セクレタリ 10

12月、街はクリスマスの色が濃くなってきていた

「19日はサロン・シノダのクリスマスパーティ
22日はアトリエ篠田のクリスマスパーティ
24日は慈善団体のクリスマスパーティです」

「全部欠席」

「しかし・・・」

「何が嬉しくてクリスマスパーティに行かなきゃいけないの」

「ですが社長と専務も出席されますので
常務もご一緒するように言われておりまして・・・」

「二人に任せておけばいいの」

パーティに来る人に信仰心がある人もいるかもしれないけど
殆どの人が無いのにお祝いしている

常務はクリスマスパーティ自体が嫌なのかもしれない

「かしこまりました」


12月も中頃スケジュールの確認をしていると

あれ?21日から一週間食事の予定が書いてない・・・・
書き忘れたのかな(汗)


「失礼します、差し出がましいようですが21日から一週間ほど
お食事の予定が入って無いのですが聞き忘れでしょうか(汗)」

「予定ない」

「は?」

「クリスマスに彼女たちに会うと自分は特別なんだって
勘違いしちゃうでしょ」

「ですが一週間も空きますと・・・」

「一週間ほどなら問題ないから」

「・・・・クリスマスはご家族と?」

「ありえないから(怒)」

「ではお一人で・・・」

「そういう大島はどうなの(怒)」

「おかげさまで以前教えていただきました
お店を予約いたしております(-∀-`)」

「ふーん・・・・」

お母さんと二人で行くんだけどね(笑)

「そうだ、慈善団体のパーティ出席することにしたから
大島も同行するように」

「チャリティパーティに私がですか?」

「他の人を誘うと面倒だから」

「しかし着ていく服が(汗)」

「私が用意してあげる
私のパートナーとしていくんだからみすぼらしい格好は困る」

私が予定があるって言ったから急に行くことにしたの?

酷い・・・・(怒)

自分が一人で寂しいからって私に嫌がらせする?
ホントあり得ない(怒)



「と言うことだからごめんね、お母さん」

「仕事なんだから気にしないでいいわよ
また別の日に行けば良いんだから」

なかなか予約が取れないところだって知ってるくせに・・・
ホント最低だ(怒)


それでも仕事は完ぺきにこなす


私って秘書が天職かも(-∀-`)


セクレタリ 9

「ハァハァハァ・・・・あのうハァハァ
株式会社シノダの者なんですが・・はぁはぁ」

「・・・・・・・」

怪訝そうな顔で私を見る受付嬢

何を言っても通してもらえなくて・・・
伝言だけでもお願いします!と土下座して頼むと

「お名前をこちらに書いて下さい」

伝言用紙に大島優子と名前を書くとそれだけ持っていってくれた

通る人通る人にジロジロ見られる中、端の方で待っていると

「おおし・・・ま?」

「常務、遅くなって申し訳ありません
どうやっても入れてもらえなくて(汗)」

話しているのを見た受付の人が

「申し訳ございません
ずぶ濡れの上どう見ても中学生くらいにしか見えなかったもので(汗)」

「アハハハハ確かに中学生にしか見えないかも(笑)」

くっう・・・(怒)

「あ、これ持って来ました」

「ん、ありがとう・・・車で待っててくれていいから」

「え?」

「そのままだとタクシーに乗れないし
電車でも帰れないでしょ」

「はい・・・ありがとうございます」

野呂さんがタオルを貸してくれて顔と髪の毛を拭いて待つこと1時間

専務と常務が出てこられた
急いで車から降り

「お疲れ様でした」

「あれ?ゆっぴー・・・だよね
随分イメージが違うから別人かと思っちゃった(*`ω´)」

「雨の中を走ったのでメガネは見えにくくて外した時に落としてしまい
それを自分で踏んでしまいまして・・・(汗)」

「髪の毛もいつもと違う」

「髪はムースが取れてしまっておろしました(汗)」

「その方が可愛いよ(*`ω´)」

「ありがとうございます(-∀-`)」

「・・・帰る」

「常務(汗)、専務それでは失礼致します」

「また明日ねー」

車に乗り込むのを見送り常務の方に乗り込むと・・・

なんか怒ってるようなきがするのは気のせい?
もしかして書類が間に合わなかったとか?
それとも中身間違ってたとか?(汗)

「あのう・・・何か粗相があったのでしょうか(汗)」

「あこがれの人に可愛いって言って貰えてよかったね」

「へぇッ?」

思いもよらなかった言葉に変な声が出てしまった

「はじめからそのヘアースタイルと容姿で仕事してれば
もっと早くから可愛がって貰えたのに」

「先程のロビー対応でお分かりの通り
この姿は秘書としてふさわしくありませんので」

「確かに子供みたいだもんね(笑)」

「うっ・・・・」

ほらーやっぱりそうなるでしょ(汗)

「野呂、眼鏡屋に寄って」

「かしこまりました」

「常務?」

「仕事に必要なんでしょ」

「ありがとうございます!」

専務に可愛いと言われた事より
常務に秘書としての姿を分かってもらえた方が
凄く嬉しいのは何故なんだろうか・・・

セクレタリ 8

目を開けると見たことのない天井があって
いつものせんべい布団じゃなくふかふかな感覚・・・

視線に気づき横を向くと

「じょ、常務(汗)」

どうやら常務の部屋のベットで寝てるらしい

「大島さん」

「はい・・・・」

「感じやすいんだね(бвб)」

「なっ(汗)」

「もう10時だけどいいの?」

「え!?」

部屋は薄暗いからまだ明け方かと思ったのに・・・

そっか光が入らないようにしてるから暗いんだ

どうしよう一度帰ってたら遅れる・・・ていうかもう遅刻だけど(汗)

今日の予定はどんなだったっけ・・・
頭をフル回転で働かせていると

「フッ、今日は何曜日?」

「昨日が金曜日でしたので今日は・・・あっ」

休みじゃんかぁー

「体が大丈夫なら帰っていいよ」

そうだ、昨日始めて常務に・・・
あんな感覚初めてだった
離れた時もう終わってしまうのかと悲しくなったから・・・

その後の記憶はまったくないけど(汗)

「常務が運んで下さったんですか?」

「全然起きないし会社においておくのは可哀想だから
連れて帰ってきてあげたんだよ
ここに入ったのは大島が初めて(бвб)」

家には呼ばないんだ
だから会社でしてるのか・・・

「申し訳ありませんでした
以後意識を失わないように気をつけます」

「まあ私が吸いすぎたのがいけなかったんだけどね」

それだけ切羽詰ってたってことだよね・・・
これからはクリスチャンには気をつけないと(汗)



それから身支度だけパパっと整え部屋を出た

ここが常務の住んでるところなんだ・・・
覚えておかなきゃ
もしもの時はまた私の血を・・・・・て、何考えてるんだ優子!
私が気をつけてさえいればそういうことは二度とないんだから

そう二度と・・・・・



何事もなかったように毎日仕事をこなす日々

「以上が今日のスケジュールです、何かございますか?」

「色気がない!」

「はぁ?」

「この私が色気のない秘書と一緒だなんてありえないんだけど」

「その件に関しましては何度も申し上げた通り
努力はしておりますが何分限度というものがございまして(汗)」

「うそつき(бвб)」

顎をくいっとあげられ

「このメガネ、度が入ってないよね」

「うっ・・・(汗)」

「この前近くで見た時わかっちゃった」

「そ、それはですね気付かない程度の矯正とそのう・・・
パソコン用の防止になっておりまして(汗)

「いつも冷静沈着な秘書さんが
随分動揺してるようにみえるけど・・・
毎日そのスタイルでいる意味ってあるの?」

「これが秘書としてベストだからです」

本当は童顔を隠すため、社会人として見せるため

「御用がないのなら失礼致します」

急いで部屋を出る

どうしようドキドキが止まらない
あんな近くで見つめられたら私・・・・

あの時の快感が蘇ってくる(汗)


でも私はただの繋
大切にされている彼女たちとは違う・・・
ただ、緊急時に血を提供するだけの人間だから・・・

「ふーさぁ・・・仕事しなくちゃ」

気合を入れ仕事に戻る



夕方専務と一緒に出ていかれた常務から電話がかかってきた

『私の机の二段目の引き出しの中の封筒を
サロン・ザ・ワタナベの本社まで持ってきて、至急だから』

「かしこまりました」

タクシーで向かうけど夕方の渋滞といきなり降り出した雨とで
車が全然動かない

「すいません、急いでるんですけど(汗)」

「無理ですねここ、抜け道もないですし」

でも急がなきゃ

「ここで降ります」

多分走ったほうが早い

封筒を濡れないように服の下へ隠し
雨の中を走ると10分で着いた

セクレタリ 7

後ろのドアが開けられ車に乗り込む


そう言えば野呂さんも知ってるってことだよね?
何度も女性を送り届けてるはずだから・・・・


ついた場所は・・・・・教会?

常務(汗)・・・・

平気な顔してる、そう言えば十字架も大丈夫だったっけ

「秋元社長ご無沙汰しております」

「いらっしゃい!さあ入って」

「素敵なお店ですね」

「壊す予定の教会を買い取って先日オープンしたばかりなんだ
実は妻がクリスチャンでして
少しでも憩える場所になればと・・・」

「良いワインを揃えておいでですね」

「よかったらワインセラーを案内しますよ」

「ぜひ!」

ワインの味なんてわかるのかな?

それから約2時間仕事の話もなんとかまとまり

「では近日中に会社の方へお伺いさせていただきます」

「待ってるよ小嶋くん」


バタン・・・・・

「ふぅー・・・・・」

少し疲れが出たのかな寒いのに汗かいてる
それともかなり飲んでたから酔った?・・・吸血鬼でも酔うんだ

でもなんか苦しそうにも見える?

「常務大丈夫ですか(汗)」

ハンカチで拭いてあげようとしたら

「触らないで!」

「なっ・・・・」

「ハアハア・・・」

「具合悪いんですか?」

「いいから離れてて(怒)」

「でも・・・」

「今の私はより好みしないから」

「もしかして・・・・血が必要なんですね」

でも昨日食事したばかりだけど・・・・

「陽菜様まさか秋元社長はクリスチャンだったんじゃ」

「野呂は黙ってて(怒)」

「もしかして・・・信仰に弱いんですか?」

「フッ、弱点がわかって嬉しい(笑)?」

「バカにしないで下さい!私は常務の秘書ですよ
いくら常務がわがままで横暴で女性に見境がなくて
捻くれ者の吸血鬼でも常務のことを助けたいんです
私を信用して下さい!」

「凄い言われよう・・・・」

「どういう状態なんですか、詳しく言ってください」

「生命力を吸い取られたみたいにすべての機能が低下するんです」

「野呂!」

「だから血が必要なんですね
どなたかすぐに呼び出せる方を・・・・」

「はぁ・・はあ・・・はぁ・・・」

どうしようドンドン弱っていってるみたいに見える・・・(汗)
このままじゃ常務が(汗)
今は緊急・・・

「仕方ありません、私の血を飲んで下さい!」

「はぁ?何言ってるか分かってるの」

「わかってます!極上の血じゃないですけど
今すぐ必要なんですから少しぐらい我慢してください」

「見上げた忠誠心だね」

「当たり前です」

「今の陽菜には体を高めてあげる余裕はないから
少し痛いかも」

そう言うと常務の顔が近づいてきたから
目を閉じると首に痛みが走った

「っ・・・・・」

なにこれ・・・
痛いけどドンドン体がしびれてきて頭の中が真っ白になっていく・・・

「んっ・・・あぁぁっ・・・」

「はぁ・・ふぅ・・・ふぅ・・・」

私の声にいきなり離れる常務、でもまだ辛そうで・・・

「っ・・・まだ・・・足りないんじゃ・・・ないんですか(汗)」

「これ以上はあなたが持たないからもういい

野呂、この後四人ほど呼び出しておいて」

「かしこまりました」

次の女性・・・やっぱり私は繋にしかならないんだ・・・

薄れ行く意識の中、心が少し泣いてる気がした


セクレタリ 6

「ゆっぴー(*`ω´)」

「篠田専務!おはようございます」

一度だけ仕事をしたことがあって
私にあだ名を付けゆっぴーと呼ぶ専務

「どう、ニャロに慣れた?」

小嶋常務・・・のことだよね?

「正直に申し上げてもよろしいですか?」

「アハハハ、いいよ」

「ひっじょーに大変です(汗)」

「ゆっぴーのそういう素直なところが好きだなぁー(*`ω´)」

気さくで優しくて常務とは全然違う素敵な上司
変なあだ名をすぐつけるのは愛嬌ということで・・・

「ニャロいる?」

「只今席を外されていますがじき戻られると思います」

「ここで待たせてもらうね」

ブラインドを開け外を眺める専務

多分専務は吸血鬼じゃない・・・社長も違うと思う
なぜ常務だけが・・・・そう言えば名字も一人だけ違う

血がつながってないのかな?

「ゆっぴーがニャロについてくれてよかったよ」

「そんな(汗)」

「ゆっぴーのような優秀な秘書なら安心してニャロを任せられるからね」

「優秀だなんて・・・光栄です」

「たった一人の妹だからこれでも心配してるんだよ」


「心配なんてしてくれなくていいから(怒)」

「ニャロ(汗)」

「何しに来たの」

ブラインドを下ろしながら

「妹に会いに来たっていうだけじゃダメかな」

専務も知ってるんだ・・・・家族なんだから当たり前か

「要件は?」

「・・・・来週のパーティに出るでしょ?」

「行かないって言ったよね」

「お父様も心配し・・・「煩い!私はあなた達とは違うの!出ていって(怒)」

「陽菜・・・私は違うだなんて一度も思ったことないから」

私の方を向き

「ごめんね、ただの姉妹喧嘩だから気にしないで」

「専務・・・」

悲しそうな顔をして部屋を出ていかれた

「あのう・・・」

「なに?何か言いたいことでもあるの(怒)」

「いえ・・・何か御用はございますか?」

「あんたもあれが好きなんでしょ」

「社員はみんな憧れています」

「高望みは捨てたほうが良いよ
次期社長様だから女なんて遊びでしかないんだから(笑)」

あんなに人のいい専務の事を悪く言われて
なんかムカッとする(怒)


「この後18時から秋元社長との会食ですが
私も同行しますので」


そう言って部屋を出た



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