yuko



歌を聴き終えたとき、疑心が確信へと変わった

私、この歌声知ってる、体が、脳が覚えてる

離れるまで歌っていてくれた声だった

お母さん・・・・この人がお母さんだ!


でも、まだ二人には言えない・・・

もしかしたら向こうが言って欲しくないのかもしれない

だってこんなに近くにいたのに・・・同じ芸能界で歌っていたのに

私の事を気づかないわけがない!

でも・・・小さい時に別れてるから本当に分からなかったのかも・・・

考えがまとまらないまま、お店についた

食事が運ばれてきたけどのどを通らない


障子が開くけど、振り返る事が出来ない・・・

「こんばんは」 この声だ・・・

麻里ちゃん達が挨拶してくれてるけど顔を上げることが出来なかった

もし、拒絶されたらどうしよう、そんな事を考えていると


「あっ!」 

こじぱが「どうしたんですか?」

と叫んだからビックリして振り返ると涙を流して私を見つめる岩崎さんが居た


「ごめんね・・・」そう言いながら私に歩み寄り
そして・・・抱きしめられた

一気に子供のころに戻った感じ

感触・匂い、忘れてなかった・・・

「お母さんなの?」そっと耳元で囁いた

「優子、ごめんね、本当にごめんなさい(涙)」

何度も謝る岩崎さんの言葉に我を忘れて攻めてしまった

「なんで、連れて行ってくれなかったの!」

「なんで、名乗ってくれなかったの!」

「なんで!なんで!・・・・・」

次から次へと出てくるひどい言葉を何も言わずただ黙って受け止めている


「ゆっぴー!」「優ちゃん!」

二人の声にハッと我に返る


岩崎さんはずっと泣いていた