陽菜

手術の日、陽菜は学校を休み病院に居た

高3の三学期は殆ど授業なんてなくて自習で
試験勉強ばかりだから才加に言ったら
休養も大事だからなって言われて行かせてくれた

それと一言だけ・・・優子を頼むって・・・

きっとまだ好きなんだと思うけど
陽菜だって譲れないもん

移植だけだからそんなに長い時間かからなかったけど
手術室からまたすぐに無菌室へ入ったから
直接は会えなかった・・・・

ブラインドがかかった窓を眺めていると後ろから

「ゆっぴーは頑張ったよ、後は生着してくれるのを祈るだけ」

「うん・・・」

「ちょっと待ってて」

麻里ちゃんがどこかへ行くとブラインドが少しだけ上がった

そこから優ちゃんの姿が見えて・・・
チューブにつながれ酸素マスクをして帽子はかぶってなかった
当たり前だよね、今手術室から出て来たんだから・・・

ブラインドはすぐに占められ
それから一週間優ちゃんの姿は一切見れなかった

それでも毎日通う陽菜に看護士さんが

「大島さんからの伝言です
私は一人じゃない陽菜がいてくれるから
有難う陽菜!て言って欲しいって
大島さんは一人じゃなくて小嶋さんと一緒に
戦ってるのね羨ましいわ」

「そんな・・」

陽菜は何んにも出来てないじゃん・・・そうだ!

次の日近くにある某大型電気店に言って
テープレコーダーを買ってきて言葉を入れた

(優ちゃん陽菜だよ・・・苦しいよね、辛いよね
陽菜何も出来なくてごめんね、外で待ってる事しか出来なくて・・・
でも、明日は受験日だから来れないんだごめんね
陽菜頑張ってくるから、優ちゃんも頑張ってね
大好き優ちゃん)

それを看護士さんに渡すと少ししてから電話に出るように言われ
受話器を耳に当てると

「っ・・・にゃん・・にゃん・・・」

「優ちゃん!」

苦しそうな優ちゃんの声

「私も・・・大好き・・・愛してる」

「陽菜も愛してるよ!優ちゃん、優ちゃん」

「うっ・・・試験頑張ってね」

「うん、頑張ってくるから優ちゃんも負けないでね」

「くっ・・・ありがとう・・・」

(もう終わりにしましょう)

小さく看護士さんの声が聞こえた

「にゃんにゃん」

最後に聞こえて電話が切れた

優ちゃんの久しぶりの声に涙が溢れて止まらない

「はい、どうぞ」

後ろから目の前にハンカチが現れたから
それを奪い取って涙を拭くついでに鼻もかんでやった

「もうそれ仕えないからあげるよ」

「いらないし」

「アハハ、今日はもう帰って勉強しな」

「やだ、もう少しいたい」

「もし落ちたらゆっぴーが悲しむよ」

「むぅ・・・」

「可愛い顔して拗ねてもだーめ(*`ω´) 」

「こんな顔だし(怒)」

「わかった・・・でも、もし何かあったら連絡してよね」

「わかってるし、もしはありません(*`ω´) 」

「当たり前だし(бвб) 」

「ほれ、帰った帰った」

「あっ!今おしり触った(怒)」

「あたっただけでしょ
それか勉強教えてあげたお礼でもいいけどね」

「やっぱり変態(бвб) 」

「ゆっぴーほどでもないよ」

「どう言う事?」

「こんな可愛い巨乳ちゃんを虜にしてるし
うちの看護士さんに大人気だからね」

「それ、別に変態じゃないじゃん」

「デレデレした顔がさ(笑)」

「・・・・・」

その顔見たことあるかも・・・・

「ニャロは試験ガンバルンバ(*`ω´) 」

「なんか、軽いし」

アハハって笑いながら歩いて行った

どこまで真剣でどこから冗談かいまいちわかんないけど

陽菜の中でどこか憎めない人になっちゃったみたい