あれから一か月
大きな失敗もなく無事仕事をこなしている陽菜

奇跡に近いかも(бвб)

まあ、大切な仕事の殆どは渡辺さんがやってくれてるからなんだけどね(笑)


陽菜は会社や外で優子の傍にいてニコニコ笑ってるだけ
後は社長室に来るお客様や重役の人にコーヒーを入れるのが仕事

「小嶋君の入れてくれるコーヒーは上手いな」

バリスタだから誰が入れても一緒なんだけど・・・

「こんな所で油を売ってていいんですか」

「今日は午前中に来客が集中して
夕方からは暇なんだよガハハ」

暇があるとここへやって来てコーヒーを飲んでる副社長

「優子も少しここへきて休憩したらどうだ」

「私は目を通しておきたい資料が沢山あるので」

「仕事仕事でつまらんやつだ
そう思わんか小嶋君
こんな奴の下じゃなくて私の下に来ないかね」

「私の秘書に絡まないでください」

「何でも買ってやるぞ」

「今は欲しい物がないので遠慮させていただきます(бвб)」

「つまらん、実につまらん」


そう言いながら部屋を出て行った


「毎日来るのやめてほしいよ」

「社長の事が心配なんですよ」

「いや、それは違う
小嶋さんが来るまでは用事のある時しか来なかったからね
あきらかに小嶋さん目当てだねあれは」

「ふふ、ヤキモチですか」

「何言ってるの、私はヤキモチなんて妬いたことないから」

「そうですね(笑)」

「むっ、コーヒー!」

「かしこまりました社長(бвб)」

この一か月で社長・・・優子の部屋には物が増えた
全部陽菜が買って持って行ってるんだけどね

ちゃんと人が住んでるように見えるようになったんだから

週末はちゃんと仕事を休んでマンションへ帰るようになった優子
会社へ泊るのは本当に忙しい時だけ

そうなったのは陽菜のおかげだと言って喜んでくれた副社長
本当に優子の事を心配してるのがわかる

そのせいか陽菜の事を気に入って毎日会いに来るから困る(汗)


週末は優子のマンションでうっくり過ごしている

二回お泊りして狭いベットに二人で寝てるけど
もちろん?何も起こらない

キスはするけどそれだけ・・・

寝る前には気が緩むのか自分の話を少しずつしてくれるようになった

お兄さんの病気の事
いつも両親はお兄さんの事ばかりで
自分にかまってくれなかった事

勉強ばかりで友達なんていなかった事

みんな上辺だけの付き合いで
本当に信頼できるのは才加さんしかいなかった事

少しずつ本当に少しずつ
心を開いて行ってくれてるのが陽菜でもわかる


それともう一つ変わったのが会社では社長と秘書の関係だけど
家では陽菜に甘えるようになってきていた

二人でソファーに座りDVDを見ていると
たまに頭を陽菜の膝の上に乗せてくる

「どうしたの、眠くなった?」

「ん」

頭を撫でてあげていると数分でスースー言いだす

そのままDVDを見ていた陽菜もいつの間にか眠っちゃっていて
気が付いたらタオルケットがかかっていて
優子はパソコンで仕事をしてるという事が数回

「むぅ仕事したらダメじゃん」

「うん、これだけしたらやめるから
すぐすむからさ」

「コーヒー淹れようか」

「お願い」

お揃いのマグカップにコーヒーを注ぐ

「陽菜の入れてくれるコーヒーは本当に美味しいよ(-∀-`)」

「愛情がこもってますから(бвб)」

「・・・・・・」

ほらまた眉が下がる

愛とか愛情と言う言葉にまだ戸惑いを隠せない優子


その時着信のメロディがなった

画面を少し眺めてゆっくりと画面を押す優子

「はい、優子です・・・はい・・・はい
いつですか・・・・わかりました
迎えに行かせますので詳しい時間がわかりましたら
連絡ください、失礼します」


見た事無い顔をしてる優子


「どうしたの?誰から、取引先の人?」

「父からだった」

お父さんなのにあんな話し方するんだ・・・

「私今から家へ帰んなきゃ」

「いえ?」

「実家に戻って色々準備させなきゃいけないから
今日は帰ってくれるかな」


詳しくは聞かない、きっと説明してくれないと思うから


「いいけど・・・一人で大丈夫?」

「あ、叔父さんにも知らせなきゃ
それから・・・重役たちには後からでいっか・・・
それから、それからえーと・・・」

「優子・・・」

「えーと、それと・・・何したらいいんだろう(汗)」

「優子!!」

「え?どうしたの」

「陽菜もついて行ってあげようか?
て言うかついて行く」

「大丈夫だよ、大丈夫・・・」

「どうしたの?おとうさんかお兄さんに何かあったの?」

あまりの動揺にどうしたのかと聞くと
少し考えた後

「帰ってくるんだって」

「お父さん?」

「みんな」

「みんなって・・・・お兄さんも?
一時帰国?」

「ううん・・・・とにかく帰らなきゃ(汗)」

完璧な優子がこんなに情緒不安定になる姿はじめてみた

「陽菜も行っていい?」

もう一度聞くと

「・・・・やっぱり今日は帰って
私は大丈夫だから」

「・・・わかった、でも何かあったらすぐ連絡してね」

「あぁ・・・」

お互い帰る用意をして一緒にマンションを出た