優子

移植手術が終わった日から地獄の日々が始まった

痛い?辛い?そんな簡単な言葉じゃ表せないくらい
悶え苦しみ、殺してくれと何度叫びそうになったか・・・

気がくるってしまいそうだった私を現実の世界に
留まらせてくれていたのは陽菜!君だった

見る事も話す事も出来ないのに
毎日来てくれていると看護士さんが教えてくれて
あのガラス窓の向こうに陽菜がいると思うだけで
頑張れていたんだと思う

ある日のたうち回っていたら耳元で陽菜の声がしたような気がして
その声に神経を集中させ聞き終わってから見ると
看護士さんがボイスレコーダーを持っていた

陽菜が私の為に買ってきてくれて録音してくれたらしい

「お願い・・・話が・・したい」

何とか声を振り絞り看護士さんにお願いすると

少しだけよ、と言って電話をかけさせてくれた

実際じっとしていることが出来ず話すのも辛かったけど
陽菜の声が聞きたくてありがとうを言いたくて・・・
でも出て来た言葉は”愛してる”だった

無意識の自分が言った言葉・・・

陽菜も愛してると言ってくれた

涙声の陽菜の声に体以上に胸が苦しくなった


生着が上手くいったら付き合って下さいと言おう
一緒に居たいと言おう


私の為に看護士になりたいと言って麻里ちゃんに
勉強を教わっていたらしい陽菜

急な進路変更に準備期間が短すぎだからと
難色を示していたらしい才加を麻里ちゃんが
自分が面倒見るからと言ってくれたらしい

麻里ちゃんが何故看護師なのかを聞いたら

「優ちゃんにもしもの事があった時
すぐ対処できるし
気が付くのが早ければ早いほど助かるじゃん」

て言われたらしい

私に渾身の愛をささげてくれている陽菜に
私のすべてをかけ恩返しをしたい、ううん愛したい


陽菜と話してから2日後思いが通じたのか
骨髄は生着してくれて
個室ではあるけど一般病棟に移ることが出来た

「麻里ちゃん、大部屋にしてよ」

「だーめ、まだ免疫力は弱いから
他の病気にでもなったら大変でしょ」

「でもお金が・・・・」

「出世払いでいいよ」

「そんなの病院に通用するわけないじゃん(汗)」

「ゆっぴーの事が大好きなゴリラ君が
お金は大丈夫なので完璧な治療をお願いしますって
言ってきたから大丈夫(*`ω´) 」

「才加・・・・」

「ゆっぴーはさ、自分には誰もいなくて
不幸だって思ってるでしょ」

「そんな事・・・」

「でもさ、ゆっくり周りを見てみな
こんなに美人な先生や素敵な親友に
可愛らしい恋人がいるんだよ」

「美人な先生って・・・・」

「だから、もし、もしも再発したとしても
何度でも戦ってその度に勝って生き抜いていこうよ
篠田も一緒に戦ってあげるから」

「麻里ちゃん・・・・」

「もしも今度諦めるような事言ったら
ニャロの事篠田が奪っちゃうからね」

「それはダメ!」

「じゃー早く言って安心させてあげなよ」

「わかってる・・・」

「今日楽しみだなー(*`ω´) 
録画しとかなきゃ♪」

「そんな事させません(怒)」

「あら、じゃー録音で我慢しとくか・・・」

「それもダメ(怒)」

「ケチ・・・」

「可愛く拗ねてもダメ!」

ブーて言いながら部屋を出て行った

ありがとう篠田先生

このご恩はいつかきっと・・・・