約束 11

好きだと言われてからキスはたまにしていたけど
それ以上は何も起きない

たまに甘えるように肩にもたれ掛ってきたり
膝に寝ころんでくるから膝枕をしてあげたりする程度

女の子同士ってしないの?

大学時代付き合っていた彼とは卒業を機に
あまり会えなくなって自然消滅

好きだと思ってたけど追いかけるほどでも無かったから
そんなに好きじゃなかったのかな?

でも優ちゃんは違う

縁日の時、居なくなっていた事に心臓が止まるかと思ったし
目が見えるようになってヘルパーの仕事が必要なくなっていても
こうやって毎日会いに来てるから・・・・

完治してドイツに帰っちゃったらどうしよう・・・
自然消滅なんてヤダ!

お金を貯めて休みを取って毎月会いに行きたい
こんなふうに思えるのは優ちゃんだけ

だから陽菜、勉強したの

女の子同士がどうやって愛し合うのかを

陽菜は優ちゃんにもっと触れたい・・・
抱きたい抱かれたいって思うけど
優ちゃんはどうなんだろうか・・・
好きだけど抱き合うのは嫌なのかな?

だから思い切って聞いてみた

そしたらずっと抱きたかったって言ってくれて
二人共同じ気持ちだったんだって・・

あ、でも優ちゃんの方がずっと前から思っててくれたんだよね
それなのの気づかなかった陽菜は男の人と・・・

ごめんねという気持ちを込めて自分で服を脱ぎ優ちゃんの目の前に立った

「優ちゃん」

陽菜を見た優ちゃんは目を大きくさせ驚いたかをを一瞬だけみせたけど
すぐその大きな瞳からは涙が溢れてきて

「にゃんにゃんありがとう(涙)」

そう言うと抱きしめられた

「ベットへ行こう」

コクンと頷くと陽菜の手を引き
片手で涙をぬぐいながら先を歩く優ちゃん

ベットの縁に着くと陽菜の方を向き

「本当にいいの?」

眉毛をハの字に下げ自信なさげに聞いてくる

そうこの眉毛・・・よくこの眉毛になってたよね

陽菜の恋バナを聞きながらこの眉毛をして微笑んでたっけ・・・

「にゃん・・にゃん?」

「フフフ、どんどん下がっていくね」

「へぇッ?」

眉毛を指でなぞりながら

「優ちゃんも脱いで」

「あっ・・・うん・・」

後ろを向いて脱ごうとするから反対側に回り込んで覗くと

真っ赤な顔をして「もう(汗)」と慌てる優ちゃんが可愛くて
頬にキスをするとさらに赤くなった(笑)

でも、脱ぎ終わると陽菜の肩を持ちベットに倒され
覆いかぶさってくる優ちゃん

陽菜の頬を撫でながら

「ずっとこうなる事を夢見てた
ずっと陽菜で妄想してた」

「他の人ととは?」

「向こうで付き合ってみたけど長く続かなかった」

「なんで?」

「妄想の中の陽菜と比べちゃってたから」

「本物を見て幻滅した?」

「ううん・・・想像より凄くて興奮してる(笑)」

「ごめんね、陽菜忘れちゃってて・・・」

「いいんだ、今こうやって触れる事が出来てるんだから」

「これで夢がかなう?」

「かなえたい夢の方は努力すれば叶えられるって思ってたけど
今のこの夢の方は絶対に叶わない夢だと思ってたから
なんか起きたら夢でしたってなりそうで怖いんだ(汗)」

「大丈夫だよ、温かいでしょ?」

「うん、それにスベスベでモチモチ(-∀-`) 」

「変態さんだ(笑)
先に叶っちゃうね(бвб) 」

「っ・・うん、陽菜のおかげだよ本当にありがとう(涙)」

「もう!泣かないの(怒)お預けにするよ(笑)」

「だめ!(汗)」

必死に首を横に振るから腕を首に回しひきつけてキスをした

約束 10

優子

親に反対されても続けていたヴァイオリン
ただ一人応援してくれていたのがにゃんにゃんだった

目が見えなくなった今
闇から救い出してくれるのもにゃんにゃん、君なんだね

君のおかげで諦めかけていた夢をまた見たくなったよ









「ゆっくり目を開けて下さい
どうです、何か見えますか?」

白衣・・・の先生が見えるけど
肩に置かれた手の方を見ると

「女神が見えます」

「っ・・・優ちゃん・・・良かったね」

そこには昔よりも綺麗になった陽菜が居た

「外に出る時はサングラスをかけ
まだ、直接強い光を見ないでください」

「わかりました」







数日後

「もう傷は痛まない?」

「うん、通院もこれからは一週間に一度でいいって言われた」

「だからって無茶しないでよ」

「しないよ、それより陽菜の方が大変でしょ
仕事終わってから毎日通ってこなくてもいいよ」

「来たらダメなの?」

「だめじゃないけど、もう自分で何でもできるから
ヘルパーさん雇えないし・・・」

「怪我も気になるけど陽菜は優ちゃんに会いたいから来てる」

「っ・・・」

「傷もほとんど目立たなくしてもらえてよかったね」

私の傷跡を至近距離で見てくる

「恥ずかしいし近いから(汗)」

「あ、ごめん(汗)」

そう言いながらもじっと見て触れてくる陽菜

「もう、何してんの(汗)」

「フフフ赤くなるから可愛いなーて(бвб) 」

「くっ・・・にゃんにゃんの方が可愛いから(汗)
あ、可愛いというより綺麗か(-∀-`) 」

「フフ有難う」

ニコッと微笑む女神

「・・・・・・・」

「なーに?」

「綺麗になって行く陽菜を近くで見ていたかったなーて(-∀-`) 」

「高校の時からあんまり変わってないよ」

「そんな事・・・んっ・・・」

陽菜の方から唇を押し付けてくる

「プハッ(汗)」

「優ちゃんは陽菜の事抱きたいと思う?」

「ふえ!?な、何言ってんの(汗)」

思うけど・・
ずっと思ってたけどそれを抑えようと必死になってるのに(汗)

「いいよ(бвб) 」

「へぇ?」

「今よりもっともっと優ちゃんに近づきたいから」

「意味分かってんの?ハグとかじゃないんだよ(怒)」

「それぐらいわかってる、初めてじゃ無いし・・
あ、女の子とは初めてだけど」

そうだよね25歳なんだしこんなに可愛いんだから当たり前だよね

「彼氏はいいの?」

「今付き合ってる人いないよ
二股なんてしないし(怒)」

「ご、ごめん・・・本当にいいの?」

「嫌ならもういい」

「うわっ!嫌じゃない!抱きたいめっちゃ抱きたい(汗)」

「プッ・・・そんなに必死にならなくても(笑)」

「必死にもなるよずっと触れたかったんだから
それなのに人の気も知らずいつも後ろから抱き付いて来るし
学生の頃抑えるのどれだけ必死だったか(汗)」

「そんなの知らないもん」

「こんな事絶対に無いっておもってたから・・・(涙)」

顔を見ていられなくて下を向く



「優ちゃん」

呼ぶ声にゆっくり顔をあげると

夢でしか見たことが無かった真っ白で綺麗な肌をした
裸のにゃんにゃんが目の前に立っていた

約束 9

「私最低だ・・・」

神社の境内の始めてキスした場所


傷ついた大島さんを・・・優ちゃんをまた傷つけてしまった

知られたらこうなる事は予測できたのに・・・

女の子を好きで、陽菜の事が好きだったって
本人の口から言わせてしまった

優ちゃんはヘルパーの小嶋を信用して話してくれたのに・・・

「ごめんね優ちゃん・・・」

今ごろ一人で何を思い何をしてるんだろう・・・
私の事がにゃんにゃんと分かった時手が少し震えてたもん・・・


だめだ、このまま逃げちゃダメ戻らなくちゃ

持っていた鍵で玄関を開けると
微かに漏れてくるヴァイオリンの音色
そっと部屋に入り片隅で聴いていると

「何で戻って来たの?まだ、笑い足りない?」

「違う!ただ優ちゃんのそばに居たいから」

後ろから抱きしめると

「それって同情?」

「違うよ」




「・・・もう少しで夢がかなうはずだった
夢が叶ったら打ち明けようと思ってた
例え嫌われても・・・・
それで諦めるつもりだったのに・・・

でも、もうムリ!にゃんにゃんがそばに居て
私の気持ちを知ってもそばに居たいという今
我慢なんて出来ない!」


包帯を取りこっちへ向くと

「陽菜、ずっと好きだった」

右手で頬を確かめ陽菜を引き寄せると唇を重ねてきた

それは優しくてとても甘いキスだった

約束 8

陽菜なんて事を言っちゃったんだろう・・・
優ちゃんとキスするなんて・・・


でもあのままほって帰る事なんて出来なかった

好きだったと言われてやっと気づいた

あの頃の切なくしゃがれた声も
ふと見せる悲しそうな瞳も
泣きそうな笑顔も

全部陽菜に向けられていたんだね



その日は帰らずいつも通りお世話をした


次の日

「包帯ずれてますよ」

「今日起きるの遅くて慌ててやったから」

「巻なおしてあげるのでそこに座って下さい」

そう言えばいつもどうやって一人で綺麗に巻いてるんだろう・・・

寝る時は外してるんだよね?
お風呂に入るときは?

いつも陽菜が帰ってからだったからわかんない

包帯を外し終えると傷が見えた

この傷どうやって出来たんだろう・・・

「何度見ても気持ち悪いでしょ」

考えてたら手が止まってみいっちゃってた(汗)

「そんな事ないです」

「ドイツに留学して三年目くらいまで順調にいってたんだ
でも、女の子が好きだってバレちゃって
それをよく思わない人たちもいてさ結構いじめられてたんだ」

「・・・・・」

「何度もくじけそうになったけど約束があったから頑張れた」

約束?

「五年目の時CDの録音に入れてもらえる事になって
やっと約束を果たせると思ってたのに
収録する日の朝、良く思ってなかった子に・・・
咄嗟によけたけど右目がやられちゃって
その拍子に石垣の下に落ちて・・・
このありさまさアハッ」

「大島さん・・・」

いてもたってもいられなくてまた抱きしめてしまった

「小嶋さん(汗)」

「あ、すいません」

離れようとしたら

「少しの間このままでいて」

・・・・・

「目の手術日にち決まりましたか?」

「まだちゃんと決まってない
でもこのまま見えなくてもいいかなって・・・」

「何言ってるんですか?ダメですよ!きっと見えるようになりますから」

でも優ちゃんの目が見えるようになって
私が陽菜だってわかったらどう思うだろう・・

その前に消えなきゃ(汗)

それにこんなのダメでしょ?
私はノーマルだから女の子は無理・・・ムリ?

本当にムリ?

だって優ちゃんに抱き付くとあんなに心地いいのに?・・・
もっと抱きしめていたいって思うのに?
そんな事を考えていたらつい出てしまっていた

「優ちゃん・・・」

「!?」

驚いたように私から離れる大島さん・・・

「私の事優ちゃんて呼ぶのはにゃんにゃんだけ
小嶋さんはにゃんにゃんなの?
私の事だましてたの?」

「違う!(汗)」

「見えなくて何もわからない私の事笑ってたんだ」

「違うよ!」

「酷い・・・今すぐ出てって!
こんな姿見られたくなかったのに・・・・(涙)」

約束 7

縁日の日、少しだけ昔のような関係に戻れたような気がした

その勢いで次の日

「大島さんおはようございます!」

自分で冷蔵庫からペットボトルを出そうとしていた
大島さんに後ろから抱き付いてみる

「な、何してんの(汗)」

慌てて離れようとするところは変わってない

昔もこうやって後ろから包み込んであげたら
逃げようともがいてたもんね(笑)

だって陽菜にすっぽり収まるからつい・・・(笑)

「この前からかわれたでしょ(汗)」

「女の子同士ってやつですか?」

「そう・・・そういうのに間違えられたらいやでしょ」

「大島さんとなら大丈夫です
だって特別な人だから(бвб) 」

「っ・・・・」

ドン!

「え!?」

壁に押し付けられて・・・・
今・・・キスされた?

「ごめん・・・今日は帰って」

「え!?」

「小嶋さんは悪くないから・・・
悪いのは私だから・・・」

「どう言う事ですか?」

「どうしても彼女と・・・高校の時好きだった彼女と重ねてしまうの(汗)」

「彼女・・・・」

「私は女性が好きなの、気持ち悪いでしょ」

うそ・・・もしかして好きだった彼女って・・・陽菜?

「小嶋さんといると彼女と一緒に居るような感覚に陥ってしまう
昨日の縁日や海でも彼女と手を繋いで歩いてる錯覚に・・・」

「大島さん・・・」

「小嶋さんに魅かれて行く自分が居て・・・
こんなの彼女に対しても小嶋さんに対しても失礼なのに・・・
最低だね、私・・・」

気が付くと頭を抱え項垂れる彼女を引き寄せ抱きしめていた

「最低じゃないよ、大丈夫気持ち悪くないから
今だけ私を彼女だと思ってくれていいよ」

「っ・・・にゃんにゃん・・・(涙)」

「優子」

見えない目の替わりに手で頬を確かめ包み込むと優しいキスをしてくる

「んっ・・・チュッ・・はぁっ・・・」

ゆっくりと離れると

「・・・・ごめんね・・・有難う・・・」

そう言って自分の部屋へ入って行った
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