陽菜なんて事を言っちゃったんだろう・・・
優ちゃんとキスするなんて・・・


でもあのままほって帰る事なんて出来なかった

好きだったと言われてやっと気づいた

あの頃の切なくしゃがれた声も
ふと見せる悲しそうな瞳も
泣きそうな笑顔も

全部陽菜に向けられていたんだね



その日は帰らずいつも通りお世話をした


次の日

「包帯ずれてますよ」

「今日起きるの遅くて慌ててやったから」

「巻なおしてあげるのでそこに座って下さい」

そう言えばいつもどうやって一人で綺麗に巻いてるんだろう・・・

寝る時は外してるんだよね?
お風呂に入るときは?

いつも陽菜が帰ってからだったからわかんない

包帯を外し終えると傷が見えた

この傷どうやって出来たんだろう・・・

「何度見ても気持ち悪いでしょ」

考えてたら手が止まってみいっちゃってた(汗)

「そんな事ないです」

「ドイツに留学して三年目くらいまで順調にいってたんだ
でも、女の子が好きだってバレちゃって
それをよく思わない人たちもいてさ結構いじめられてたんだ」

「・・・・・」

「何度もくじけそうになったけど約束があったから頑張れた」

約束?

「五年目の時CDの録音に入れてもらえる事になって
やっと約束を果たせると思ってたのに
収録する日の朝、良く思ってなかった子に・・・
咄嗟によけたけど右目がやられちゃって
その拍子に石垣の下に落ちて・・・
このありさまさアハッ」

「大島さん・・・」

いてもたってもいられなくてまた抱きしめてしまった

「小嶋さん(汗)」

「あ、すいません」

離れようとしたら

「少しの間このままでいて」

・・・・・

「目の手術日にち決まりましたか?」

「まだちゃんと決まってない
でもこのまま見えなくてもいいかなって・・・」

「何言ってるんですか?ダメですよ!きっと見えるようになりますから」

でも優ちゃんの目が見えるようになって
私が陽菜だってわかったらどう思うだろう・・

その前に消えなきゃ(汗)

それにこんなのダメでしょ?
私はノーマルだから女の子は無理・・・ムリ?

本当にムリ?

だって優ちゃんに抱き付くとあんなに心地いいのに?・・・
もっと抱きしめていたいって思うのに?
そんな事を考えていたらつい出てしまっていた

「優ちゃん・・・」

「!?」

驚いたように私から離れる大島さん・・・

「私の事優ちゃんて呼ぶのはにゃんにゃんだけ
小嶋さんはにゃんにゃんなの?
私の事だましてたの?」

「違う!(汗)」

「見えなくて何もわからない私の事笑ってたんだ」

「違うよ!」

「酷い・・・今すぐ出てって!
こんな姿見られたくなかったのに・・・・(涙)」