先輩 45

昨日と同じようにアップして
バトンリレーの最終確認

それを端から見守ってる陽菜

練習を見るのも試合を見るのも今日で最後か・・・
もっともっと見ていたかった・・・・

そう思うだけでうるうるしてきちゃう

「陽菜ちゃん」

「キャッ(汗)」

優子先輩のことを集中してみていたから
後ろから肩を触られて驚きすぎて体制を崩し倒れてしまった

「え、ごめん(汗)」

「いえ、ボーとしてた私が悪いので(汗)」

「ちょっと、どうしたの何してんの(怒)」

優子先輩が宮澤先輩に詰め寄りそうな勢いで走り寄ってきた

「違うんです私がびっくりして勝手にこけちゃっただけで(汗)」


「名前呼んでるのに全然振り向かないから
肩を触っただけだよ」


全然気づかなかった(汗)

「優子ちゃんをガン見しすぎやし(笑)」

「そ、そんな事・・・
私はみなさんを見てただけです(汗)」

「リレーの決勝が最終種目でしょ
勝って花道を飾るから
みんな見ててよね(-∀-`)」

「ああ、頑張れよ」

「じゃー佐江達はスタンドへ行こうか」

「あ、荷物・・・」

「優子のは私達が持つから」

「ありがとうございます・・・・」


非力な陽菜なのに自分の荷物が大きすぎて
人の荷物なんて持てるわけないじゃん・・・

昨日と同じ位の場所に移動して荷物を固めておく

「そうだ、女将さんがみんなで食べてくださいって
お弁当くれたんだけど陰においておいたほうが良いよね」

「私クーラーバック持ってます(бвб)」

「おぉーさすがマネージャー
伊達に荷物が多いわけじゃないんだね(笑)」

褒められてるのかな?

そこに冷たいお茶と一緒に入れて
椅子の下の陰になったところにおいておく

「まだあと30分あるから売店行ってこようかな
何か要る物ある?」

「今日は暑いからなぁー・・・私も行く」

「私荷物見てるので行ってきてください(бвб) 」

「小嶋さん何か要る?」

「いえ、ドリンクありますしいいです」

「それじゃーお願いね」

そう言って三人で買いに行かれた

優子先輩がいつトラックに出てくるかわからないから
陽菜はここから離れない


それから5分もしないうちに現れた先輩

こっちを向いて手を振ってくれてるけど
後輩の陽菜が手を振れるわけがなく
頭を下げる

すると走り寄って来て

「みんなは?」

「売店に行かれました」

「そっか・・・・ねえ両手出して」

「こうですか?」

言われるがまま下に向けて差し出すと
その手を握られ焦っていると

「優ちゃん頑張ってって言って」

「えっ・・・そ、そんな事(汗)」

「お願い!言ってくれたら
今までよりももっと速く走るから」

どうしよう・・・

「大島さん合わせるよ」

「早く!」

あぁ〜もう

「優ちゃん頑張ってください!」

「うん、頑張る(´-∀-)」

これでもかっていうくらいの笑顔を見せて走って行った

もう、やばい、絶対今顔真っ赤だと思う


「そこは優ちゃん頑張って大好き―て言わなきゃ(笑)」


また後ろから声がして飛びあがりそうなくらい驚いた
見られてたし聞かれてたんじゃん(汗)

それに、大好き―てなに(汗)何で知ってるの〜(汗)

「こら、あんまり小嶋さんをからかうなよ」

「だって耳まで真っ赤にして可愛いんだもん♪」

先輩が戻って来たのにその方を向けないし
両手で耳をふさぐ

「はい、これ小嶋さんの分」

そう言って山本先輩がアイスを目の前に持ってきてくれた

「ありがとうございます(汗)
いくらですか」

「才加のおごりやからいらんで」

「払います(汗)」

「いいって、今日まで頑張ってくれたお礼だよ」

「・・・ありがとうございます・・・」


そうじゃん、この先輩たちとも最後じゃん・・・
素直にっもらうことにした

食べ終わる頃にアナウンス


「いよいよだな」

「頑張れ優子!」


優子先輩頑張れ!

心の中で何度も何度も叫んだ




先輩 44

始まった準決勝戦

スタート音と共にダントツのスタートを切った優子先輩

チームはずっとトップのままゴールテープを切った

「やったー!!(бвб)」

明日また優子先輩の走りが見れる

「この順番がベストやな」

「うん、私もそう思ったしさすが優子」


その日の夜もみんなでお風呂に入り先に寝る
もちろん手を繋いで

昨日と違う所は
少し枕を近づけ何故か向かいあって見つめ合っている

それというのも
明日は今日よりも早く起きないといけないから
ゆっくり眠りに入れるようにって
先輩たちは部屋から出ていって居ないから


うぅぅぅ・・・恥ずかしい(汗)


「無理やり残ってもらってごめんね」

「いえ、マネージャーの仕事ですから
それに授業サボれて嬉しいです(бвб)」

「仕事か・・・・
私はにゃんにゃんに最後の走りを見てほしかったんだ」

「・・・・・・・・・・・」


どういう意味に取ればいいの(汗)


「ごめん、いきなりこんなこと言っても困るよね
明日は今までで一番最高の走りをするから見ててね」

「はい(бвб)」

「おやすみ」

「おやすみなさい」

そう言うと上を向いて寝てしまった


陽菜に見て欲しかった?
陽菜にだけ、とは言ってないけど・・・
そういう意味だよね?

なんで?

それから悶々としてなかなか寝付けないでいると
ドアが開く音がして先輩たちが戻ってきたから寝たふりをする


「二人共ちゃんと寝てる(笑)」

「昨日より距離近くない?(笑)」

「隠してるつもりだけど布団の中で手を繋いでるの丸わかり♪」

「可愛いよね〜」


バレてたんじゃん(汗)


「優子ってああ見えて緊張しいじゃん」

「だーね、見せないようにしてるけど
夜とかなかなか眠れないってよく言ってる」

「やのにこの気持ちよさそうな顔(笑)」

「全部小嶋さんのおかげだね」

「うん、残って貰えてよかったよ」


陽菜のおかげ?
他の人じゃダメって事?
それとも誰かそばにいてこうやって手を握っていれば大丈夫って事?

余計に眠れなくなっちゃったじゃん(汗)

会話が途切れるとすぐテレビの音が聞こえて来た
まだ10時過ぎだからドラマやってるみたい

このドラマ録画してきてない(汗)
でも今はすぐ見逃し配信してくれるから困らないか

でも何となく声だけ聴いてたら知らないうちに眠っていた



「にゃんにゃん、朝だよ」

今日も大好きな優子先輩の声に起こされる
朝だからかな、いつもよりしゃがれてる声
この声を録音しておいて毎朝の目覚まし音に使いたい
だってこんなにスッキリ起きれるんだもん


「おはようございます(бвб)」

「あはっおはよう(-∀-`) 」


静かに用意をし
今日はすべての荷物を持って部屋を出る

「にゃんにゃんてなんでいつもそんなに荷物多いの(笑)」

「優子先輩が少なすぎるんですよ」

「そうかな、必要なものは全部入ってるけど」

「私も全部必要なものです(бвб)」

これでも少ない方

だって二泊も多く泊まるって思ってなかったもん
全部の分持ってきていたらもっと多かったと思う


下着とか着替えがなかったから
近くのコインランドリーに行こうと思ったら
先輩たちも洗濯するって言って一緒に行った

遠くにいくときは洗濯するらしい
だから少ないんだね
来年はそうしよーと(бвб)



先輩 43

優子先輩が練習している間
陽菜は暇・・・・なはずなんだけど

見ていて飽きないから時間はあっという間に過ぎる


「こーじーまさん♪」

後ろから声をかけられびっくりして振り返ると
ニコニコした宮澤先輩と
優子先輩の走りをじっと見る山本先輩がいた

「真剣に見すぎぃー(笑)」

「そ、そんな事(汗)」

「どう、調子よさそう?」

「なんか順番が変わって第一走者になられたみたいです」

「それが良いと思う、昨日あきらかにスタートで出遅れてたから」

「優子のロケットスタートは誰にも真似出来ないもんね」


秋元先輩はどうされたんだろう

二人の後ろを見ていると

「才加?才加は自分と同じ競技の成年の部見に行ってるよ」


そう言えば行きたい実業団の選手が出てるって言ってたっけ


優子先輩はどうするんだろう
大学だったら追いかけていくことも出来るけど
実業団だったらムリだもん・・・・

そんなことを考えていたら

「優子!」

宮澤先輩が手を振ったから前を向くと
練習が終わってみんなこっちに歩いてきていたから

急いでタオルとドリンクを配る


「私達にまでありがとね」

「いえ、仕事ですから(汗)」


だってその為に残ってるんだから・・・

「いい感じやん」

山本先輩の言葉に

「そうでしょ、バトンもスムーズになったし
昨日より数秒早くなるよ(-∀-`)」

「失敗しなければの話だけどね(笑)」

「大丈夫!成功します
で、明日に残って優勝!!(-∀-`)」

「優子ちゃんてホントにポジティブ人間だよね(笑)」

「それが取り柄ですから」


大人相手にケラケラ笑う先輩
吹っ切れてるみたいでよかった(бвб)

みんなで競技場の入り口へ行き
陽菜達はスタンドへ

「頑張ってくださいね」

「うん、陽菜ちゃんの為に頑張るよ(-∀-`)」

「え?」

「あ・・・・・しっかり応援しててね(汗)」

「はい」


手を軽くあげ中へ入っていった

先輩 42

車の後部座席に乗り込み出発すると

陽菜の手に優子先輩の手が重なった

ビックリして横を向くとずっと前を向いたままの先輩


何もなかったふりをして陽菜も前を向いてるんだけど
凄く手汗をかいてる様な気がする・・・

もしかして・・・優子先輩が緊張してる?

まさか・・・ねぇ・・・優子先輩だよ?

何に対しても自信しかなくて
口にした事は必ず実行してするし
武者震いはあっても緊張で震える所なんて見た事無いのに・・

でもそれだったら昨日の夜の事は納得いく

きっと緊張して一人がこわかったんだ
だからたまたま隣にいた陽菜に安心を求めて来たんだ・・・

なーんだ、そっか・・・・はぁ・・・

自分で想像して落ち込むという負のスパイラル


でも、陽菜に出来ることは・・・


もう片方の手を優子先輩の手の上に重ね


「大丈夫です、優子先輩なら出来ます(бвб) 」


いきなり言ったもんだから
ビックリしたように陽菜を見る先輩


「アハッ、バレちゃってるよ(汗)
そうなんだ、私リレーてした事無いでしょ昨日走って
もしバトンを落としたらとかが頭をよぎってさ
高校生同士ならまだしも
大学生や社会人の人と走るから・・・」

「いつもポジティブにって言ってるの優子先輩ですよ
成功した時の事を思い浮かべないとダメじゃないですか」

「そうだよね・・・・うん、なんか吹っ切れた
ありがとうにゃんにゃん(-∀-`) 」

「陽菜はそのためのマネージャーですから(бвб)」


エヘン!

決まった!と思ったのに一瞬顔が曇ったように見えたのは気のせい?


競技場に着いていつもの場所で練習開始
今日は昨日より早く合流して練習するみたいだから
お昼もまた早くなる

お昼を食べていると他の方がやって来た


「さっき都連の方と会ったんだけど
走順変えるみたい」

「そうなんですか」

「大島さん第一走者になりそうだよ」


優子先輩のロケットスタートがあればもっと早くなると思う


「その方が気持ちは楽かもです(-∀-`) 」

「もうすぐみんな来ると思うから
私も、アップしてくるね」

「あ、荷物見ていましょうか?」

「いいの?」

「はい、私荷物番ですから(бвб) 」

「ふふ、可愛いマネージャーさんね
じゃーお願いしようかしら」


そう言って荷物を置いてアップしに行った

先輩 41

優子先輩が布団に入る気配がして
もうこのまま寝ちゃおうと思っていたら
かすかな声で

「にゃんにゃん・・・にゃんにゃん」

と囁く様な声が聞こえてきてそっと顔を出すと
優子先輩が布団の間からこっちを覗いていてびっくり

「ごめんね」

「いえ・・・・・・」

「あのさ・・・・・・・」

なんかもじもじしていてなかなか続きを言い出さない先輩

じっと言葉を待っていると

「て」

「・・・・?」

「繋いで寝ても良いかな(汗)」


敷ふとんは引っ付いていて
掛け布団ももう少し重なり合わせたらわからないもんね

・・・・・・・・・・そういうことじゃなくてぇ〜(汗)

という事は優子先輩と手を繋いで寝るってこと?(汗)

「・・・・うそ、ごめんね」


そう言って布団を下ろそうとするから

慌てて手を優子先輩の布団に入れる
あ、でもこっちの手だと俯いたまま寝ることになっちゃう(汗)
どうしよう・・・・

手を変えようかどうか迷っていたら温かい温度にそっと包まれた

も、も、もうこのままでいい、うん、このままずっと起きてても良い
優子先輩が寝ちゃって手が自然と離れるまでこのままでいよう
そう決めたのに

包まれていた幸せがす〜と逃げていった

なーんだ、一瞬だけか・・・・そうだよね・・・・

横を見ていたらちゃんと枕の上に頭が出てきて
上を向いて寝る優子先輩


・・・陽菜も寝よう・・・・


上を向き首まで布団をかぶると
ゴソゴソと探すようにはいってくる右手

その手に左手を伸ばすとゆっくり重なり
そして握られたから握り返すとゆっくり目を閉じた先輩


このまま朝まで繋いでいれますように

そうお祈りして目を閉じた


「にゃん・・・にゃんにゃん」

「んっ・・・んん・・・」

「朝だよぉ〜」


優子先輩の声がする・・・
ずっとこの夢を見ていたい(бвб) 
・・・・・じゃなかった(汗)

バッと目を開けると目の前に優子先輩の顔があって
叫びそうになったけど何とかこらえ

「おはようございます(бвб)」

「あはっ(-∀-`) おはよう」


もちろん、もう手は繋がってなくて・・・
いつ離れたんだろう・・


仕方ないか
でもまた思いっきり寝顔見られたよね(汗)


それから静かに用意をして荷物を持って食事場所へ


「別々にしていただいてすみません」

「お気になさらないでください」

朝練の時の朝食は起きてすぐだからそんなに食べれないのに
何でこんなに美味しいんだろう
おかわりしたいくらい食べれちゃう(汗)

「お味噌汁のおかわりも言って下さいね」

「ありがとうございます(-∀-`) 」

そんな陽菜の上を行く優子先輩の食欲

「そんなに食べて大丈夫ですか(汗)」

「まだまだ時間あるし
お米はエネルギーになるからね」

お腹いっぱい食べ終えご馳走様をしていると

「頑張ってくださいね」

そう言って昨日と同じようににぎりとお漬物を下さった


「はい!明日も走れるように頑張ります(-∀-`) 」

「美味しい夕食をご用意して待ってますね
いってらっしゃいませ」


笑顔で送り出され競技場へ向かった
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