約束 6

優子

「お姉ちゃん!僕たちが案内してあげようか」

声でさっきの子供たちだと言うのが分かったけど
少しだけ付き合ってあげた

すぐに戻るつもりだったから軽い気持ちだったのに
慌てて追いかけてきたであろう小嶋さんの声

子供を追い払うと

「勝手にいなくならないでくださいよ!」

少し声が震えていて泣いてる様な気がした

元の場所へ戻りペットボトルを受け取り無言で飲んでいると

「私、父親居ないんです」

「え!?」

知らなかった・・・

「仕事人間で遊んでもらった記憶もない位なんですけど
その日は遊園地に行くって約束してたんです
それなのに朝起きたらいなくて・・・
母親に聞いたら会社から呼び出しがあったけど
私との約束を守るために朝早く出て用事を済ませて帰って来ると・・
でも二度と会う事は無くて・・・」

「・・・・・」

「帰って来る途中事故に合って・・・
私のせいでお父さんが死んじゃった(涙)」

「それは違うよ(汗)」

「だから、急に人が居なくなることが怖いくて・・
怒ってしまってすいませんでした」

「ううん、私の方こそ何も言わずにごめんね」

「もう急にいなくならないでくださいね」

そう言うと私の肩に少しの重みと良い匂いがしてきたから
きっともたれ掛ってきているんだろう・・・

「大島さんの事心配してる人が近くにいるんだって
覚えててくださいね」

「あ・・・うん・・・」


ダメだぞ優子!この子はあの子の替わりじゃないんだから・・・

こんにちは

更新できなくてすいません(汗)

一応最後まで書きあがってるんですが
旅?に出ていたので更新できませんでした

今日から再開しますので最後までお付き合いいただけたら
嬉しいです

ぷーな

約束 5

「小嶋さん!佐藤さんとはどうですか?」

佐藤さん?

「ああ、大島さんですか?今日も今から行きますけど」

「柏木さんは結構怒られていたみたいだけど
小嶋さんは大丈夫?暴力振るわれてない?」

「そんな人じゃありません!(怒)」

「え?」

「あっ・・・全然大丈夫です、凄く優しい人ですから」

「それならいいんだけどさ、一か月契約だから
あと一週間頑張って」

「・・・・行ってきます」

後一週間したらまた離れ離れになっちやうのかな・・・やだな

あれ?陽菜何考えてるんだろう
優ちゃんはただの親友・・・


駅を降りて歩いていると神社があるんだけど

「あれ今日・・・・・そうだ!」





「縁日?」

「ここから歩いて10分ほどの所にある神社で
今日からなんですって、行ってみませんか?」

「昔はよく友達と行ったけど・・」

「行きましょうよ、気晴らしになりますよ」

「そうだね、ドイツに戻るとまたいけなくなるし
久しぶりに行ってみようかな」

ドイツへ戻るという言葉に胸が少し痛む



夕方手を繋ぎ縁日へ

「何か食べたいものありますか?
クレープにかき氷、焼きそばにリンゴ飴
あ、トウモロコシもある♪」

「小嶋さんの好きな物でいいよ」

「じゃーリンゴ飴♪」

「・・・・・」

「いやでした(汗)?」

「ううん、友達も好きだったなーて思い出しただけ」

覚えててくれたんだ(бвб) 

『うわー女同士が手を繋いでやがる』

『大人なのに変なの(笑)』

後ろからからかうように聞こえてきた子供の声

「ん?」

優ちゃんが振り返るとみんな一斉に黙ってしまった
だって目に包帯してるんだもんね

「気にしないで行きましょう」

「気にしてないよ、あ、この匂いイカ焼きかな?」

「あたり!食べますか?」

「食べにくいからいいや」



境内の人ごみの少ない所に行って休憩する

「ここに座っててください飲み物買ってきます」

「ありがとう」

自販機を探し戻ると

「優ちゃん・・・・」

優ちゃんが何処にもいなくて慌てて探すと
さっきの子供たちに手を引かれ歩いていた

「こら!何してるの(怒)」

「ヤベー逃げろ(汗)」

走って逃げて行く子供たち

「大島さん何処か怪我してませんか(汗)」

「大丈夫、歩いてただけだから」

「良かったぁー・・・・・
勝手にいなくならないでくださいよ・・・」

「ご、ごめん・・・小嶋さん?」

約束 4

高校時代そう言えばいつも自分の事ばっかり話してて
優ちゃんの事あんまり聞いたことが無かったかも

(昨日また告白されたんだけど陽菜見た事ない人だったの
そんな人と付き合えるわけないじゃんね(怒))

(アハッそうだね)

(隣のクラスの田野君、武藤さんと付き合ったんだって)

(へぇー)

(どこかに優しくてカッコよくてお金持ちの男いないかな)

(アハッにゃんにゃんは贅沢だね)

いつも話を聞いて笑ってくれていたけどどこか影があって
悲しそうに見えてたのは何でだったっけ・・・

「どうしてこの曲を勧められたんですか?」

「報われない恋をした人が作った曲だからかな」

「なんで好きな人に?」

「なんでだろうね・・・・」

あ、またあの顔

目元は見えないけどこの雰囲気は
何でそんなに悲しそうなの?優ちゃん・・・・

「だいぶ暗くなってきたので散歩に行きませんか?」

「散歩?」

「海へ行きましょう!」

強引に誘って出てきちゃったけど
優ちゃん海好きだったでしょ?

「足元に段あるので気を付けてくださいね」

「ありがとう」

手を繋いで並んで歩く

「私の育った街にも海があったんだ」

「私もです、仲のいい子が居てその子とよく海へ行って
砂山作ってトンネル掘る競争したり」

「私もしてた!両方から崩さないように掘るの大変なんだよね♪」

「ちょっとやってみませんか?」

「え!?」

「はい作りますよー(бвб) 」

砂浜にしゃがんで作り始める

「出来たー、じゃーよーいドンで始めますよ」

その場所に手を持って行ってあげて自分の場所へ戻り

「よーい・・・ドン!」

掘り進めていくと

「あっ崩れそうですよ(汗)」

「うそ(汗)」

「ウソでーす(笑)」

「このやろー(笑)」

お世話しだしてから初めて本気で笑った顔を見たかも

掘りながら

「小嶋さんはなんでヘルパーさんになろうと思ったの?」

「私あんまり頭が良くなくて、でも人を助ける仕事がしたくて
この仕事がぴったりだったんですよ」

「高校生の頃はどんな学生だったの?」

「普通ですよ、どこにでもいそうなギャル?」

色々聞きたいのは陽菜の方なのに・・・

どうやって怪我をしたのか
何故連絡をくれなくなったのか
ドイツでどんな生活を送っていたのか・・・

そんな事聞けないけど・・・

「あ、届いた♪」

指と指がふれあい少し赤くなる優ちゃん

昔と変わんないね
陽菜の指に触れるといつも照れたように笑ってたっけ

「いい風だね・・・これが無かったらもっと気持ちいいんだろうな」

包帯を抑え辛そうなそぶりを見せる

「今まわりに誰もいないし月明かりだけだから外してみませんか?」

「でも・・・気持ち悪いよ」

「そんな事思いませんから」

「じゃー・・・少しだけとろうかな」

包帯を取った優ちゃんの右瞼の上と左こめかみにはひどい傷が・・・
でも目の輝きはあの頃のまま

「アハッ(-∀-`) びっくりしたでしょ」

「そ、そんな事ないです(汗)」

近づいてくる優ちゃんの右手が陽菜の頬に伸びてきて

「霞んでいてよく見えないけどきっと綺麗なんだろうね」

優ちゃんの触れたところが熱い(汗)

「普通ですよ、どこにでもある顔です」

「アハッ私もだよ」

陽菜より背は低いのに細くて長い指だった


遠くから声が聞こえてくる

「そろそろ戻りましょうか目も疲れちゃいますから」

「そうだね」

包帯を巻いてあげていると

「今日はありがとう凄く楽しかったよ」

そう言って笑窪を作る優ちゃん

この顔・・・懐かしい

「私もです(бвб) 」

別荘までまた手を繋いで帰った

約束 3

「今日は顔合わせだけって聞いてたんだけど
もう帰っちゃうのかな・・・」

包帯で見えないけどきっとあの頃みたいに
眉毛を下げているんだろうなー

「この後は仕事が無いので
大島さんさえ良ければ夕方まで居ますけど」

「助かった、実はトースターの位置とか全部変わってて
朝ご飯食べてないんだよね(汗)」

「申し訳ございません、すぐに作りますね」

もう、かしわげちゃん何やってんのよ(怒)

「お飲み物は何がよろしいですか?」

「温かい紅茶とパンにはバターだけを」

「かしこまりました」

「出て右の扉がキッチンだから
バスとトイレは左側の扉」

「わかりました」

食べやすいように卵と厚切りハムを焼き
トーストは半分に切りトレイに乗せてキッチンを出ると
懐かしい音色が聞こえてきた

「コンコン・・・失礼します」

「ありがとう、そこのテーブルに置いてくれたらいいから」

どうやって食べるのか見ていると
指先で食器や食べ物を確認しながら器用に食べていた

いつ怪我をしたんだろう・・・
慣れてる所を見るとだいぶ前なんだろうか・・・

もしかしたら・・・・だからメールを送れなくなったのかな

「食べ終わったら楽譜起こすの手伝ってもらえるかな」

「はい」

それからの優ちゃんのお手伝いは凄く楽しくて
あっという間に2週間が過ぎていた





「そろそろ休憩しませんか?
もう2時間以上弾いてますよ」

「もうそんなにたってたんだ(汗)
そう言えば紅茶のいい匂いがする」

「熱いので気を付けてくださいね」

「うん、ありがとう」

ソファーに座りリモコンのスイッチを入れる優ちゃん

「あ、これヴァイオリン♪」

「高校を卒業する前、好きだった人に
この曲を勧めたことがあったんだ」

「そうなんですね」

初めて聞いた・・・優ちゃん好きな人いたんだ・・・

なんでも話せる仲だと思ってたのに少しショックかも・・・
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