陽菜


小さい頃から可愛いものが好きだった

好きになるアイドルも女性

野蛮な男の子なんで大っきらい

でも年の離れた弟は大好き

陽菜仕様のかっこかわいい男の子に育ってくれてたから

おじいちゃんの代から不動産屋さんをしていて
一人っ子だったお父さんはもちろん後をつぎ
結構大きな会社になっていた

はじめは陽菜が後を継がないといけないのかなーて
幼いながら思っていたけど
小学4年生の時弟が生まれたから解放され
教員の道へ

女子校を希望していたのに
配属されたのは男女共学の高校

三年間の我慢と思って赴任したら
良くない噂がある女の子がいて

その子のいるクラスの教科を担当することになった

そうなるとやっぱり気になるわけで・・・
自然と目で追っていたら
全然悪いようには見えなくて

ある時なんてひっそり裏庭の花壇に水をあげてる姿を見つけ
誤解されてるんだろうなーて思ってた
確かに言葉遣いは悪かったもんね

そんなある日の休み時間
いつもなら水をあげてる時間なのにいなくて
おかしいなと思いながら裏庭に出て歩いていたら
普段使われてない倉庫から物音がして
近寄って見ると声がしたから開けてみると・・・・

慌てて逃げて行った男の子は覚えがないから
多分担当してないクラスの子で
乱れた服を慌てて直してたのは大島さんで
その横にはお金が落ちていた

信じてたのに裏切られた気持ちが強くて
先生として言ってはいけないことを言ってしまって
冷静になった時には大島さんは学校に来なくなっていて・・・

あっという間にやめてしまっていて凄く後悔した

だってあの時確かに嫌がってる声がしていたから
なのに私は・・・・

担任の先生と尋ねて行った時
大島さんのご両親は亡くなっていて
自分達だけで生活していたと知った
まだ高校生なのに・・・・


それから半年後
大好きだった家族はみんないなくなり
私は独りぼっちになってしまった

大島さんもこんな気持ちだったのかな
でも大島さんには妹がいたから救われていたらいいな


会社の事もありそれからすぐ教師を辞め跡を継いだ

まったく知らない世界だったから一から勉強して
なんとか潰さずに今日まで頑張って来た

あの時は大きな契約が破談になり
むしゃくしゃして
普段飲まないお酒を飲んでいたのもあったと思う

お店から出て歩いていたら
揉めているカップルが目についた
・・・どう見てもおじさんと高校生
みんな無視して通り過ぎてたから陽菜もスルーしようと思ってたのに
こっちを向いた高校生だと思ってた子が大島さんで
いても経ってもいられなくて助けに行った


大島さんが悪くないってわかってる
でもついきつい言葉を言ってしまって
後に引けなくなりそして・・・・抱いてしまった


何だろうこの気持ち・・・
愛しさがどんどん溢れてきて
離したくなくなった

大島さんも陽菜の事を好きになってくれたらいいのに・・・
無理だよねきっとノーマルだから

だったら家族になれないかな
二人の幸せを見守るのも愛

だから保護者になろうとした

麻友ちゃんはすぐなついてくれたのに
大島さんは相変わらず警戒心ありありで
なかなか心をひらいてくれない・・・・

でも好きと言う気持ちは大きくなっていくばっかりで
日を追うごとに辛くなっていっていた

そして今日、私と麻友ちゃんを守りたいと言ってくれた優ちゃん

それが同情だとしても
それを利用しようとしてる私は悪い人間だ