お昼の情報番組や夕方のニュースは
陽菜の話題でいっぱいだった
店が終わりLINEを打つ
(大丈夫?)
すぐに既読が付き返信が来た
《優ちゃんにも迷惑がかかるかも・・・ごめんね》
女性と付き合ってると匂わせたのはびっくりした
でもそのおかげで女性と付き合ってるとスクープしようとした
先輩は悔しがってるだろう
もしかしたら名前を出してくるかもしれない・・・
続けて来たLINE
《会いたい》
私だって会いたい
会って抱きしめてあげたい
でも今それをすると格好の餌食になるから
出来ない事を陽菜も分かっていると思う
(いつでもそばにいるから)
《いないよ》
(陽菜の心の中にいるよ)
少し間があり
《温もりを感じたい》
何で急に可愛くなるのかな(;´-∀-)
このまま車に飛び乗って会いに行きそうになるのをぐっと我慢
(少しの辛抱だから)
《うん》
少しってどれくらい
そう聞かれるかと思ったけど
うんと一言だけ送られてきたからやっぱりわかってる
(おやすみ)
《おやすみ》
「大丈夫かな・・・・」
どうした方が陽菜の為になるのだろう
このままアイドルを続けたいなら
別れるしかないのかもしれない・・・
やっぱりあの時海外に行っておけばよかった
そしたらこんな事にはならなかったのに・・・・
「何やってもタイミング悪いなー私(;´-∀-)」
次の日
「いらっしゃいませ」
カシャカシャ!
「ちょっと何撮ってるんですか(;´-∀-)」
「こじはると付き合ってるのってお前だよな」
「何の事ですか」
「しらばっくれても車のナンバーわかってるし
あの日この近くまで追いかけてきてたんだからな」
やって来たのはあの大っ嫌いな先輩カメラマン
同じように動いててあの日先輩はここを見つけられず
あの人にすっぱ抜かれて苛立ってるんだろう
「そうだとしても私は一般人ですよ
写真や名前出す事出来ないですよね」
「クッ・・・・・」
「あまりしつこいと営業妨害で訴えます」
「絶対に徹底的瞬間を撮ってやるから
覚悟してろよ」
「そんな場面はありませんから(´-∀-)」
絶対に撮ってやる!と吐き捨て出て行った
「お騒がせしてすみません、お詫びにコーヒーもう一杯
サービスさせていただきます」
今日のお客様は年配の方が多くて良かった
多分アイドルのこじはるを知らないと思うから
「こじはると付き合ってたのは優子ちゃんだったのか」
「おじさんこじはるを知ってるの?」
「ああ、デビューしたての頃だったかな
まだ全然売れていない時に会った事があるんだ
ワシの旧友たちが開いているある会食に呼ばれていて
ワシも久しぶりに行ったんだが
お酒を注がされたり隣に座らされて触られたりして
まだ20才になってなかったんだろうに
酒も飲まされていてな
ワシは何度か飲ませるのを止めるように咎めたんだが
質の悪い奴らでドンドンひどくなる場に嫌気がさし
ワシは帰ったんだ
あの後どうなったのか心配してたんだが
マネージャーや他の子も同席していたし
ニ三日後に出ていたテレビではキラキラしてたから
大丈夫だったんだなと思っていたんだが・・・・」
恐らくその時に陽菜は無理やり・・・
まだ未成年だったのか・・・くそぅ
「それどんな人たちの集まりだったか聞いてもいいですか?」
「今はもう定年しているが某チャンネルの社長や
プロデューサー達だ」
初めては社長と呼ばれてた人だって言ってたな・・・
「前社長ですよね、おじさん友達なんですか?」
「同級生でな若いころに色々と出資してやってたんだ
なのに出世したとたん偉そうになりやがって
金は人を変えるから沢山無い方がいい」
「おじさんも社長だったの?」
「ワシの家は地主だったんだ」
だからお金持を持っているのか
「その人と、まだ交流がありますか?」
「連絡は取っとらんが住んでいるところはわかるぞ
いまだに遊んでると聞くからあまり関わり合いたくないんだが」
「教えてもらってもいいですか」
「いいがどうするんだ」
「悪事を暴いてやりたいんです
若い子を食い物にして・・・私物化していた事を」
「まさか・・・・」
「許せないんです」
「そうか、さっきの話だと優子ちゃんの車は使えないだろ
ワシのを乗って行けばいい」
「いいんですか?」
「それと、暴くまでワシがここを見ててやる」
「・・・・・ありがとうございます(。-∀-)」
窓から外を見ると先輩の車が止まっていたから
今は迂闊に出れない
閉店時間まで私がいると思っているから
きっと仮眠するはず
その時におじさんの車で東京に戻ろう
奥にしまっていた仕事用のカメラを取り出し
髪を結いニット帽をかぶりコンタクトを外し眼鏡に変える
メガネは夜しか付けないから
見慣れない人にはこれだけでも変装になる
よし・・・・居眠りしてる出るなら今だ
車のエンジンをかけルームミラーで先輩の車を見ていると
エンジン音で一瞬起きたが
私の車じゃないことに安心したのか
またシートを倒し寝てしまった
おじさんが私の車に乗って帰る時に悔しがるんだろうな(笑)