部屋の荷物を徐々に運んで行き
いらないものはリサイクルショップに売ってお金に換えた

明日から新装オープンするカフェの準備をしていたら
小嶋さんから緊急だと言うLINEが来て慌てて返す

ここんところ毎日送られてきていたLINE
雑誌社を辞め芸能界とは関係なくなったんだから
きっぱりと関係を切らないといけないのに
なかなか切り出せず既読スルーのままにしていたのに
緊急と言う文字を見て心配になりつい・・・・


新しいネタがあると言う事だったので少しほっとした
何かあったのかなって思うでしょ?

で、いい機会だから仕事を辞めスクープ記事はいらないと返信
そのままさよならだと思ってたのに

写真を撮られていただなんて気が付かなかった
それが出たら小嶋さんもだけど
きっと私も追われることになる

せっかくここで一からやって行こうと決めたばかりなのに・・・

それだけは避けたくて会う事にしたんだけど
あの人はいつも急だ・・・と言うか自分勝手だ

こちらの予定なんて全然気にしないんだから


すぐ出れば夕方までに戻って来れる
準備は殆ど出来ているから明日のオープンには間に合うよね?


もうすぐ着くと連絡すると待っててくれと返って来た
地下駐車場の空いてる場所に止め待っていると

マンションの地下出入り口から出てきた小嶋さん


連絡くれたら部屋へ行くのに・・・・

降りようとしたら車の中で話すと言われまた戻った


数秒の沈黙の後先に声を出したのは


「既読無視して今まで何してたの」

「無視してたわけじゃ・・・・」

「返信してこないのは無視と同じです!」

「ごめん・・・でもいい機会だから・・・」


付き合ってないのに別れようはおかしいし
なんて言えばいいんだろう(;´-∀-)


「利用価値がなくなったから?」

「違う、そう言う事じゃないけど(;´-∀-)」

「けどなに、結局体だけが目当てだったんでしょ」


どちらかと言うと小嶋さんの方からだったような・・・


「みんなそう、中身なんて関係なく
体だけが目当てで近づいて来てイメージと違ったって言うの
相手の事好きでもないし
抱かれても気持ちよくないんだから仕方ないでしょ
演技して欲しいわけ?」

「いや・・・私に言われても(;´-∀-)」


でも私にはあんなに演技してたじゃん・・・なんで?


「優子に抱かれた時初めて気持ちいいって思えた」


演技じゃなかったって事?

「初めてが初めてだったからトラウマだったのかもしれないけど
抱かれたい!抱きたいって思ったのは優子だけだったのに・・・」

「小嶋さん」


今にも泣きそうになりながら
必死に訴えてくる小嶋さんが愛おしくて
気が付くと抱きしめていた


「優子はこんな汚い陽菜は嫌い?」

「汚くない!全然汚くないから」

「噂とか知ってるんでしょ・・・
あれ噂じゃないから陽菜は」

「言わなくていい!」

「でも(涙)」

「高校時代の写真を引っ張り出してきて見たんだ
運動会の写真の端に小嶋さんが写ってた
メガネをかけていてよく見ないとわかんないけど
ゼッケンに小が写ってたから分かったよ
そこには必死に応援してる純粋無垢な小嶋さんがいたんだ」

「それたぶん、優子を応援してたんだと思う」

「え、でもクラス違ったよね?」

「だから、優子は有名だって言ったでしょ
陽菜はその時から優子の事をずっと目で追っていたんだから」

「そうだったんだ・・・応援してくれてありがとう」

「なにそれ」

「そして気づかなくてごめん」

「そうだよ、バカ」


この時、私より大きな小嶋さんが
凄く小さな女の子に見えたからなのかな

守ってあげなきゃって思ったんだ


「私仕事辞めたからゴシップネタはいらなくなったでしょ」

「陽菜もいらなくなった?」

「話を最後まで聞いて」

「・・・・・・」

「始めはスクープを撮りたくて小嶋さんに近づいたのはホント」

「知ってる」

「あはっバレてたんだ」

「嘘つくの下手なんだもん・・・
ゴシップカメラマンむいて無かったから
やめて正解」

「だよね(;´-∀-)
でも今は違うよ
それを抜きにして小嶋さんと付き合いたいって思ってる」

「陽菜達付き合ってなかったの?」

「付き合ってって言ってないし言われてもないからね」

「あぁ・・・・」

「だから、小嶋陽菜さん」

「・・・・・」

「仕事も無くなってこれからどうなるかわからない私ですが
こんな私で良かったら付き合って下さい!」

「・・・・嫌です(涙)」

「なんでぇ〜(;´-∀-)」

「うそ!・・・・お願いします」

「もう、びっくりしたなぁー」

「既読スルーした罰」

「ごめんて(;´-∀-)」



仕事を辞めたことによってやっと同級生と言う
対等な立場に立てたような気がした