いつまでもいつでも

普段めったに連絡の来ない兄貴から
電話がかかって来た


「久しぶり」

（久しぶりじゃねえよ
こじはると付き合ってるのってお前だったのか）

「あの写真だけでわかるなんて
流石兄貴（笑）」


てっきり昨日の写真の事だと思っていたのに


（何言ってるんだ
こじはるからの写真見てないのか）

「ごめん切るわ」


電話を切り急いでインスタを見る

ん？何もない・・・おかしいな・・・

小嶋陽菜で検索してみると


「うそでしょ・・・」


雑誌社の名前まで出てるし
高校の同級生で恋人って宣言しちゃってるじゃん（汗）


すぐ消されたんだろうけど
ファンは気づいてすぐ保存するからね
そして拡散か・・・



なんか・・・・先輩ごめんなさい（汗）

今頃慌ててるだろうな
まあ、ネット社会においてスピードは命だからね
もたもたしてる方が悪いか（笑）

にしてもこの写真載せちゃったのか・・・
みんなには見せたくなかったなこの笑顔

私と陽菜だけの秘密だったのに・・・


何百枚も撮った中での一番お気に入りの写真
一度は写真集の候補として上がったけど
私が却下した

だってこんな顔
私以外に見て欲しくないからね

でも・・・

はぁ・・・可愛いなぁー(-∀-`)
ずっと見てられる
みんなどう思ってるんだろう

あっという間にネットニュースになり
SNSでは大騒ぎ

でも批判のコメントを見るのが怖くて
コメント欄は見れてない

絶対に大島優子死んでくれとか書いてあるでしょ？
そんなのを見たら一般人の大島さんは立ち直れないから


お風呂に入ってさっさと寝よう

明日はきっと大変な事になると思う
まず先輩がやって来てコメントと写真を撮られるだろうし
嗅ぎ付けた他の週刊誌や下手したら
テレビ局も来ちゃったりする？

ついでにカフェの宣伝と写真展の宣伝もしちゃおう
面白半分に来る人もいるだろうし

お金は儲かる時に儲けておかなきゃね（笑）


ベッドに入ろうとした時電話が鳴った
もちろん画面には



「もしもし陽菜？大丈夫？」

（連絡できなくてごめん
さっきまで携帯取り上げられてて
マンションについてやっと返してもらった）

「大変だったね」

（バラしちゃってごめんね）

「遅かれ早かれバレるだろうし
陽菜が正確な情報を流してくれたから
誤解を招かないし良かったよ」

（優ちゃんならそう言ってくれると思ってた）

「でも、あの写真は載せて欲しくなかったかな」

（それだけはホントごめん）

「明日からどうするの？
辞めちゃうの？」

（ネット見てないの？）

「情報だけ見てコメントは開いてない(;´-∀-)」

（凄い反響だよ、写真をもっと見たいから
写真集出して欲しいって殆どの人が書いてくれてる）

「うそ・・・・」

（中には怒ってる人もいるけど
そんなの数えるほどだから気にしないでいいよ）

「じゃー陽菜辞めずに済むの？」

（新曲のプロモーションでショップ周りとミニコンサートで
なかなかそっちに行けないけど泣かないでよ）


質問の答えになってないけど
続けられるって事だね・・・良かった(。-∀-)


「寂しくなったら会いに行く」

（だったら毎日でしょ)

「そうだけど毎日は・・・(;´-∀-)」

（ふふふわかってる
今のうちに沢山写真撮りにいっておいたほうがいいよ
陽菜が暇になったらいけないんだから（笑））

「わ、わかった(;´-∀-)」


だったら今から雲隠れしようかな
その方がより話題になるでしょ(-∀-`)


数日間の着替えと腐りそうな食料を
クーラーボックスに入れ
機材を車に積み
ドアの所には臨時休業の張り紙をして出発


おじさんには数日戻らないので
適当にお店を使ってくださいと送っておいた

今年も当ブログににお越しいただきありがとうございましたm(_ _)m

コロナに怯えながらのあっという間の一年だったのではないでしょうか？

曲が終わると楽屋へ連れ戻された


「なんで？ひな壇に座らなきゃダメじゃん」

「そんなのはどうでもええわ
自分で何言ったかわかってるんか（怒）」

「わかってるし（怒）」

「どうしてそんな大事な事一人で決めるの？」

「だって反対するじゃん」

「当たり前でしょ
陽菜がいなくなるって事は
事実上の解散だからね！」

「なんで？二人で続けたらいいじゃん
あ、なんならデュオとして再デビューしたら？」

「あのねこの二人だけで人気出ると思う？」

「・・・・・(бвб)　」

「否定しろや〜なんか傷つくわぁー('A`)」

「じゃーたかみなは出ると思ってんの？」

「思わんけど・・・」


カチャッ


「どういうつもりなの（怒）」


また煩いのが入って来た


「昨日と言い今日と言い勝手にもほどが過ぎるわよ（怒）」

「だから責任取って辞めようと思ったんでしょ
なんなら陽菜は引退してもいいんだけど」

「あなた達にどれだけお金をかけて来たと思ってるの」

「十分回収できてるでしょ」

「CMは違約金が発生するしラジオや
テレビのレギュラーだって違約金がかかって来るのよ」

「写真集で回収すれば？」

「こんな状態で出せるわけないし
出したって売れないわよ」

「むぅ・・売れるし」

「出してくれるところだって無いわよ」

「だったらもういい」

「ほんとにもう・・・
私はプロデューサーに謝ってくるから
大人しくしててよね」

「わかってるし」

「この後どうしたらいいですか（汗）」

「帰り支度して待ってて」

「わかりました・・・」


しょんぼりしてるたかみなとみーちゃん


悪いとは思うけどどうすることも出来ない

そうおもいながらスマホを開くと
すごい事になってる


（絶対ドッキリじゃないでしょ）
（これからどうなるの）
（あの写真の相手のせい？）
（こじはるの相手ってどこの誰？）


どうせバレるんだから今でもいいよね？
それに変な風に書かれるのも嫌だし


陽菜だけの一枚にしたかったのに仕方ないか・・・
プロフィールと一緒に載せることにした


撮影者　大島優子
元〇×雑誌スクープカメラマン
こじはるとは高校の同級生で恋人
現在はフリーカメラマンとして
こじはるの写真集を撮影中


但しこの騒ぎで写真集はお蔵入りになる予定


「これで良し(бвб)　」

「何が良しなの？」

「また変な事考えてるんちゃうやんな？（汗）」

「変な事は考えてないよ
みんなの疑問に答えてあげるだけ」

「・・・・だめ！たかみな
陽菜の携帯取り上げて（汗）」

「え、え・・・」

「はい、遅ーいもう送信しましたぁー」

「まだ消せば大丈夫だから早く！」

「陽菜に触る気！？」

「うぐっ・・・（汗）」

「もう・・役に立たないんだから
それ貸して」

「どうぞ(бвб)　」

「暗証番号は？」

「いう訳ないし」

「だったら」


そう言って陽菜の顔に携帯をかざす賢いみーちゃん

顔認証だからすぐ開いちゃった

その後すぐ消されたけど
２、３分稼げたからそれだけあれば十分

スクショしたファンの子からファンの子へ
拡散していき

あっという間に広がっていくから


思惑は見事にはまりまた宇佐美さんが
怒鳴りながら駆け込んできた


「あなたって子はどこまで・・・」


凶と出るか吉と出るかは陽菜にもわからない

でもあの写真を見たらきっと・・・

陽菜が出て行ってから一時間後
細心の注意を払いマンションを後にする

幸いつけて来る車もなく無事家へ

そして気まぐれカフェをオープン


「いらっしゃいませ」

「今日は開いてたな（笑）」

「不定期ですみません（汗）」

「それもおみくじみたいで面白い」

「どういう意味ですか？」

「開いてる日に当たったら
その日はいい日！みたいな（笑）」

「なるほど(-∀-`) 名前変えよかな（笑）」

「カフェおみくじにか（笑）」

「それいいですね(笑)」



それでも来てくれる常連さんはありがたい


営業を終え夕飯
お風呂にも入りテレビの前でスタンバイ

いつもの陽菜も可愛いが
アイドルの衣装を着てメイクした陽菜は
また違った意味で可愛い

今日は新曲お披露目だから楽しみだったんだけど

陽菜の発した言葉に茫然としてしまった


数秒間の沈黙


「はい、皆さんへのドッキリでしたー
では聞いてください新曲で○○」


たかみなさんが無理やり曲へ持って行く

眉間にしわが寄りながらも
ちゃんと歌いだす陽菜


これって私のせい？

曲が終わり司会者に映像が変わっても
今の事に触れることなく淡々と進行していく

きっと曲の間に何か言われたんだろう


それから最後まで
陽菜達がテレビに映ることは無かった

もちろんネットではドッキリで済むはずがない

そして一段と相手は誰だと捜索が始まる


先輩喜んでるだろうな
もちろん編集長も（笑）


どうやって載せるのか楽しみにしてたのに


またもやスクープつぶしの画像と詳細が出た


もちろん発信者は・・・・・

起きたときに朝ごはんが出来てるってすごい贅沢だと思う


だって作る時間分寝ていられるんだよ
ボーとしていてもご飯出てくるんだよ

何食べようかなって考えなくてもいいんだよ


凄くない？


そして大好きな人に起こされる・・・・・


こんな幸せでいいのかな


「早くしないと遅刻するよ(;´-∀-)」


せっかく幸せに浸ってたのに
現実に呼び戻された(怒）


「わかってるし」


目の前にあるご飯を平らげ行く準備をしていると
マネージャーからのline


「一緒に出る？」

「私は後片付けと掃除してから帰るよ」

「いつもありがと(бвб)」

「どういたしまして（笑）」




「おはよう(бвб)　」


気分よく車に乗り込んだのに挨拶もしない
マネージャーの態度に一気に冷める


「あれ私が撮った写真だよね」


キスしてる方じゃない写真の事を
言ってるんだってすぐわかったけど


「そうだったっけ？」

「騙したの（怒）」

「人聞き悪いなー騙したも何も
撮ってーて言っただけじゃん」

「こんな事に使うなら撮らなかったのに（怒）」

「だって綺麗に撮れてたんだもん」

「バレたら私・・・・」

「大丈夫、絶対に言わないから安心して」


なるほど、自分のクビを心配してるのか・・・


「ほら早く出発しないと遅刻するよ」

「わかってる」


ムスっとした顔のまま運転しだす

陽菜専属になって半年ほどかな・・・


それまでは二代目チーフマネージャーの宇佐美が
ユニット兼陽菜専属だったけど
忙しくなりすぎて両方見れなくなり
この平嶋がマネージャーについた


「現地集合なの？」

「そう」

「宇佐美さんは？」

「写真集の打ち合わせでリハは来ません（怒）」

「そう・・・」


今日は音楽番組の生放送に出演

朝からリハがあって放送は１９時から三時間

いろんなアーティストが集まりそこには
関係を持った人も数人・・・・

みんな遊びと割り切ってるから
会ってもいつもと変わらない

まあ、中にはしつこい人もいるけど
スキャンダルはアイドルにとって命とりだから
公表するというとみんな離れて行った



楽屋へ入ると２人は来ていて
一斉に振り向く


「おはよう・・・・どうかした？」

「どうかしたじゃねえわ（怒）」

「何考えてんの（怒）」

「なにが？(бвб)　」

「あの写真どういう事（怒）」

「ん〜ほんとの事(бвб)　」

「もうあかん・・・終わりや（汗）」

「人気落ちちゃうよー（泣）」

「バレへんようにするって言うから認めたのに」


ギャーギャーうるさい二人


険悪な雰囲気のままリハが終わり本番へ

始まる前に音響さんにだけ伝えておく
曲を流すのを少しだけ待ってくださいと

そして



「私小嶋陽菜は
今日を持ちましてユニットを脱退します」


言い切ったのになかなか曲が流れてこなかった