家に帰りお風呂に入ろうとしていると電話がかかってきた
それも知らない番号から

変な電話だと困るから出ずにいると
何度も何度もかかってくるから
名乗らず出ることに



「はい」

「小嶋陽菜様のお電話でしょうか」


「・・・そうですけど・・・・誰?」

「わたくし、大島家の執事をしております北川と申します」

大島家?優子の家だよね
執事とかいるんだ・・・凄い(бвб)
そんなことを思っていると

「小嶋様にしか優子様を助けることが出来ないと思い
お電話させていただきました」

「どういうことですか?」


実家に戻り自暴自棄になった優子が出ていき
仕事人間の優子が会社を休み
陽菜の事も副社長に渡すと言ったと聞いた時

一瞬この人が何を言ってるのかわからなくなって
必死で頭の中を整理していると

「優子様は歌舞伎町のホストクラブへお行きになると思います」

それ以上何も言わなかったが
優子がそこで何をしようとしているのかすぐ理解できた

少し前副社長がその話に触れた時
すごい剣幕で怒っていたから

人の前で、陽菜の前で言うなってね

「ママ、出かけてくる」

「今から?」

何も答えず玄関へ

「ちょっと陽菜(汗)」

ママを無視して外に出てタクシーを拾い歌舞伎町へ

経費で出してくれるかな・・・・無理か(笑)


教えてもらったクラブの名前を捜しながら歩いていると
見たことあるコートが見えて
優子だとすぐわかった
ゆっくり近づき

空を見上げ何か呟いている優子の後ろにまわり
肩に手を置くと一瞬で払われ
すごい顔と声をした優子が振り向く

「なんで」

陽菜を見て驚いた顔をして何か言おうとしたところへ
中からチャラい人達が出てきて絡んできたから

「行こう!」

腕を取り引っ張るけどまた振り払われ、つい

「陽菜が相手をしてあげる」

言っちゃった(汗)

そうでも言わないと優子が行っちゃうと思ったから
行かせてはいけないと思ったから

男たちにお金を渡すととっとと消えて行く

先を歩く優子についていくとホテル街へ


どこか戸惑っているようにみえる優子だけど
もう後へは引けない


無造作に選んだ部屋へ入ると乱暴にベットへ投げられ
覆いかぶさってくる

初めてじゃないし・・・もちろん女性とは初めてだけど
優子のことは嫌いじゃないから
このまま抱かれても良いか・・・・て思っていたのに


くっ、と唸り起き上がると今度は帰れと言い出した


苦しそうな顔をして涙を流しながら・・・

こんな優子をほおっておける訳がない

マンションへ帰ろうと言って手を差し出すと
差し出した手をじっと眺め無造作に握ってきたから
そのまま部屋を出た



マンションへ戻りソファーへ座らせる

「何か飲む?」

「・・・・」

「温かいもの入れるね・・・ミルクあったかな」

「何も要らない」

「そう、今日はもう寝よっか」

「私に優しくしないで!」

「陽菜がしたいからしてるだけだよ」

「どうせ親のためだろ
そんなことしなくても取引やめないから
もう、リクさんのことも良いから・・・

・・・・私から開放してあげる」

「何言ってるの?」

「秘書、そのまましたいなら叔父さんに言っといてあげる
陽菜は叔父さんのお気に入りだから良くしてくれるよ」

「私は優子専属でしょ」

「もう、陽菜を縛るものは何もないから
ここにも来なくていいし付き合いももう終わり」

「私は自分の意志でここにいるの」

「あそこへ来たのだってどうせ北川のさしがねだろ
誰も私のことを愛してなんか居ないくせに
大島という名前だけを守りたいだけのくせに・・・
帰れ!ここから出て行け!」

今は何を言ってもダメなような気がして
自分のカバンを持ち玄関へ向かった