвб) 」

「うん(。-∀-)」


その日から私は変わった
いつものようにグイグイ行くことにしたんだ

だってどっちにしても嫌われるなら
いつもの私で嫌われたほうが諦めもつくでしょ




「明日絶対見に来て」

「気が向いたらね(бвб)」

「気が向くように頑張って!」

「はいはい」

「来てくれなきゃ試合の話ずっとするからね」

「・・・・行ってきます」

「行ってらっしゃい(-∀-`) 夜勤頑張って!」


敬語もやめた
だって一応恋人でしょ?

そしたら今までのオドオドが嘘みたいに無くなって
いつもの私になれたんだ(-∀-`)

小嶋さんには凄い変わりよう

て言われたけど
怒ってなかったからOKなんだって自分の中で解釈(笑)


「さーてと、私も明日の用意して
今日は早く寝るかな」


誰もいないのに大きな独り言(笑)


そして用意しながら鼻歌を歌ってる自分にびっくりする

試合が嬉しいのかな
今までだって何度もあったけど
こんなにウキウキしてるのは初めてかも・・・

まあ、環境が変わったからだよね

うん、きっとそうだ


理由をつけ自分を納得させて眠りについた


運命の人 13

「お、これ美味しい(*`ω´)」

「それは優子が作ったんだよ、なぁ」

「う、うん・・・・」


何も言わず黙々と食べてる小嶋さん


「ニャロコレ好きなんじゃなかったっけ」


そうなの?覚えてお・・・・


「べつに普通」


・・・・・・・・はぁ・・・・


「そう言えば明後日試合あるんでしょ」

「うん」

「夜勤明けだし見に行こうかな」

「ほんとに!?」

「ニャロもたしか同じだったよね」

「やっぱストーカー」

「ストーカーの篠田です(*`ω´)」

「その日は予定入ってる」

「そんなのキャンセルして試合観に行こうよ
ゆっぴーも嬉しいよね(*`ω´)」

「ゆっぴー?」


私の方を見てゆっぴーと言うんだから
私の事を言ってるんだってわかったけど
なんでゆっぴー?聞けるわけ無いか(;´-∀-)


「センスの欠片もないし」

「そうかな、ゆっぴーでいいよね」

「アハッそうですね」

「それやめてくれる(怒)」

「え?」

「笑いたくもないのに笑ったり
話したくないのに話しかけたりされても困るんだけど」

「・・・・・・ごめんなさい」

「はぁ・・・そのすぐ謝るのも嫌い(怒)」

「あぅ・・・・・(涙)」

「ニャロちょっと来て」

「食べてる途中」

「いいから来て!」


無理やり立たせて隣の部屋へ連れて行ってしまった


「大丈夫か?」

「う・・・ん・・・・」

「麻里ちゃんがきっとうまく言ってくれるよ」

「いくら篠田さんでも無理だよ
私嫌われてるから」

「小嶋さんを前にした優子は優子じゃないよ」

「どういう意味?」

「ビクビクしてるっていうか・・・・
そんな感じでずっと一緒にいられたら
多分私だってイライラすると思う」

「だって・・・・どうしていいかわかんないんだもん」

「いつもみたいにグイグイ行けばいいじゃん」

「行けないよ、だって運命の人なんだよ
嫌われたらおしまいなんだよ!
ああ・・・もう嫌われてたわ・・・」


やっぱり明日家に戻ろう

病院の先生には私が無理だって言うことにしたら
小嶋さんに迷惑かからないよね?


そう決めたのに


「お待たせー(*`ω´)」


ニコニコした篠田さんの後ろから
何もなかったかのように出てきた小嶋さん

そのまま椅子に座りまたご飯を食べだした


「篠田も今そうだから
もしかしてニャロもかなーて思ったらやっぱり一緒だった
篠田達も運命の糸で結ばれてるんじゃない?」

「糸なんてどこにもありませーん(бвб)」

「排卵日が同じだったんだから
こっちも同じになる確率大だもんね」

「今食事中」

「はいはい(*`ω´)」


なんのことかわからず才加と顔を見合ってたら


女の子特有のあれだよって教えてくれた


そっか・・・だからイライラしてたのか・・そっか・・・


少しだけ気分が楽になった

もしかしたら思ってるほど嫌われてないのかもしれない

そう思うことができたから


「今日泊まっていく?」

「帰るに決まってるでしょ」

「えぇ〜久しぶりにニャロと愛を確かめ合いたかったのに(*`ω´)」

『えぇぇぇぇ!!?』


才加と声を合わせて叫んでしまい慌てて口を手で抑えた


「ちょっと、誤解されるような言い方しないでよ(汗)」

「だってよく泊まってたでしょ」

「それはご飯食べに来てお酒飲んで帰れなくなってたからで」

「そしてベッドに入って(*`ω´)」

「・・・・・そこで言うのやめないの!」

「麻里ちゃん・・・・」

「あ・・・・才加違うから(汗)」

「小嶋さん美人だし、胸大きいし、大人の女性だもん仕方ないよ・・・」

「そう、麻里ちゃんは巨乳で髪の長い女性が好きなんだよ(бвб)」

「私こんなでごめんね・・・・・」

「違うって(汗)ニャロの言うことは信じちゃだめ!」


三人の会話に私は入ってはいけなかった
じっと小嶋さんを見てたから

だって家では見せない顔をいくつもしてるんだもん
もう二度と見れないかもしれないから必死で目に焼き付けた


運命の人 12

「う〜ん・・・・そろそろ寝ようかな」


大きめの声でわざと大袈裟に言う
だって昨日慌てて寝たふりをしたのがわかってしまったから

それからトイレに行って電源を消しそっとドアを開け中へ

ベッドは一つ
小嶋さんは右側に寄ってるから
反対側に潜り込む

もちろん向こうを向いてるから背中しか見えない


「おやすみなさい」


返って来ない返事を待つことはしない
だって、フリでも寝てるんだから・・・


はぁ・・・・本当にいい匂い

気持ちよすぎてすぐ夢の中へ




「にゃんにゃん(-∀-`)」

「なにそれ(бвб)」

「だって猫みたいだもん」

「あーそれ麻里ちゃんにも言われた
と言うか優ちゃんのほうが猫みたいじゃん」

「どうして?」

「ゴロゴロ喉鳴らしてこうやって甘えてくるから」

「だってにゃんにゃんいい匂いなんだもん」

「匂いが好きなの?」

「匂いもにゃんにゃんもぜーんぶ好き
にゃんにゃんは?」

「陽菜も優ちゃんのこと・・・・」



ピピピ!ぴぴぴ!ピピピ!



「・・・・・・夢・・・か・・・」


にゃんにゃんか・・・・
そう言えば篠田さんはニャロって呼んでたっけ

だからにゃんにゃんていう言葉が出てきたのかな

現実では絶対に呼べないけど・・・

小嶋さんが起きるのは6時半
それまでに洗濯を回し朝食の用意
昨日の朝、顔を洗ったり歯を磨いたりするのが
かぶってしまって機嫌を損ねたから
今日は先に終えておく


「よし完璧(-∀-`)」


 そろそろ起きてくるころなんだけど・・・・遅いな

十分経過・・・・15分経過・・・・


これ起こした方がいいよね


「ご飯出来ましたよ」

「・・・・・・」

「小嶋さんご飯」

「煩いなぁー後五分」

「わかりました」


そして五分後
また同じことの繰り返しが四回ほど続き

そろそろヤバいんじゃないかと思って


「もう、7時15分ですよ起きなくていいんですか!」


少し大きな声で起こしてみた


「うそ(汗)」


勢いよく起き上がり私を睨みながら


「もっと早く起こしてよね(怒)」

「ごめんなさい・・・・」


もうご飯食べてる時間無いじゃん
て怒り出すから
おにぎり作りましょうかって言うと
コンビニで買うからいい!
て、また怒られた



「優子おはよう!」

「おはよう・・・」

「どうした?朝から元気ないなんて優子らしくないぞ
・・・・・また小嶋さんか?」

「うん・・・・絶対嫌われてる」

「優子が嫌われるとか信じられないな」

「だって怒ってばっかなんだもん」

「タイプ的に真逆だもんな(汗)」

「もうやだよ家に帰りたい」

「まだ始まったばかりだろ」

「そうだけど・・・・」

「それよりさ、今日何作る?」

「献立は才加に任せる
その方が怒られる理由がないでしょ」

「怒られるのが前提なのか?」

「今日見たらわかるよ」

「わかったよ」


クラブ終わりにスーパーへ寄り材料を調達


「お邪魔しまーす」

「先にシャワー浴びてきなよ
バスタオル中にあるから適当に使って」

「どれでもいいの?」

「ちゃんと洗濯してるから心配しなくていいよ」

「そう言う事じゃなくて
これは篠田さんのだから使うなとかあるでしょ」

「ないよ、始めから適当に使っていいよって言われた」

「マジか、うちは分けてる
陽菜の物は使わないでね!て念押しされてるし(;´-∀-)」

「ま、まあそう言う人なんだろうアハハ」

「慰めは良いよ・・・入って来る」

「洗濯物は洗濯機に入れといて
干しとけば帰りまでに乾きそうだし」

「はーい」


まだ才加が運命の人の方がましだったよ



料理を作り終えテレビを見ているとLINE音


「後5分ほどで着くってさ、温めて用意しよう」

「うん」


私のスマホは決して光らない・・・


「あっ!」

「え、どうした」

「・・・・なーんだ佐江か」

「なんて?」

「楽しんでますかーだって
全然楽しんでなんかないよ(怒)」

「まだ帰ってきてないんだからそんな事言わないの!」

「ちぇっ」

「ほらテーブルに運んで」

「ほーい・・・」

「ただいまー帰って来たよ(*`ω´) 」

「お帰りなさい♪」

「わおー美味しそうでいい匂い、ありがとね」

「お仕事お疲れ様でした」

「クラブお疲れ様」


二人のやり取りをボーと見てたら視線に気づいた

で、とびっきりの笑顔を作り精一杯の気持ちを込めたのに


「お仕事お疲れ様です」

「別に疲れてないし」

「・・・・・・・・」


撃沈


「あらら、ニャロはツンデレタイプだから
気にしない気にしない(*`ω´) 」

「ツンデレじゃないし(怒)」

「本人はそうもうしてます(笑)」

「はぁ?」

「ほら、手洗いうがいしてご飯ごはんごはん(*`ω´)」

「子供じゃないんだから言われなくてもするし(怒)」


怒りながら先に行った小嶋さん
篠田さんは私の前まで来ると
優しく微笑んで頭をポンポンとなでてから
洗面所へ向かう


「何とかしてくれるって」


才加はそう言うけど

どう見たって無理だよね


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