先生って 20 最終話

「私の会社で働いてみない?」

「先生の会社?」

「だから!先生じゃないし」

「あ・・・・・ごめん」

「事務とかは・・・・・無理そうだから
物件探しに言ったり紹介したりならできるでしょ?」

「でも私中卒だよ」

「そんなの関係ない
不動産の仕事に学問なんて関係ないから」

「いいの?」

「会社に入ったらいちからになるけど
今のうちにしっかり家で勉強して
少しでも知識を頭に入れておいて」

「ありがとう」


学校へ行き始めても初めの一か月間は
給食を食べたらすぐ帰してもらうように言ってあり
私も仕事に行けないから丁度いい


「その代わり研修期間中は給料安いからね(笑)」

「貰えるだけでもありがたいよ」


ちょっと来てと連れていかれ


「ここにあるの使ってくれていいから」


クローゼットを開け
そう言われた段ボールの中には沢山の不動産に関する本が入っていた

これ全部読んだのかな・・・
頑張ったんだね先生


そして月曜日


「お姉ちゃん行ってきます♪」

「無理したらダメだからね(;´-∀-)」

「はーい♪」


新しいランドセルを背をい
早く早く!とでも言うように
先生をせかし先に玄関を出て行く麻友


「お願いします」

「家族なんだからそんな事言わなくてもいいよ」

「う・・・ん」

「じゃーお留守番しっかりね優ちゃん(笑)」

「子供じゃないやい!」


心配だから学校まで送って行く!と言う私に

私が出勤前に車で送るから

と言ってくれた先生

車なら安心だから任せることにした


「こじまる早く!」

「はーい、今行くね〜(бвб) 」


そう言って私を見て目を閉じるのは行ってらっしゃいの・・・・

仕方なく・・・本当に仕方なくだよ
少しだけ屈んで唇に触れる


「ここでは優ちゃんの方が大きいね(笑)」

「煩いやい、ほら麻友が待ちくたびれてるだろ」

「ふふ、いってきます(бвб)」

「いってらっしゃい(-∀-`) 」


こんな平凡な事が凄く幸せで・・・

まさか自分に訪れるとは思ってもいなかった


「ありがとう陽菜(-∀-`) 」


まだ顔が見えない所でしか名前を呼べないけど

頑張るから待っててね


先生!



おしまい

先生って 19

陽菜


小さい頃から可愛いものが好きだった

好きになるアイドルも女性

野蛮な男の子なんで大っきらい

でも年の離れた弟は大好き

陽菜仕様のかっこかわいい男の子に育ってくれてたから

おじいちゃんの代から不動産屋さんをしていて
一人っ子だったお父さんはもちろん後をつぎ
結構大きな会社になっていた

はじめは陽菜が後を継がないといけないのかなーて
幼いながら思っていたけど
小学4年生の時弟が生まれたから解放され
教員の道へ

女子校を希望していたのに
配属されたのは男女共学の高校

三年間の我慢と思って赴任したら
良くない噂がある女の子がいて

その子のいるクラスの教科を担当することになった

そうなるとやっぱり気になるわけで・・・
自然と目で追っていたら
全然悪いようには見えなくて

ある時なんてひっそり裏庭の花壇に水をあげてる姿を見つけ
誤解されてるんだろうなーて思ってた
確かに言葉遣いは悪かったもんね

そんなある日の休み時間
いつもなら水をあげてる時間なのにいなくて
おかしいなと思いながら裏庭に出て歩いていたら
普段使われてない倉庫から物音がして
近寄って見ると声がしたから開けてみると・・・・

慌てて逃げて行った男の子は覚えがないから
多分担当してないクラスの子で
乱れた服を慌てて直してたのは大島さんで
その横にはお金が落ちていた

信じてたのに裏切られた気持ちが強くて
先生として言ってはいけないことを言ってしまって
冷静になった時には大島さんは学校に来なくなっていて・・・

あっという間にやめてしまっていて凄く後悔した

だってあの時確かに嫌がってる声がしていたから
なのに私は・・・・

担任の先生と尋ねて行った時
大島さんのご両親は亡くなっていて
自分達だけで生活していたと知った
まだ高校生なのに・・・・


それから半年後
大好きだった家族はみんないなくなり
私は独りぼっちになってしまった

大島さんもこんな気持ちだったのかな
でも大島さんには妹がいたから救われていたらいいな


会社の事もありそれからすぐ教師を辞め跡を継いだ

まったく知らない世界だったから一から勉強して
なんとか潰さずに今日まで頑張って来た

あの時は大きな契約が破談になり
むしゃくしゃして
普段飲まないお酒を飲んでいたのもあったと思う

お店から出て歩いていたら
揉めているカップルが目についた
・・・どう見てもおじさんと高校生
みんな無視して通り過ぎてたから陽菜もスルーしようと思ってたのに
こっちを向いた高校生だと思ってた子が大島さんで
いても経ってもいられなくて助けに行った


大島さんが悪くないってわかってる
でもついきつい言葉を言ってしまって
後に引けなくなりそして・・・・抱いてしまった


何だろうこの気持ち・・・
愛しさがどんどん溢れてきて
離したくなくなった

大島さんも陽菜の事を好きになってくれたらいいのに・・・
無理だよねきっとノーマルだから

だったら家族になれないかな
二人の幸せを見守るのも愛

だから保護者になろうとした

麻友ちゃんはすぐなついてくれたのに
大島さんは相変わらず警戒心ありありで
なかなか心をひらいてくれない・・・・

でも好きと言う気持ちは大きくなっていくばっかりで
日を追うごとに辛くなっていっていた

そして今日、私と麻友ちゃんを守りたいと言ってくれた優ちゃん

それが同情だとしても
それを利用しようとしてる私は悪い人間だ

先生って 18

一週間後先生が運転する車に乗り三人で病院へ


「ねえ、今日平日だけど」

「そうだね(бвб) 」

「仕事は?」

「有給取った」

「こんな頻繁に取って大丈夫なの?」

「有給は権利だからね」

「だからって休み過ぎたら授業遅れるし
生徒が可哀想だろ」

「授業・・・・アハハハ
良くさぼってた人がそう言う事言うんだ」

「私は仕方なく・・・」

「麻友のせいだよね・・・ごめんね」

「違う!お姉ちゃんは勉強が嫌いだったから
麻友のおかげで行かなくて済んでせいせいしてたんだ
麻友にはありがとうって言いたいくらいだよ」

「そうだよ、麻友ちゃんはなーんにも悪くないからね」

「う・・・ん・・・」

「それにもう先生じゃないし」

「わかってるよ」

「わかってないよ、先生じゃないって言うのは
学校で働いてないって事」

「・・・えぇぇぇ!!?」

「そんなに驚くことかな(笑)」

「じゃー今はプー太郎?」

「そんなわけないでしょ
親が残してくれた会社で働いてる」

「残してくれたってどういう意味?」

「優ちゃんが辞めて半年くらい経った頃かな
自動車事故で3人一緒にあっけなく逝っちゃった」


そうだったんだ・・・・
だから使わないままの布団があったのか・・・ん?


「三人?」

「弟のクラブの試合を見に行ってて
その帰り道だったみたい
だから私も優子や麻友ちゃんと同じ
あー違うか、優子にはこんな可愛い麻友ちゃんがいるから
独りぼっちの陽菜とは全然違う」


嘘でしょ・・・・


「こじまるは一人じゃないよ
まゆもお姉ちゃんもいるよ!」

「そうだね・・・有難う麻友ちゃん」


うっすら涙を浮かべバックミラーで麻友を見てる先生
それを見て私の方が泣いちゃ(。-∀-)


「先生・・・・」

「だから、もう先生でも何でもないの
ほらついたよ降りる用意して下さーい」


私はなんて馬鹿なんだ・・・

自分ばっかり辛い思いをして
先生なんて裕福な暮らししてるし
何の悩みも無いって思ってた



麻友が診察を受けてる間中庭へ


「・・・・・・」

「優ちゃんが落ち込む事無いでしょ」

「ごめん・・・・」

「謝られるような事されてないよ
それに二人がいてくれるだけで嬉しいから」

「私・・・先生の事守れるくらい大きくなるから
あ、体は無理だけど
人間として大きくなって先生と麻友を守りたい」

「ありがとう、嬉しい」


その為にはどうしたらいいだろうか

まずはちゃんとした職に就く事なんだけど・・・



「大島さんお入りください」

「はい」


麻友を待たせて先生と二人で診察室へ


「結果は良好ですがあと数日は様子を見た方がいいですね」

「まだ学校へは行けないと言う事ですか
麻友、行けるのを楽しみにしてるんですけど
どうしてもダメでしょうか(;´-∀-)」

「そうですね・・・・大勢いる教室は無理ですが
保健室や支援学級などなら午前中だけ登校して
慣らしていくのはありかも知れませんね」

「学校と相談してみます(бвб) 」


それでも数日は行けないのか・・・

診察室から出ると飛んできた麻友


「お姉ちゃんどうだった?
麻友学校行ける?」

「あ、えーと・・・ごめん
お姉ちゃん手続するの忘れていてもう少しかかるかも」


嘘ついてごめんよ麻友


「えぇぇ!!」

「ごめんね、急にこじまるの家で暮らすってなったから
住民票を移したりとか手続きが大変で
まだ出来てないんだ、来週には終わるようにするから
もう少し待っててくれるかな」


流石大人な回答です先生


「そっか・・・わかった」

「ふふ、麻友ちゃんいい子
そうだ、帰りに鞄とか文房具見に行こうか」

「麻友ランドセルが欲しい」

「こら、麻友(;´-∀-)」


前のも近所の子供のおさがりを貰つてたからボロボロで
家を離れる時に捨てちゃったからな(;´-∀-)


「中古でいいから買って下さい」

「よーし遅くなったお詫びに買ってあげる(бвб) 」

「わーい!えーとね、ピンクがいいの」

「あると良いんだけど・・・この時期あるかな」

「どうだろう、無かったらどの色でもいいよな麻友」

「うん・・・・・」



結局お店には無くて
取り寄せて貰う事になった

先生って 17  

「お姉ちゃん?」

「ま、麻友(;´-∀-)起きたのか」

「お姉ちゃんとこじまる付き合うの?」

「え・・・いや・・・付き合うって言っても
か、買い物とかだよね先生(;´-∀-)」

「麻友ちゃんはお姉ちゃんと私が仲良くしてたら嫌かな?」

「先生(;´-∀-)」

「嫌じゃないけど・・・・」

「もちろん麻友ちゃんも好きだから三人で仲良し」

「うん!まゆもこじまる好き♪」

「嬉しい(бвб) 」

「でも、お姉ちゃんはもっと大好き!」

「麻友・・・・(。-∀-)」


麻友に駆け寄り抱きしめ


「お姉ちゃんも麻友の事が大好きだからね!」

「こじまるは?」

「麻友の次に好き・・・・」

「三人で仲良しだね」

「うん(-∀-`) 」


先生の事も好きだけど
麻友はたった一人の肉親だから
一番大切にしたい



その夜麻友が寝てからそう言う話になり


「当たり前でしょ陽菜とは他人だけど
麻友ちゃんとは血が繋がってるんだから」


意外にすんなりわかってくれた


「でも姉妹だとこういう事できないでしょ」


そう言うと私のパジャマに手をかけ
脱がせていく先生


「や、やっぱりするのかな(;´-∀-)」

「やる気だからこの部屋についてきたんだよね?」


確かにそうだ・・・・
何処かで期待してるからこっちの部屋に来たんだ


「あ、あのう」

「今更止めたはなしだから」

「そうじゃなくて・・・は、はる・・・なはして欲しくないの?」

「私?・・・・・優子がしてくれるって事?」

「う・・・ん」

「出来るの?」

「教えてくれるなら頑張る」

「また今度ね」

「嫌だ!今日する」

「なにそれ(笑)かわいいんだけど」

「煩いやい」

「じゃー一緒にしようか」

「一緒に?」

「陽菜がする事真似してすればいいから」

「わかった(-∀-`) 」

「ふふふ」

「何がおかしいんだよ(;´-∀-)」

「凄く素直で可愛いよ」

「これが本当の私なんです!」

「頑張って来たんだね」

「・・・・・・」


いい子って言いながら頭を撫でてくる先生

信じてもいのかな・・・
ううん、信じる

「信じてもいいよね」

「え?」

「陽菜の事信じてもいいんだよね!」

「いいよ、私はもう二度と優子を裏切らない
て言うか高校のあの時もだけど
いつも助けてあげてる気がするんだけど」


そう言えば何かと気にかけてくれていたっけ
担任でもないのにね


私はとっくに先生に守られていたんだ
どうして信じなかったんだろう

たぶん、もしも違ったらと思うと怖かったんだ・・・

なーんだ私、先生のことずっと信じてたんじゃん
素直にさえなっていたら
こんなに苦労することなかったのかもしれない


「私って馬鹿だよね」

「え?」

「私は弱い人間だ」

「・・・・・そんな事ない
強いから今まで麻友ちゃんと二人でやってこれたんだよ」


優しい言葉にまた涙が出てきた


「もう・・・泣かないでよ」

「だってぇー」

「はぁ・・・・今日はもう寝よう」

「・・・・いい・・・の?」


「そう言う気分じゃなくなっちゃったし」

「ごめんね」

「寝室へ行こう、麻友ちゃんが目を覚ましたときに
いなかったら可愛そうだから」

「うん」


寝室に戻るとおでこにチュッと一度だけキスをすると
ギュッと抱きしめてくれて・・・


「明日はするからね(бвб) 」


良い人だけどちょっと変態な先生が大好きです





先生って 16

「え・・・・ちょっと(;´-∀-)」


どんどん近づいてくる先生


「好き同士なんだからもう我慢しない」

「まっんんっ・・・・」


逃げない私も私だ


「いいよね(бвб)」

「だ、だめ!麻友が起きてきちゃう(;´-∀-)」

「・・・・・じゃー今夜」

「一緒に寝てるのに無理だろ(;´-∀-)」


昨日はされたけど(汗)


「麻友ちゃんの夜の薬は眠くなる成分が入ってるから
少々声を出しても大丈夫」


まさかそれを知ってて昨日手を出してきたの?


「例えそうでも妹が寝てる隣でそんな事するのは嫌だ!」


昨日はされたけど・・・(二度言う)


「わかった」


わかってくれてよかった(-∀-`)


「ソファーでするからタオルケット持ってきとくね(бвб)」

「いや、そういう事じゃなくて」

「じゃーどういう事?私としたくないの!
あ、そうだ前の大島さんの部屋でもいっか」


やる気満々なんですね先生・・・・・


「それと、その言葉遣いやめた方がいいよ
可愛いのが台無し」

「い、今さらそんな事言われても無理だよ」

「看護師さんには普通に話せてたじゃん」

「それは・・・・お世話になってるから」

「私だってお世話してるんだけど」


確かにそうだ、お金まで出して貰ってるし・・・


「もう強がらなくてもいいよ
私を頼ってくれて・・・甘えてくれていいんだから」


優しい顔してどうしてそう言う事言うかな・・・・

ドカドカと心の中に入って来るのやめて欲しい
じゃないと・・・・


「ほら、おいで(бвб) 」

「くっ・・・犬じゃないやい(。-∀-)」


差し出された手を取り胸に顔を埋めて泣いた

こんなに泣いたのはいつぶりだろう
もちろんこれは悔し涙でも辛い涙でもない

泣いてる間ずっと頭を撫でてくれていた先生


「・・・・・ありがとう・・・」

「すっきりした?」

「うん・・・」

「じゃー夕飯作ってね(笑)」

「・・・・アハハハ先生最高(-∀-`) 」

「その先生呼びやめてもらえるかな
もう先生じゃないし」

「だよね・・・じゃーこじまる?」

「それは麻友ちゃんしか許してません」

「だったら小嶋さんしかないじゃん」

「まだあるでしょ優ちゃん」

「ゆ、優ちゃんって(;´-∀-)」

「ふふ、真っ赤になって可愛い(бвб) 」

「煩いやい」

「ほら呼んでみて」

「陽菜さん・・・」

「なんか遠い」

「陽菜ちゃん?」

「歳上なんだからちゃんは気持ち悪い
呼び捨てにして」

「でも先生だよ?」

「だから!もう先生じゃないしそれに恋人でしょ?」

「そうなの?」

「違うの?」


いつ恋人になったんだ?
好き同士だと恋人なの?

でも・・・・・


「私告白されてないよ?」

「優ちゃんがしてよ」

「私がするの?」

「陽菜からはしない主義なの!」

「あー自分の事陽菜って言った(笑)」

「親しい人には言ってるの!ほら早く!」

「私と付き合って下さい」

「いいよ(бвб) 」


勢いに負けて言っちゃった・・・

なんか納得いかないけど仕方ないか
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