ユウコ 4

陽菜・・・陽菜無事でいて

部屋の隠してある鍵を取り中へ入る

「陽菜どこ・・・陽菜!」

テレビの音が漏れていて作りかけの夕食と
食べかけの昼食が置いてあった

カタッ・・・

音に身構える

「クゥ〜ン・・・」

「うさ・・・お前は無事だったのか
陽菜はどうした?どこだ」

くるっと方向を変えリビングへ入って行き倒れた椅子の周りを
クルクル回る

「血・・・」

少しだけど血が床に落ちていた

「陽菜・・・すぐ助けに行くから」

隠し扉を開け
服を着替えカバンにかつらと変装用のメイク道具を詰め込む
もちろん銃などは持って入れないから置いて行く

最後に自分名義じゃないパスポートを入れると
仕掛けてあったトラップが作動し誰かが上がってきたことを告げた

「くそ、早かったな」

ドアが破られ突入してきた才加と特殊部隊

私は窓から外の壁をつたい三軒先の部屋へ降りたっていた

「こんにちは」

「こんにちは」

「お母さんは?」

「今日はお仕事なの」

「一人でお勉強してたんだ偉いね」

「えへへ」

「この子はうさぎって言う名前の犬なの」

「知ってるよ、陽菜ちゃんがいつも散歩させてたから」

「少しの間この子を預かっていてくれるかな」

「いいの?」

「お母さんに怒られるかな(汗)」

「大丈夫私が面倒見るって言うから」

「ありがとう頼むね」

「うん(*^^)」


外を覗くと部屋を調べてるのか誰もいないから急いで下へ降りた


帽子を深くかぶりリュックを背負いゆっくり歩いているのに

「いたぞ!」

流石才加だ、見つかってしまった

必死で逃げる

「止まらないと撃つぞ!」

「やめて下さい!優子投降しろ」

佐江が怒鳴る
でもここで捕まったら陽菜は殺されてしまう
捕まらなくても私が課せられた仕事に失敗すれば
きっと・・・

追い詰められる

「やめろ!撃つな(汗)」

「こっちへ来い!」

「撃つな!」

「早く来い!」

高架の下を走るトラックが見えた

一か八か・・・乗り越え荷台に上手く落ちた時銃声が


「ウッ・・・」


腹部に痛みがはしった

ユウコ 3 才加

「あんなスパイの言う事を信じるんですか」


「確かめるだけだ・・・おい、大島の情報を私の携帯に送れ」

元CIA諜報員、特技は爆弾作りと戦闘、銃の腕前も最高難度か・・
アメリカ生まれで両親は子供の頃事故で死亡
優子は奇跡的に助かった・・・

「警部、マリコが警官を二人殺し逃走しました(汗)」

「なんだと、何をしてるんだ早く探し出せ」

「窓を破り逃げたもようです(汗)」

「逃がすな追いかけろ」

「はい!」

「私も行きます」

佐江も合流していった

部屋の中を見ると

「おい、大島はどこへ行った」

「え?さっきまでいましたが・・・」

「いないじゃないか、モニターで探せ」

全階のモニターで探していると

「いた!一階だ」

素早く受付に電話を入れ止めるように言う

それが分かったのかカメラを見て角を曲がってしまった

「くそ、どこだ」

「・・・・いました」

「特殊部隊を送れ」

普通の警官ではあいつを止めるのは無理だ

なのに

それをも倒しまんまと逃がしてしまった

「必ず家へ帰るはずだ」

登録された住所へ向かうとそこはもぬけの殻

「どういうことだ・・・やはりあいつは・・・
そうだ、同居人の小嶋は確か看護師だったはず
病院へ電話をかけ住所を聞き出せ」

だいぶ後れを取ってしまったが・・・

まだ居るだろうか


ユウコ 2

ロシアの要注意人物としてマークされていたマリコが
亡命したいと出頭

その際重要な情報があると国際テロ対策課の私を名指しで指名してきた

「私が大島優子だ、何故私の名前を?」

「フッ、有名だからね」

「・・・で、何が目的だマリコ」

「もうスパイは飽きたからかくまって欲しい」

「そんな事を信じるとでも」

「信じるも信じないもそっちのかってでしょ
それに今から言う情報もね」

「ウソだったらすぐに送り返してやる」

「まあまあそう焦りなさんな、まず・・・

アメリカや他国、日本にまでロシアのスパイが紛れ込んでいて
近々目的達成のため集結する、それがXデイ」

「目的?」

「ロシアの大統領を暗殺しアメリカと核戦争を起こさせる」

「・・・そのXデイとやらはいつなんだ」

「アメリカ副大統領の葬儀の日」

「もうすぐじゃないか(汗)」

確かにロシア大統領も参列するが・・・

「だったらなぜアメリカに亡命しないんだ」

「それは君が一番わかってるはず」

「どういう事?」

「ユウコ・・・大きくなって綺麗になったね」

「な、何を言ってるんだ(汗)」

机をたたき立ち上がり詰め寄ろうとしたところを同僚の佐江に抑えられ
上司の才加が入って来た

「とりあえず優子はこの件から外す」

「な、何を言ってるんだ
こんなスパイの言う事を真に受けるのか」

「とりあえずだ」

「・・・ちょっと待って家に連絡させて」

「だめだ」

「陽菜の声を聞くだけだから」

強引に携帯を取に行き電話をかける

「スピーカーにしておけ」

言われるままスピーカーにすると

留守番電話につながった

「陽菜、この伝言を聞いたらすぐ連絡してきて」

まだ昼前だから家にいるはずなのに・・・

「取りあえず聞き取りするからこっちの部屋に入ってろ」

取調室ではないが外からも見える部屋に入れられた

入る前、連れ出されたマリコはすれ違いざまニヤッと笑った

いやな笑い方をしてる・・・・

「あいつをどこに連れて行くんだ」

「優子には関係ない」

「あいつが本当の事を言ってると思ってるのか
これは罠だ!」

部屋の中で叫んでいると外で才加と佐江が何やら話していた

そこへ慌てて部下がやって来て話し始めた
口の動きを読む

マリコがエレベーターの中で警官を二人殺し逃げたと・・・

陽菜が危ない

その瞬間部屋を抜け出した

ユウコ 1

「優子・・・優子起きて」

「ん・・・・おはよう・・」

「ご飯さめちゃうから早く!」

「んっ」

目を閉じ両手を広げ唇を尖らせながら待っていると

「ペシッ!」

「イテッ(汗)」

おでこを叩かれた

「なんだよ(怒)」

「ほら早く」

手を取り起こしてくれる

「ちぇっ、キスぐらいしてくれてもいいじゃんかよ」

プンプン怒りながら着替えていると

「優子」

「ん?」

振り向くと目の前に顔があって

チュッ!!

「フフ、早くね(бвб)」

・・・・私転がされてるな・・・(´-∀-)


「昨日遅かったね」

「今追ってる山がそろそろかなーて感じだからね」

「ふーんあんまり無理しないでよ」

「陽菜がいるからもう無茶はしない」

「陽菜を一人にしないでね」

「しない!ぜ―たいにしない」

「ありがとう」

「今日仕事は?」

「夜勤だから昼から行く」

「そっか、夜いないのか・・・」

「なーに、変な事しようとしてた?(笑)」

「ち、違うよ(汗)寂しいなって・・・」

「夕飯作っとくから」

「アハッいい奥さん」

「当たり前だし(笑)」


アメリカから日本へ活動を移し陽菜と一緒に暮らし始めて二年

陽菜もボランティア派遣をやめ日本の病院で働いている

幸せに暮らしていたのに
その幸せはある者の来日によりもろくも崩れ去った

ユウコ プロローグ

イラクへ潜入し内情を探っていた時
味方に裏切られ見つかり拷問を受け瀕死の状態だった私を
看病してくれたのが
民間医師ボランティアで派遣されていた看護師のハルナだった


「もうだめかもしれない」

「何言ってるの、私にできることがあるなら言って」

「そんな事したらあなたの命が危ない」

「ユウコを助けられるなら私はなんだってする」

「私は仕事の為にあなたに近づいた
だから助けてもらう権利はない」

「そんな事・・・うすうす気づいてた」

「私はCIA諜報員」

「でも愛し合ってたあの時間は嘘じゃなかったでしょ」

「・・・・・・」

「ユウコ!」

「おそらく明日には処刑されると思う」

「なんで、きょうまでがんばってきたのに」

「何も話さない捕虜は生かしておく必要ないから」

「逃がしてあげる」

「ハルナには無理だよ
例え成功してもハルナが殺されてしまう」

「どうすれば助けられる?」

「・・・・医師団の無線電話あるよね」

「うん」

「この番号にかけて1017と打ち込んでほしい」

「それだけでいいの?」

「気を付けて」


次の日の早朝
特殊部隊が突入してきて私は助け出された


それが陽菜との出会いだった

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