やっと自分の気持ちに気がついたのに・・・

優子は死んじゃうの?
もう会えないの

「会いたい・・・優子に会わせて下さい」

「辛くなるのはあなたよ」

「このまま会えないほうが辛いです」

「わかったわ」


そのまま病院へ逆戻り

保護者の園長先生が了解してくれたから会えることになった

会えると言ってもガラスの外からだったけど

酸素マスクと点滴の針を刺され動かない優子
頭には毛が無くて・・・・・

「あたま・・・・・」

「ウイッグをかぶってたのよわからなかった?」

「はい・・・」

「高いのは買えないからバレないかって心配してたみたいだけど
バレて無くてよかったわ」


陽菜は優子の何を見ていたんだろう・・・


「目を開けてよ・・・・・優子(涙)」

ガラスに近づき語りかけるけど聞こえるはずがない

「毎日会いに来てもいいですか」

「いいの?」

「会社近いですし帰りに来ます」

「病院の方には言っておくから
優子をよろしくね」

「はい」

園長先生が帰られても陽菜はそこにい続けた

面会時間が終わるまでずっと優子が眠る姿を
ただ見つめていた

「小嶋さんそろそろ面会が終わる時間なので良いですか」

「はい・・・・明日もまた来ます」

「優子ちゃんには伝えておくわね」

眠ってる優子にいつも話しかけているらしい
もしかしたら聞こえてるかもしれないでしょって

陽菜が行くと

小嶋さんが来たわよって

帰る時間になると
また明日も来るって、と


それが一週間続いたある日
仕事中にスマホが震えたから開くと園長先生からで

(優子が目を覚ましたみたい)


それを見た瞬間席を立ちバックを持っていた

「ニャロ?」

「気分悪くなったから病院へ行って来る」

「そう言えば良いんだね」

「うん、後はよろしく」


それだけで分かってくれた麻里ちゃんは最高の親友


エレベーターが遅く感じ会社を出た瞬間駆け足になっていた


「はぁはぁはぁ・・・・・優子」

おそらく連絡があってからすぐ連絡をくれたから
園長先生はまだ着いてなくて陽菜だけだった

いつも目を閉じていた優子の目が少しだけ開いていて

看護師さんが何かをささやくと目だけをこっちに向けた

「優子、優子」

少しだけ口角が上がったような気がしたけど
また上を向いて目を閉じてしまった

また意識がなくなったんだろうか・・・
でも口がかすかに動いていて
看護師さんがそれを聞き取ろうと耳を近づけていて

少し待っているとガラスの方に近づいてきて
通話できる電話で

「今優子ちゃんがありがとう、ごめんなさい、さようなら、て・・・・」

なんでさようならなの!


「優子と話したい」

「それは無理よ」

「あなた達だって入ってるんだから私も入れるでしょ」

無理だって、屁理屈だってわかってる
でも言わずには居られなかった

「入れてあげて下さい」

後ろから声がして振り返ると園長先生が立っていて

「私の変わりに小嶋さんを入れてあげて」

「良いんですか」

「優子もあなたの方が嬉しいでしょうし」

ここで断るすべはない

「ありがとうございます」

素直に受け中へ入れてもらう

体を消毒して特別な服を着て中へ


「優子・・・・・陽菜だよ」

ゆっくり目が開くけど何処かうつろで
焦点は定まっていなかったけど

「・・・・るな」

動いた口が陽菜って言ってるのがわかる

「帰ってきてよ、陽菜の家に帰ってきてよ」

「ごめん・・・・」

「やだ、謝らないで」


自分で酸素マスクを外す優子
看護師さんも止めないという事は・・・・


「幸せだった」

「これからもっと幸せにしてあげるから・・・好き、優子が好きなの!」

そう言うと優子の目から涙がこぼれ落ち

「私は・・・・嫌い」

「嘘つき、好きだって言ったじゃん」

「ごめんね」

「だから謝らないで(涙)」


我慢してたのに陽菜の頬を熱いものがつたって落ちていく

「そうじ・・・・」

「なに?」

「ちゃんとしてね」

「優子がしてよ」

「ご飯もちゃんと・・・食べて」

「優子が作るのしか食べたくない」

「私の・・・初恋の・・・人」

「知ってる」

「キスして・・・・ごめん」

やっぱりあの時

「寝てる間にするとか卑怯じゃん」

困った顔をするから顔を近づけ
ゆっくりキスをした