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アンブレラ  46  最終話

優子

陽菜が目の前にいる・・
そしてまたこうして抱きしめる事が出来る幸せ
この幸せを失いたくない

だからこれからの私は生きる事を諦めたりしない
何度でも這い上がり生き抜いてやる
そう心に誓っていた

麻里ちゃんが出て行ったのを確認して

「陽菜」

「ん?」

「今回は成功したけど5年後・・・
ううん、もしかしたらもっと早く再発する可能性もある」

「やだ!・・・」

「でもね私は絶対にあきらめない」

「うん」

「これからだって辛い事苦しい事が沢山あると思う」

「うん」

「でも、それでもいいのなら・・・」

「・・・・・?」

「私と付き合って下さい」

「っ・・・・」

声にならない言葉の代わりに
首を縦に振る陽菜の目からは涙が溢れていて・・

「待たせてごめんね」

今度は首を横に振る

「キスしたいけどまだしちゃいけないんだ」

「ん・・・」

「出来るようになったら唇が腫れちゃうほどしようね(´-∀-)」

「うぅ・・・ばか(涙)」

そっとだけど一か月ぶりに触れたにゃんにゃんからは
相変わらずいい匂いがした



経過は順調でそれから3カ月後私は退院

陽菜は看護学校に通い始めていた


その日の夜

「退院だったのに行けなくてごめんね」

「学校なんだから仕方ないよ
でもさ、このマンションセキュリティーもしっかりしてるし
部屋も広いし家賃高いんじゃないの(汗)?」

「学校が家からだと一時間以上かかるし
実習とか入ってきたら夜遅くなることも多くなるって言ったら
パパがここを探してきてくれたの」

「そうなんだ、にゃんにゃんが何も言ってくれないからさ
来てびっくりしたよ」

「それに女性専用のマンションらしくて思ってたより安いみたいだし
男が入れないから悪い虫がつかなくていい!だって
恋人いるのにね(笑)」

「なんだか騙してるようで胸が痛い(汗)」

「気にしなくていいよ女の人と同居するからって
言ってあるもん」

「でもなー・・・」

「あっ、優ちゃんのアパートの荷物
全部運んどいたよ、きちんと片づけてあったから
楽だったけど・・・」

「あぁー・・・うん、ほらあの時はまだ・・・
今はちゃんとさ」

「フフわかってる、やっと二人っきりになれたね優ちゃん」

「そうだね、これから宜しくね陽菜」

どちらからともなく近づきキスをした
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アンブレラ  45

優子

移植手術が終わった日から地獄の日々が始まった

痛い?辛い?そんな簡単な言葉じゃ表せないくらい
悶え苦しみ、殺してくれと何度叫びそうになったか・・・

気がくるってしまいそうだった私を現実の世界に
留まらせてくれていたのは陽菜!君だった

見る事も話す事も出来ないのに
毎日来てくれていると看護士さんが教えてくれて
あのガラス窓の向こうに陽菜がいると思うだけで
頑張れていたんだと思う

ある日のたうち回っていたら耳元で陽菜の声がしたような気がして
その声に神経を集中させ聞き終わってから見ると
看護士さんがボイスレコーダーを持っていた

陽菜が私の為に買ってきてくれて録音してくれたらしい

「お願い・・・話が・・したい」

何とか声を振り絞り看護士さんにお願いすると

少しだけよ、と言って電話をかけさせてくれた

実際じっとしていることが出来ず話すのも辛かったけど
陽菜の声が聞きたくてありがとうを言いたくて・・・
でも出て来た言葉は”愛してる”だった

無意識の自分が言った言葉・・・

陽菜も愛してると言ってくれた

涙声の陽菜の声に体以上に胸が苦しくなった


生着が上手くいったら付き合って下さいと言おう
一緒に居たいと言おう


私の為に看護士になりたいと言って麻里ちゃんに
勉強を教わっていたらしい陽菜

急な進路変更に準備期間が短すぎだからと
難色を示していたらしい才加を麻里ちゃんが
自分が面倒見るからと言ってくれたらしい

麻里ちゃんが何故看護師なのかを聞いたら

「優ちゃんにもしもの事があった時
すぐ対処できるし
気が付くのが早ければ早いほど助かるじゃん」

て言われたらしい

私に渾身の愛をささげてくれている陽菜に
私のすべてをかけ恩返しをしたい、ううん愛したい


陽菜と話してから2日後思いが通じたのか
骨髄は生着してくれて
個室ではあるけど一般病棟に移ることが出来た

「麻里ちゃん、大部屋にしてよ」

「だーめ、まだ免疫力は弱いから
他の病気にでもなったら大変でしょ」

「でもお金が・・・・」

「出世払いでいいよ」

「そんなの病院に通用するわけないじゃん(汗)」

「ゆっぴーの事が大好きなゴリラ君が
お金は大丈夫なので完璧な治療をお願いしますって
言ってきたから大丈夫(*`ω´) 」

「才加・・・・」

「ゆっぴーはさ、自分には誰もいなくて
不幸だって思ってるでしょ」

「そんな事・・・」

「でもさ、ゆっくり周りを見てみな
こんなに美人な先生や素敵な親友に
可愛らしい恋人がいるんだよ」

「美人な先生って・・・・」

「だから、もし、もしも再発したとしても
何度でも戦ってその度に勝って生き抜いていこうよ
篠田も一緒に戦ってあげるから」

「麻里ちゃん・・・・」

「もしも今度諦めるような事言ったら
ニャロの事篠田が奪っちゃうからね」

「それはダメ!」

「じゃー早く言って安心させてあげなよ」

「わかってる・・・」

「今日楽しみだなー(*`ω´) 
録画しとかなきゃ♪」

「そんな事させません(怒)」

「あら、じゃー録音で我慢しとくか・・・」

「それもダメ(怒)」

「ケチ・・・」

「可愛く拗ねてもダメ!」

ブーて言いながら部屋を出て行った

ありがとう篠田先生

このご恩はいつかきっと・・・・

アンブレラ  44

陽菜

試験が終わった次の日いつものように
病棟のナースステーションに面会の名前を書きに行くと

「陽菜ちゃん、大島さん今日の朝一般病棟にうつれたのよ」

「もう大丈夫なんですか」

「生着はしたんだけどまだ油断は出来ないから個室なの」

「陽菜は何が出来ますか?」

「そうね、体が痛かったり怠かったりすると思うんだけど
大島さん我慢強いから痛いとかあんまり言わないのよ
体摩ってあげたり撫でてあげたりしてあげると少しは
和らぐから話をしながらでいいから足や腕を
摩ってあげて欲しいかしら」

「わかりましたありがとうございます」

廊下を歩き出そうとすると

「陽菜ちゃん!」

「え?」

「病室の部屋番号わからないでしょ」

あっ・・・そうだった(汗)

看護士さんが案内してくれて病室のドアの前に
いるんだけど凄いドキドキしていて
なかなかドアを開けれないでいると

「ニャロさんそんなところで突っ立ってたら邪魔ですよ(笑)」

「むぅ・・・煩いし」

「ほら、早く入ってあげな」

ドアを開けられ背中を押された

「こじぱ・・・・」

「ッ・・優ちゃん」

「アハッ生のこじぱだ(-∀-`) 」

「優ちゃんだって・・・お帰り優ちゃん」

「ただいま」

両手を広げておいでってするから
痛く無いように慎重にでも急いでその胸に飛び込んだ

「ずっとにゃんにゃんに触れたかった」

「陽菜だって・・・」

「にゃんにゃんの匂いだー(-∀-`) 」

「優ちゃんは病院の匂いだね」

「あぁーごめんお風呂入れなくて・・・
でも看護士さんが毎日拭いてくれてるから
汚くないよ(汗)」

「・・・体全部?」

「え?うん、そうだけど」

「・・・・・」

「にゃんにゃん?」

「今日から陽菜が拭いてあげる(бвб) 」

「いやっ、それはいいよ(汗)」

「なんで、陽菜じゃ嫌なの?」

「そんな事ないけど、悪いしそれに・・・」

「それに?」

「えーと・・・恥ずかしい(汗)」

「看護士さんになら恥ずかしくないの?」

「看護士さんは見慣れてるだろうし
私は病人だからなんとも思わないじゃん」

「むぅ・・・・」

陽菜が膨れていると

「そうだ、試験どうだった?
自己採点してみた」

「たぶん大丈夫だと思う
でも、陽菜精一杯頑張ったもん」

「そっか、受かってるといいね(-∀-`) 」

「ねえ、どこ受けたか聞かないの?」

「それは・・・えーと・・・」

「もしかして知ってるの?」

「うっ・・・うん(汗)」

「佐江ちゃん?」

「違うよ」

「才加?」

「ううん違う先生は個人情報を簡単には漏らさないよ」

「じゃー誰?」

「そこの後ろでニヤニヤして見てる人」

「えっ!?」

慌てて振り返る
そう言えばこの人いたんだった・・・

「じゃーん教えたのは篠田だよ(*`ω´) 
先生は先生でも学校の先生じゃないからね」

「むぅ、お喋り(怒)」

「だーね、このお口は悪い子ちゃん(笑)」

「こじぱはそれでよかったの?」

「うん、元々やりたいことが無くて
なんとなく大学に行くんだって思ってたから
やりたいことが見つかって良かった
優ちゃんのお蔭だよ」

「にゃんにゃん・・・・(涙)」

「どうしたの?どこか痛い(汗)」

「ゆっぴーは嬉しいんだよね
だから、うれし泣き(*`ω´) 」

「で、麻里ちゃんはなんでまだいるの」

「ひどーい、廊下でなかなか入れない
ウサギちゃんを見つけて
中へ導いてあげたのに」

「用事がないならすぐに行けばよかったのに」

「そんなツンなところも可愛いね(*`ω´) 」


久しぶりお優ちゃんは一段と痩せていて
頭には陽菜のあげたニット帽をかぶっていた

顔色はまだよくないけど
これからよくなって行くよね?

陽菜も頑張ってサポートするから二人で頑張って行こうね

大好き優ちゃん!

アンブレラ  43

陽菜

手術の日、陽菜は学校を休み病院に居た

高3の三学期は殆ど授業なんてなくて自習で
試験勉強ばかりだから才加に言ったら
休養も大事だからなって言われて行かせてくれた

それと一言だけ・・・優子を頼むって・・・

きっとまだ好きなんだと思うけど
陽菜だって譲れないもん

移植だけだからそんなに長い時間かからなかったけど
手術室からまたすぐに無菌室へ入ったから
直接は会えなかった・・・・

ブラインドがかかった窓を眺めていると後ろから

「ゆっぴーは頑張ったよ、後は生着してくれるのを祈るだけ」

「うん・・・」

「ちょっと待ってて」

麻里ちゃんがどこかへ行くとブラインドが少しだけ上がった

そこから優ちゃんの姿が見えて・・・
チューブにつながれ酸素マスクをして帽子はかぶってなかった
当たり前だよね、今手術室から出て来たんだから・・・

ブラインドはすぐに占められ
それから一週間優ちゃんの姿は一切見れなかった

それでも毎日通う陽菜に看護士さんが

「大島さんからの伝言です
私は一人じゃない陽菜がいてくれるから
有難う陽菜!て言って欲しいって
大島さんは一人じゃなくて小嶋さんと一緒に
戦ってるのね羨ましいわ」

「そんな・・」

陽菜は何んにも出来てないじゃん・・・そうだ!

次の日近くにある某大型電気店に言って
テープレコーダーを買ってきて言葉を入れた

(優ちゃん陽菜だよ・・・苦しいよね、辛いよね
陽菜何も出来なくてごめんね、外で待ってる事しか出来なくて・・・
でも、明日は受験日だから来れないんだごめんね
陽菜頑張ってくるから、優ちゃんも頑張ってね
大好き優ちゃん)

それを看護士さんに渡すと少ししてから電話に出るように言われ
受話器を耳に当てると

「っ・・・にゃん・・にゃん・・・」

「優ちゃん!」

苦しそうな優ちゃんの声

「私も・・・大好き・・・愛してる」

「陽菜も愛してるよ!優ちゃん、優ちゃん」

「うっ・・・試験頑張ってね」

「うん、頑張ってくるから優ちゃんも負けないでね」

「くっ・・・ありがとう・・・」

(もう終わりにしましょう)

小さく看護士さんの声が聞こえた

「にゃんにゃん」

最後に聞こえて電話が切れた

優ちゃんの久しぶりの声に涙が溢れて止まらない

「はい、どうぞ」

後ろから目の前にハンカチが現れたから
それを奪い取って涙を拭くついでに鼻もかんでやった

「もうそれ仕えないからあげるよ」

「いらないし」

「アハハ、今日はもう帰って勉強しな」

「やだ、もう少しいたい」

「もし落ちたらゆっぴーが悲しむよ」

「むぅ・・・」

「可愛い顔して拗ねてもだーめ(*`ω´) 」

「こんな顔だし(怒)」

「わかった・・・でも、もし何かあったら連絡してよね」

「わかってるし、もしはありません(*`ω´) 」

「当たり前だし(бвб) 」

「ほれ、帰った帰った」

「あっ!今おしり触った(怒)」

「あたっただけでしょ
それか勉強教えてあげたお礼でもいいけどね」

「やっぱり変態(бвб) 」

「ゆっぴーほどでもないよ」

「どう言う事?」

「こんな可愛い巨乳ちゃんを虜にしてるし
うちの看護士さんに大人気だからね」

「それ、別に変態じゃないじゃん」

「デレデレした顔がさ(笑)」

「・・・・・」

その顔見たことあるかも・・・・

「ニャロは試験ガンバルンバ(*`ω´) 」

「なんか、軽いし」

アハハって笑いながら歩いて行った

どこまで真剣でどこから冗談かいまいちわかんないけど

陽菜の中でどこか憎めない人になっちゃったみたい

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