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本当の気持ち   14

hiromi




中休憩の時にスタッフから

AKBの大島さんと、しの・・・・・・・・・

その名前を聞いた瞬間、頭の中が真っ白になった

「あっ、ごめんなさいもう一度言って」

大島・篠田・小嶋 さんの三人が挨拶をしたいと言ってくれている

「すごい!アイドルの人が聴きに来てくれるなんて
私もまだまだ捨てたもんじゃないわね!」

少しおどけて見せる

いつものお店に連絡を入れておいてそこで待っていてもらうように伝言した


内心は凄いドキドキしてるけど他に人のは悟られてはいけない・・・


優子どうして・・・ばれた?いいえ分かるはずがない

あの人は絶対に言わないし、小さかった優子は顔を覚えていないはず
写真はもちろんないし・・・


きっと興味本位で聞きに来て挨拶しに来ただけなんだ

そう自分に言い聞かして後半に臨んだ

いつも以上に力が入っていたと、終わってからの握手会で
親衛隊の面々から言われて少し恥ずかしかった・・・


ホールのスタッフに挨拶をして会館を出る、マネージャーにも帰ってもらい
1人でお店に向かった


部屋に入るとシュートカットの子が挨拶してくれた確か篠田麻里子さん
その隣で髪が長くてかわいらしい子が小嶋陽菜さん

そして私の目の前にいて背中を向けたまま俯いているのが・・・・・


・・・・優子・・・


急に涙が溢れてきた

すぐそこに優子がいる、手放したくて手放したんじゃない
ずっと逢いたかった

もちろん子役で出てきた時もすぐに分かった

AKBに入って頑張ってた姿も知っている

何度も逢いに行こうと思った、でも・・・・・・

きっと優子に迷惑がかかる

今やスーパースターの王道を行くAKBにとってどんなスキャンダルもご法度

そう思うと名乗り出る事は出来なかった・・・


「ごめんね」

今の私には謝る事しか出来なかった

本当の気持ち   13

yuko



歌を聴き終えたとき、疑心が確信へと変わった

私、この歌声知ってる、体が、脳が覚えてる

離れるまで歌っていてくれた声だった

お母さん・・・・この人がお母さんだ!


でも、まだ二人には言えない・・・

もしかしたら向こうが言って欲しくないのかもしれない

だってこんなに近くにいたのに・・・同じ芸能界で歌っていたのに

私の事を気づかないわけがない!

でも・・・小さい時に別れてるから本当に分からなかったのかも・・・

考えがまとまらないまま、お店についた

食事が運ばれてきたけどのどを通らない


障子が開くけど、振り返る事が出来ない・・・

「こんばんは」 この声だ・・・

麻里ちゃん達が挨拶してくれてるけど顔を上げることが出来なかった

もし、拒絶されたらどうしよう、そんな事を考えていると


「あっ!」 

こじぱが「どうしたんですか?」

と叫んだからビックリして振り返ると涙を流して私を見つめる岩崎さんが居た


「ごめんね・・・」そう言いながら私に歩み寄り
そして・・・抱きしめられた

一気に子供のころに戻った感じ

感触・匂い、忘れてなかった・・・

「お母さんなの?」そっと耳元で囁いた

「優子、ごめんね、本当にごめんなさい(涙)」

何度も謝る岩崎さんの言葉に我を忘れて攻めてしまった

「なんで、連れて行ってくれなかったの!」

「なんで、名乗ってくれなかったの!」

「なんで!なんで!・・・・・」

次から次へと出てくるひどい言葉を何も言わずただ黙って受け止めている


「ゆっぴー!」「優ちゃん!」

二人の声にハッと我に返る


岩崎さんはずっと泣いていた
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