高校時代そう言えばいつも自分の事ばっかり話してて
優ちゃんの事あんまり聞いたことが無かったかも

(昨日また告白されたんだけど陽菜見た事ない人だったの
そんな人と付き合えるわけないじゃんね(怒))

(アハッそうだね)

(隣のクラスの田野君、武藤さんと付き合ったんだって)

(へぇー)

(どこかに優しくてカッコよくてお金持ちの男いないかな)

(アハッにゃんにゃんは贅沢だね)

いつも話を聞いて笑ってくれていたけどどこか影があって
悲しそうに見えてたのは何でだったっけ・・・

「どうしてこの曲を勧められたんですか?」

「報われない恋をした人が作った曲だからかな」

「なんで好きな人に?」

「なんでだろうね・・・・」

あ、またあの顔

目元は見えないけどこの雰囲気は
何でそんなに悲しそうなの?優ちゃん・・・・

「だいぶ暗くなってきたので散歩に行きませんか?」

「散歩?」

「海へ行きましょう!」

強引に誘って出てきちゃったけど
優ちゃん海好きだったでしょ?

「足元に段あるので気を付けてくださいね」

「ありがとう」

手を繋いで並んで歩く

「私の育った街にも海があったんだ」

「私もです、仲のいい子が居てその子とよく海へ行って
砂山作ってトンネル掘る競争したり」

「私もしてた!両方から崩さないように掘るの大変なんだよね♪」

「ちょっとやってみませんか?」

「え!?」

「はい作りますよー(бвб) 」

砂浜にしゃがんで作り始める

「出来たー、じゃーよーいドンで始めますよ」

その場所に手を持って行ってあげて自分の場所へ戻り

「よーい・・・ドン!」

掘り進めていくと

「あっ崩れそうですよ(汗)」

「うそ(汗)」

「ウソでーす(笑)」

「このやろー(笑)」

お世話しだしてから初めて本気で笑った顔を見たかも

掘りながら

「小嶋さんはなんでヘルパーさんになろうと思ったの?」

「私あんまり頭が良くなくて、でも人を助ける仕事がしたくて
この仕事がぴったりだったんですよ」

「高校生の頃はどんな学生だったの?」

「普通ですよ、どこにでもいそうなギャル?」

色々聞きたいのは陽菜の方なのに・・・

どうやって怪我をしたのか
何故連絡をくれなくなったのか
ドイツでどんな生活を送っていたのか・・・

そんな事聞けないけど・・・

「あ、届いた♪」

指と指がふれあい少し赤くなる優ちゃん

昔と変わんないね
陽菜の指に触れるといつも照れたように笑ってたっけ

「いい風だね・・・これが無かったらもっと気持ちいいんだろうな」

包帯を抑え辛そうなそぶりを見せる

「今まわりに誰もいないし月明かりだけだから外してみませんか?」

「でも・・・気持ち悪いよ」

「そんな事思いませんから」

「じゃー・・・少しだけとろうかな」

包帯を取った優ちゃんの右瞼の上と左こめかみにはひどい傷が・・・
でも目の輝きはあの頃のまま

「アハッ(-∀-`) びっくりしたでしょ」

「そ、そんな事ないです(汗)」

近づいてくる優ちゃんの右手が陽菜の頬に伸びてきて

「霞んでいてよく見えないけどきっと綺麗なんだろうね」

優ちゃんの触れたところが熱い(汗)

「普通ですよ、どこにでもある顔です」

「アハッ私もだよ」

陽菜より背は低いのに細くて長い指だった


遠くから声が聞こえてくる

「そろそろ戻りましょうか目も疲れちゃいますから」

「そうだね」

包帯を巻いてあげていると

「今日はありがとう凄く楽しかったよ」

そう言って笑窪を作る優ちゃん

この顔・・・懐かしい

「私もです(бвб) 」

別荘までまた手を繋いで帰った