本当の気持ち   12

mariko



中休憩があったので、いったんロビーに出てスタッフらしき人に声をかけることにした

いつも先頭きって行動したり話しかけたりする優子は俯いたまま
話し出そうとしないから篠田の出番かな!

「すいません」

「はい?」

「私達、AKBの篠田と小嶋と大島と言います」

「ああっ!」と言う顔をされたから

「岩崎さんにお会いして挨拶出来たらな、
と思いまして声を掛けさせていただきました」

「無理ならまた日を改めますので・・・」

「聞いてまいりますので少々お待ちください」

5分後

「終了後、握手会がありますのでそれが終わってからでもよいのでしたら
この近くに魚政と言う割烹料理屋さんがあるのでそちらでお待ちしてくだされば
お会いしたいとのことなんですが」

「ありがとうございます、待ってますとお伝えください」

三人で頭を下げ、席に戻った


後半の部は圧巻だった

私達のようにダンスがあるわけでもなく、走り回るわけでもないのに

この充実感、癒され間は半端ない!

「凄かったね!!」(бвб) 

「うん」(´-∀-)

「また来たいね」(*`ω´) 

「うん」(´-∀-)


うん、しか言わない優子

「今度はメンバーも誘おうよ!」(бвб) 

「あんまり多いと迷惑になるかもよ」(*`ω´) 

「んん〜ん」考え込む陽菜

「じゃーまた三人で来ようね!」(бвб) 

首をかしげながら話すしぐさはいつ見ても可愛い




「優ちゃんあんまりしゃべんないね」


お店に着くと奥の部屋に案内された

先に注文するのも失礼かと思い待っていると料理が運ばれてきて

先に食べて頂いておくようにと仰せつかっておりますのでどうぞ召し上がってください

さすがベテランの方は心遣いが違うなーと思いながら先に頂く事にした


料理が美味しいとか、今日のコンサートの事とか陽菜と二人で話しているんだけど

入り口を背にして座る優子の箸も口もすすまず黙って下を向いていた


少しすると外で声がした

「いつもお世話になっております」

さっきまで聞いていた声が聞こえた途端、優子の体がビクンと小さく跳ねた



障子があくとステージで見るよりも、小柄でかわいらしい人が立っていて
私たちを見て頭を下げたので

私達も慌てて立ち上がり頭を下げた

優子だけは座ったまんまだったけどね・・・

「急に逢いたいとわがまま言って申し訳ありませんでした」(*`ω´) 

「いいえ、こんな若い方達に逢いたいって言ってもらえるなんて・・・
いつでも大歓迎ですよ」

ニコッと笑いかけてくれた


あれ?この笑顔どこかで見たことあるかも・・・・?

何処だったかな〜?・・・・考えていると


挨拶し終わってからずーと俯いたままの優子の背中を見ていた
岩崎さんの目から大粒の涙が零れ落ちた・・・

本当の気持ち   11

haruna



お疲れ様でした!

おつかれ〜

収録が終わった

「今日は早いから、みんなでご飯行きましょうよ!」

たかみながメンバーに声をかけている

私達は用事があるからって断ると

「あれ?三人でどっかい行くんすか?」

「あっ、えーと映画見に行く約束してるんだよね、優ちゃん」

「うっ、うん(汗)」

「高橋も行きたいっす!」

え〜どうしよう・・・言葉に詰まっていると

「ダメダメ、今日はアダルトリオの日なの!」(*`ω´) 

「そんな〜(涙)」

トボトボと肩を落として離れていくみなみ・・・

ごめんね!と心の中で謝った



夕食を軽めに食べて会場に入る

一応AKBだとばれない様に、帽子と眼鏡をかけてるんだけど

年配の方が多いからきっと私達の事知らないよね、なんて言ってたのは間違いで

学生、若い人たち、親子で来ていたり、幅広い年齢層の人が見に来ていた


その中でも一番驚いたのは

「せーの!宏美ちゃーん!」

「L・O・V・E ラブリー宏美!」

と、MIXを入れる親衛隊がいたこと!

しろいTシャツに黄色い鉢巻、ピンクのサイリュウム

決して大勢だとは言えないけど

礼儀正しくて始めと終わりに挨拶とお礼を言っていた

「ねえ、優ちゃん、この人・・・宏美さんて何歳?」(бвб) 

「・・・・・」

「確か54歳だったと思うよ」(*`ω´) 

「応援の人達凄いね、アイドルみたいだね」

麻里ちゃんが頷く

優ちゃんは黙って前だけを向いて聴き入っていた


2階席の右端からかぶりつくように見入っている姿や横顔が愛しくて
抱きしめたくなるのを必死で抑えていた
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