いつのまにか 16  最終話

乾燥した唇・・・・・

ゆっくり離れ頬を流れる優子の涙を拭う

「あったかい・・・・」

その涙は確かに温かかった


なのに



「陽菜・・・・・ありが・・・とう・・・(すき)・・・・」


最後の言葉は声になっていなくて
唇がそう動いたように見えただけなのかもしれない



ピピピピピィ!

機械音が鳴り出す


「先生を呼んで」


心臓マッサージを始める看護師さん


「優子・・・ゆうこ!」


こんなに叫ぶことはもう一生ないだろう
それほど叫んだのに・・・・



優子は二度と目を覚まさなかった




お葬式とは名ばかりの簡単な式で
お見送りも施設の関係者と陽菜と麻里子だけ

綺麗な顔で寝ている優子

「ニャロそろそろ離れないと」

手を伸ばし頬に触ると冷たくて・・・・
涙が自然とこぼれる


「バカ優子・・・ずっと愛してるから
天国で泣かないで」


その後、麻里子に抱き付き陽菜が泣いた

篠田役得(*`ω´) 

なーんてふざけて誤魔化してたけど
抱きしめてくれていた手が少し震えていたの知ってるよ


全てが終わり骨だけが残る
もちろんお墓なんてないからお寺に持って行くらしい


「・・・・・」

園長の娘さんが陽菜の前に立ち

「ん!」

ぬいぐるみを陽菜に押し付けて来た

「これ何」

「私が持ってようと思ったけど
あんたが持ってたほうが優子が喜ぶと思うから
だから・・・・大切にしてよね」

それだけ言うと走って行ってしまった


「あの子」

「はい」

「優子の事が好きだったのよ」

「・・・・・・」

「でも優子は妹としてしか思って無くてね
結局伝えないままあの子の初恋は終わり」

「・・・・・・じゃーこのぬいぐるみは娘さんが持っていた方が」

「優子ね、そのぬいぐるみをあなたに見立てて練習してたのよ」

「練習?」

「どうやって声をかけようか、何度も何度も繰り返し練習してた
そしてそれを抱いて寝てたみたい
だから、それをあなたが持っているほうが優子は嬉しいんじゃないかしら」

「私が・・・・」

「よかったら今度は施設に遊びに来てください
子供達も綺麗なお姉さんが来てくれたって喜んでましたから」

「二人で行きます(*`ω´) 」

「待ってますね(笑)」



「よし、今日は篠田の奢り
みーちゃんも呼んでぱーとしよう」

「今日はいい」

「そっか・・・一人で大丈夫?
篠田泊まろうか?」

「変な事が起こったら嫌だからいい」

「こんな日にするわけないでしょ」

「他の日ならするんだ(笑)」

「どうでしょ(*`ω´) 」


麻里ちゃんの明るさに少し救われた気がする


「麻里子、ありがとね」

「そんな改まって言われると照れる(汗)」

「ふふ、じゃーまた会社で」

「元気出して」

「ありがとう」





空を見上げると雲一つない快晴で

優子が”姫、元気出して”

と言ってる気がした




いきなり告白してきて
いつのまにか家に入り込んでいて
いつのまにか陽菜の心に住み着いていた

そしていつのまにか・・・・
ううん突然いなくなってしまった優子


犬のぬいぐるみ一つだけ残して・・・・


たっれ下がった耳に人懐っこい顔

これどう見ても陽菜じゃなくて優子じゃん(笑)



「バカヤロー!」



空に向かって叫ぶと少しスッキリ



「さあ、帰ろっか優ちゃん(бвб) 」



分身をしっかり胸に抱き足を一歩踏み出した





おしまい
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いつのまにか 15

やっと自分の気持ちに気がついたのに・・・

優子は死んじゃうの?
もう会えないの

「会いたい・・・優子に会わせて下さい」

「辛くなるのはあなたよ」

「このまま会えないほうが辛いです」

「わかったわ」


そのまま病院へ逆戻り

保護者の園長先生が了解してくれたから会えることになった

会えると言ってもガラスの外からだったけど

酸素マスクと点滴の針を刺され動かない優子
頭には毛が無くて・・・・・

「あたま・・・・・」

「ウイッグをかぶってたのよわからなかった?」

「はい・・・」

「高いのは買えないからバレないかって心配してたみたいだけど
バレて無くてよかったわ」


陽菜は優子の何を見ていたんだろう・・・


「目を開けてよ・・・・・優子(涙)」

ガラスに近づき語りかけるけど聞こえるはずがない

「毎日会いに来てもいいですか」

「いいの?」

「会社近いですし帰りに来ます」

「病院の方には言っておくから
優子をよろしくね」

「はい」

園長先生が帰られても陽菜はそこにい続けた

面会時間が終わるまでずっと優子が眠る姿を
ただ見つめていた

「小嶋さんそろそろ面会が終わる時間なので良いですか」

「はい・・・・明日もまた来ます」

「優子ちゃんには伝えておくわね」

眠ってる優子にいつも話しかけているらしい
もしかしたら聞こえてるかもしれないでしょって

陽菜が行くと

小嶋さんが来たわよって

帰る時間になると
また明日も来るって、と


それが一週間続いたある日
仕事中にスマホが震えたから開くと園長先生からで

(優子が目を覚ましたみたい)


それを見た瞬間席を立ちバックを持っていた

「ニャロ?」

「気分悪くなったから病院へ行って来る」

「そう言えば良いんだね」

「うん、後はよろしく」


それだけで分かってくれた麻里ちゃんは最高の親友


エレベーターが遅く感じ会社を出た瞬間駆け足になっていた


「はぁはぁはぁ・・・・・優子」

おそらく連絡があってからすぐ連絡をくれたから
園長先生はまだ着いてなくて陽菜だけだった

いつも目を閉じていた優子の目が少しだけ開いていて

看護師さんが何かをささやくと目だけをこっちに向けた

「優子、優子」

少しだけ口角が上がったような気がしたけど
また上を向いて目を閉じてしまった

また意識がなくなったんだろうか・・・
でも口がかすかに動いていて
看護師さんがそれを聞き取ろうと耳を近づけていて

少し待っているとガラスの方に近づいてきて
通話できる電話で

「今優子ちゃんがありがとう、ごめんなさい、さようなら、て・・・・」

なんでさようならなの!


「優子と話したい」

「それは無理よ」

「あなた達だって入ってるんだから私も入れるでしょ」

無理だって、屁理屈だってわかってる
でも言わずには居られなかった

「入れてあげて下さい」

後ろから声がして振り返ると園長先生が立っていて

「私の変わりに小嶋さんを入れてあげて」

「良いんですか」

「優子もあなたの方が嬉しいでしょうし」

ここで断るすべはない

「ありがとうございます」

素直に受け中へ入れてもらう

体を消毒して特別な服を着て中へ


「優子・・・・・陽菜だよ」

ゆっくり目が開くけど何処かうつろで
焦点は定まっていなかったけど

「・・・・るな」

動いた口が陽菜って言ってるのがわかる

「帰ってきてよ、陽菜の家に帰ってきてよ」

「ごめん・・・・」

「やだ、謝らないで」


自分で酸素マスクを外す優子
看護師さんも止めないという事は・・・・


「幸せだった」

「これからもっと幸せにしてあげるから・・・好き、優子が好きなの!」

そう言うと優子の目から涙がこぼれ落ち

「私は・・・・嫌い」

「嘘つき、好きだって言ったじゃん」

「ごめんね」

「だから謝らないで(涙)」


我慢してたのに陽菜の頬を熱いものがつたって落ちていく

「そうじ・・・・」

「なに?」

「ちゃんとしてね」

「優子がしてよ」

「ご飯もちゃんと・・・食べて」

「優子が作るのしか食べたくない」

「私の・・・初恋の・・・人」

「知ってる」

「キスして・・・・ごめん」

やっぱりあの時

「寝てる間にするとか卑怯じゃん」

困った顔をするから顔を近づけ
ゆっくりキスをした



いつのまにか 14

「あのう、施設のば・・・」

「おはようございます」

「あ、大堀園長おはようございます」

「園長って・・・もしかして優子の」

「あなたは・・・・小嶋さんかしら」

「はい!小嶋陽菜です」

「そう、あなたが・・・優子がお世話になりました」

「どうして過去形なんですか」

「少しいいかしら」

「はい」

休憩室みたいな所へ移動して
自販機でコーヒーを買う


「会社はどうされたんですか」

「今日は休暇で・・・人間ドックの申し込みに来たんです」

「そう・・・・・」

「優子の事教えてください」

「あの子は言わないで欲しいみたいですけど」

「こんなに心にズカズカ入り込んできて
いきなり行けませんと言われて
ハイそうですかなんて言えると思いますか」

「そうね・・・・・分かったはついてきなさい」

「また午後に来ますわ」

もう一度ナースステージョンへ戻り
そう言って病院を出て電車に揺られ
30分ほどで着いた場所は

「ここが施設ですか」


そこは決して綺麗とは言えないコンクリートでできた古いホームで
大きな地震で潰れてしまいそう・・・

「そんなに簡単には潰れないわよどうぞ(笑)」

考えを見透かされ恥ずかしくなる


「先生おかえりなさい♪」

「ただいま」


どう見ても幼稚園くらいの子供3人と3,4歳位の子供が1人

それと

「早かったね・・・・この人だれ」

「お客様になんて口の聞き方ですか」

「みんなおいで」

「こら敦子、ほんとにもう・・・
ごめんなさいねわがままに育っちゃって
娘の敦子よ」

「園長先生のお子さんですか」

「そう、旦那は居なけどね(笑)」


「どうぞ」

そう言ってお茶を出され

「なにを聞きたいのかしら」

「全部」

「そう・・・・」


優子は施設の前に捨てられてたという事

(これは嘘じゃなかった)

施設は高校生を卒業とともに出ていかないといけない事

(これも嘘じゃなかった)

優子は高校を卒業してすぐ就職し
住み込みでここの手伝いもしていたという事

(だから家事が得意だったんだ)

ある日倒れて病院へ運ばれ病気がわかった事

「白血病・・・・」

「よくわかったわね、すぐ入院して治療し一度は退院して暮らしてたの
でも・・・・
再発しちゃってね、見ての通り貧乏な施設でお金はないし
何より優子の血縁者が何処に居るかわからないから手術もできないし・・・」

「でも骨髄バンクとか有るじゃないですか」

「もちろん登録してるわよでもねそんな簡単に見つからるものじゃないから」

「そんな・・・・・」

「病気になってからも明るくて弱音なんて全く吐かない子でね
病気の事を知ってるのは私と娘の敦子だけ」

「今クリーンルームに入っていて面会できないって」

「そうね、もう出れないかも」

「先生は・・・・」

「最善は尽くしますとだけ」

「・・・・・・・」

「優子はこの人の何処がいいわけ、普通の人じゃん」

「これ、敦子(怒)」

「こんな人のために自分の寿命縮めて馬鹿みたい」

「向こうへ行ってなさい」

「寿命を縮めたってどういう事」

「入院して放射線治療してたのに・・・
治療をやめなかったらもっと長く生きれたのに
こんな人のために・・・・優子が可愛そう」

「いい加減にしなさい」

「お母さんの馬鹿!」


部屋を出ていった娘さん


「優子は何処で私を見ていたんでしょうか」

「入院していた部屋からちょうどあのコンビニエンスストアが見えるのよ
ああ見えて人間観察が好きな子でね
そこであなた・・・小嶋さんを目で追うようになって
好きになってしまったみたい
ふふ、優子の初恋なんだそうよ」

「私が初恋・・・・」

「この年でって思うかもしれないけど
本当に施設のために学生の時はバイトして
就職してからも遊びにも行かず子供たちの相手をしてくれて・・・
だから、あの子から最後のお願いって言われた時
ダメって言えなかったのよ、母親失格ね(笑)」

力なく微笑み涙を流しながら話してくれた園長先生

「想いが叶わなくても、ただ、生きてる時間一緒にいたい
好きな人と同じ時間を過ごしたいって言ってたわ
だいぶ迷惑をかけたんじゃないかしら
親代わりとして謝ります」

そう言って頭を下げるから

「頭を上げてください
迷惑だなんて思ってませんから
私も優子のことが好きです」

「小嶋さん・・・・・ありがとうございます
優子がその言葉を聞けたらどれだけ喜んだか」

「聞けたら?・・・・今聞けたらって言われましたか」

「そう、優子は小嶋さんのところから帰ってきてすぐ倒れ
眠ったままなんです」

「でもメールが・・・・」

「あれは娘の敦子に送らせたものなの」


そんな・・・・・・優子

いつのまにか 13

「この頃どうしたの、昔のニャロに戻ったじゃん」

「普通に戻っただけだし」

「こわ(笑)もしかしてゆっぴー来なくなったとか?」

「・・・・・・知らない」

「え、うそどうして?」

「だから知らない!」


何も言わずに来なくなってから三日後

何で来ないの?とLINEを送ったのに既読がつかないままの一週間後

(行けなくなりました)

その言葉を最後にLINEも消えた


やっぱり高校生の気まぐれだったんじゃん
なのになんでこんなに腹立たしくて苦しいんだろう

「おっはよう、ねえ、今日あたりまた陽菜の家に集まろうよ」

「もう、ゆっぴーいないんだって」

「え、なんで」

「ニャロが冷たすぎて冷めちゃったんじゃない(*`ω´) 」

「あぁ・・・・女でもダメだったか(笑)」

「二人していい加減な事言わないでよね(怒)」

「いい子そうだったのに惜しい事したね(ΘωΘ) 」

「陽菜は悪くないし」

「また学校始まったらコンビニでバイト始めるんじゃない?(*`ω´)」

「コンビニで思い出したけど大島優子なんていなかったみたいだよ(ΘωΘ)」

「それ新しいバイトの子が言ってるんでしょ」

「違うよ、店長に聞いたんだから間違いない」

「うそ・・・じゃー何処で陽菜を見てたって言うの」

「ストーカー(*`ω´) 」


今までの事全部うそだったって言うの?
何のために?
何も無くなってないしなにもされてない・・・よね


「でも、みーちゃんも見た事あるって言ってたじゃん」

「そうなんだよね、私どこで見たんだろう」

「思い出せ!」

「そんな事言われてもさ」



「あ、小嶋さん早く人間ドック行って下さいよ」


人事部の子が通り際に言ってきた


「暇なときね(бвб) 」



「・・・・・あぁぁ!!そうだ人間ドックだ」

「ビックリした、みーちゃんもまだ人間ドック行ってないの?」

「違う、私は先月の初めに行ったの
でねそこで優子を見たんだ」

「そんな一度見たくらいで覚えてるわけないじゃん」

「それがさ、ナースステーションの中にパジャマ姿がいるから覗いたわけよ
そしたらその子変顔とか物まねとかして看護師さん達を笑わせてたわけ
で、近くを通りがかった看護師さんにあの子中学生ですかって聞いたら
もう成人してるわよって笑われて年を聞いてビックリした」

「いくつだったの?」

「陽菜と同い年」

「うそ・・・・」

「見えないよね、だから覚えてた」


覚えてたって・・・今まで忘れてたくせに・・

と言う事は病気だったって事?
もしかしてまた入院したとか?

とりあえず


「今から人間ドックの予約取りに行ってくるから早退にしといて」

「早退ってまだ始まってないよ(汗)」

「じゃー欠勤でいいからよろしく」


カバンを持って出て行こうとして気が付く

「ねえ、どこの病院」

「ひと筋向こうに病院あるでしょそこだよ」

「そこだよって言われても行った事無いんだからちゃんと教えて」

「こっち来て」

窓の近くまで行くと

「ビルとビルの間に茶色いレンガの建物あるでしょ」

「うん」

「あれが病院」

「わかった」


こんなに近くにあったんだ・・・



大通りを渡り間を抜けまた道路を渡ると病院の入り口があり
外来の受付にはいかず入院病棟のナースステーションへ


「あのう・・・大島優子さんの面会に来たんですけど
何号室ですか」

「優子ちゃんのお友達ですか」

「はい」

「申し訳ありませんが今は面会できないので
来たことは伝えておきますからお名前書いておいてくださいますか」

「面会できないって・・・悪いんですか」

「いまクリーンルームに入っていて面会謝絶なのよ」

「クリーンルーム?」

「何の病気なんですか」

「個人情報なので言えないわごめんなさいね」


外に出て麻里子に電話をかけるけど出なくて
何度めかのコールに


「もしもし(*`ω´)」

「ちょっと早く出てよ」

「今朝礼だったの!で、見つかったの?」

「クリーンルームに入る病気って何」

「ゆっぴー無菌室に入ってるの?」

「そう言ってたけど病名は教えてくれなかった」

「そこに入ってるなら相当悪いのかも」

「だから何!?」

「血液のがんて言ったらわかる」

「白血病・・・・」

「そう、だから食欲なかったし痩せてきてたんだね」

優子が白血病・・・・うそ

「ねえ、どうしたら会える」

「体調のいい時に本人の希望じゃない?
とりあえず会える時連絡貰えるようにしとけば」

「会う気なかったら一生会えないって事?」

「う〜んそう言う事かな」

「あり得ないし!(怒)」

「篠田に怒られても(汗)」


もう一度病院に逆戻りして

「あのう、優子の従妹なんですけど」

「優子ちゃんには血縁関係はいなかったはずよ」

「じゃー恋人って言えば会わせてもらえますか(怒)」

「恋人?あなたが」

「そうです、一週間前まで一緒に住んでました」

「そんなはずは・・・・ねえ、優子ちゃん施設に帰ってたのよね」

「届にはそう書いてましたけど」


施設は嘘じゃなかった


いつのまにか 12

「いらっしゃいませ(-∀-`) 」

「ゆっぴー会いたかったよー(*`ω´) 」

そう言ってハグする麻里ちゃん

「あれ?少し痩せた」

「夏はいつも痩せるので」

そう言えばあまり食べてない気がする

「こんばんは(ΘωΘ) 」

「こんばんは(-∀-`) 」

「陽菜達の同僚で年は一つ下の峯岸みなみちゃん」

「みーちゃんて呼んでね」

「私は優子でお願いします」

「優子・・・・どこかで会った事ある?」

「さあ・・・見覚えは無いですけど・・・」

「会社近くのコンビニでバイトしてたらしいから
見た事あるんじゃない?」

「そうなんだ・・・」

「そんな事よりお鍋出来てるのでゆで過ぎないうちに食べましょう」

そう言って中へ入って行く

「お、豆乳鍋じゃん」

「健康にいいので豆乳にしてみました」

「イソフラボンや鉄分が豊富だから女性には持って来い」

「麻里ちゃんよく知ってるね」

「これぐらい常識だよニャロ(笑)」

「知らなくったって死なないし」

「そうですよね知ってたって死ぬ人は死にますから」


ん?一瞬顔が曇ったような気がしたけど
そう言えば両親は生きてるのか死んでるのかわからないんだっけ?


クーラーをガンガンにかけて4人で鍋をつつく


「そう言えばゆっぴーて今何のバイトしてるの」

「今は夏休み中で陽菜の世話をしながらなので
友達のお父さんの会社でバイトさせてもらってます」

「ほうほう・・・お互い名前で呼び合ってるんだ(*`ω´) 」

「何かと都合がいいので・・・ねぇ陽菜」

「う、うん・・・」

「その割には敬語で話してるじゃん(ΘωΘ) 」

「そこは雇われてる方のけじめです」

「ふ〜ん・・・へんなの」

「陽菜が良いって言ってるんだから良いの!」

「一週間に一日でいいから篠田の家にも来てよ
ちゃんとバイト代払うからさ」

「篠田さんはちゃんと自分で何でもできる人だって聞いてますから
私なんて必要ないでしょ」

「夜の相手とかは募集してるよ(*`ω´) 」

「麻里ちゃん!(汗)」

「ニャロは淡白だけど篠田なら満足させてあげれるんだけどな」

「ちょっと、淡白ってなに?
した事無いのに想像だけで言わないでよね」

「だから試そうって言ってるのに」

「女性とだなんてあり得ない!」

「・・・・・」

「だってさ、篠田はいつでもウエルカムだからね(*`ω´) 」

「麻里子はロリコンだから気を付けて(ΘωΘ) 」

「それでも私は陽菜がいいんです
そばにいられるだけで幸せですから」


そう言って力なく笑う優子

麻里ちゃんが余計な事言うからつい言っちゃったけど
もし優子に迫られたら・・・・

迫られたことないから分からないけどもしかしたら・・・


結局二人に勧められお酒を少々・・・

もともと弱い陽菜はすぐダウン

「陽菜こんなとこで寝るな」

「う〜ん・・・・少しだけ・・・」

「すいません私じゃベッドまで運べないので
寝かせてもらってもいいですか」

「お安い御用(*`ω´) 」

誰かに抱えられ柔らかい所に降ろされた

「後はしますので・・・
あ、片付けも私がしますからそのままにしておいてください」

遠くの方で優子が話してるのが聞こえる

うぅぅ・・・着替えなきゃ・・・
お風呂は・・・あしたで・・いっか・・・

睡魔と戦い眠りに入ろうとした時
何か柔らかいものが唇に触れた気がした

でも睡魔には勝てず・・・・そのまま夢の中へ


朝目を覚ますとパジャマに着替えて寝ていた


「おはようございます(-∀-`) 」

「おはよう・・・・これって」

「私が着替えさせましたけど変な事はしてませんよ(笑)」

「あ、当たり前だし(汗)」


「それとですね昨日言いそびれてたんですけど」

「ん?」

「今行ってる友達の家の仕事が忙しくて残業しないといけなくて
そこの家に泊ることになったので
明日からは泊めてもらわなくてもよくなりました」

「もう来ないって事?」

「いいえ、朝は間に合うように来ます
夕飯も作っておくのでそれを寂しいでしょうが
一人で温めて食べて下さい」

「はぁ?全然寂しくないし」

「ですよね(笑)」


また、強がって思ってもいないことを言ってしまった

「行ってらっしゃい」

「行ってきます」

朝は来るんだからこの挨拶は出来るのか・・・

「ただいま」

「お帰りなさい」

が無くなるだけ・・・今までもなかったんだから寂しくない・・・はず


でも朝の挨拶もその日以降できなかった





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