記憶喪失? 22

消息がつかめないまま半年が過ぎた

でも陽菜はまだあのマンションにいる

だって優ちゃんが約束?
通り半分お金を振り込んでくれてるから

蜘蛛の糸じゃないけどそれが途切れたら
優ちゃんとのつながりが全部切れちゃうでしょ?

半年も経つのにまだ優ちゃんを忘れられない陽菜・・・


「そろそろ新しい恋人でも作ったら(*`ω´)」

「まだ切れたわけじゃないし(怒)」

「でもさ、毎月決まった日に入ってるんでしょ?」

「うん・・・・」

「にゃろが引っ越したら止まるのかな?」

「そうだと思う」

「引っ越したってどうやって知るの?」

「・・・・・・(бвб) 」

「引っ越してるかどうかも分からないのに
ずっと振り込んできてるって事は
何処かで見てるか・・・・」

「誰かが連絡を取ってるか・・・か(бвб) 」

「そういう事(*`ω´) 」

「一番怪しいのは佐江ちゃんかな」

「もしくは才加」

「そうかも・・・
だって佐江ちゃんいはゆきりんがいるし
二人だとバレる確率高くなるもんね」

「だーね」


優ちゃんが出て行ってからみんなで集まらなくなったから
全然気づかなかった

そうだよね、仕事を辞めたのに実家にも帰ってなくて
何処かで暮らしてるんだとして
そこの家賃とここの家賃両方払ってたら
いくら働いても全部消えちゃうよね?


才加が一番怪しいじゃん


もしかしたら佐江ちゃんが知らないだけで
まだ会社で働いてるのかもしれない・・・・


「ねえ」

「久しぶりに集合かけちゃう?(*`ω´)」

「お願い」


久しぶりに動いたグループLINE
もちろん優ちゃんは退会していない


麻(にゃろが新しい恋に踏み出したお祝いに
みんな集まるよ)

佐(そっか、こじぱおめでとう)

由(良かったです)

陽(心配かけてごめんね)

敦(どこで集まる?)

麻(ひとり身の才加の部屋がいいんじゃない?)


既読は全員付いてるのに返事がない才加


麻(もしもーし・・・才加どこー)

才(今親が上京してきてるから無理かな)


上京て・・・確か実家千葉だったよね?


麻(いつまでいるの?帰ってからでもいいけど)

佐(来週でもいいよん)

才(・・・・・・・
夫婦喧嘩したみたいで少しの間いるらしいから(汗))

麻(だったら仕方ないねにゃろの部屋でする?)

陽(引っ越しの準備で散らかってるから無理)

佐(え、こじぱ引っ越すの?)

陽(彼の家で一緒に住むことにしたの)

佐(いつ?)

陽(今週末)

由(急ですね(汗))

陽(ここは思い出がありすぎるから)


少しの沈黙


麻(だったら外にしようか)

佐(それが良いかも)

敦(美味しいとこ頼むね麻里子)

麻(敦子が好きな食べ物がたくさんある所にする)

陽(同じ部屋にいるのにLINEでイチャつかないで)

麻(はいはい、では日時と場所は追って連絡しまーす)

全(よろしく)


「ほら、怪しいでしょ(*`ω´) 」

「うん(бвб) 」

「あの間はダメだな才加(∵)」


同じ部屋にいるのは二人じゃなく三人で
陽菜が麻里ちゃんちにお邪魔してる


「才加も嘘付ける人間じゃないからね」

「顔見て話したらもっとヤバいんじゃない?」

「バレバレの様な気がする」

「でもこれで家賃振り込んで来なかったら
90%怪しい」


いつも振り込んでくるのは月末の30日

だからわざとその前の週に引っ越すと書いた

本当は引っ越さないけどね


「でももし見に来たらバレるんじゃない?」

「見つかる可能性があるのに来ないでしょ」

「一日中見張ってるわけにもいかないし」

「そっか、そうだよね」

「三日後にまた仕掛けるから敦子頼むよ」

「任せといて」


こういう事を考えさせたらピカイチの麻里子

もしかしたらもう一度優ちゃんに会えるかもしれない
そう思うだけで何故かやる気が出てきてる陽菜は
やっぱり優ちゃんじゃないとダメなんだと思う

でもその作戦が進む事は無かったんだけどね

記憶喪失? 21

記憶喪失? 20

最後の夜なんだって思うと食欲も出なくて

野菜ジュースだけで夕飯を済ませお風呂に入り
隅々まで綺麗に磨く


もしかして陽菜の裸を見て抱いたら
気持ちが変わるかもしれないでしょ

記憶がなくったって陽菜を好きだったんだから
戻ってるならなおさら・・・・


優ちゃんの好きだったコロンも付けて準備万端で待ってるのに
なかなか連絡が来ない

本当に来るの?


もしかしたら寝ちゃってるのかもだから
待ってる、とだけ送っておいた


「はぁ・・・・」


こんなに待ったことあったっけ?
どちらかというと待たすのは陽菜の方で
待つのは優子だった

いつもこんな気持ちで待ってたんだろうか・・・・
今更だけど申し訳なく思う

もう来ないのかもしれないと思ったとたんに
LINEが来た

(あと10分ほどで着きます)


「十分か・・・・」

身だしなみを整え別に待ってなかったよ
と思わせるように机にお菓子と飲み物を乱雑に置いた

「ふぅ・・・・・」

意味もなく何度も深呼吸をする陽菜は
別れるというのを受け止めかけてるのかもしれない

本当は嫌だけど、記憶の無いふりをしてまで別れたいなら
無理強いは出来ない

大人になったね陽菜


ピンポン!

下のインターフォンが鳴りカギを開ける
少しすると部屋の玄関のインターフォンが鳴り
少し空いてから鍵を開ける

本当はずっとドアの前で待ってたのにね



「いらっしゃい(бвб)」

「こんばんは、遅くなってすみません」

「大丈夫、どうぞ」

「お邪魔します」



よそよそしい挨拶でもうダメなんだって感じた
とても演技だとは思えないから
だから本当にこれが最後・・・・・


「私はお風呂入ってきましたけどどうされますか
直ぐでもいいですけど」



淡々と事務的に話す優子を見ていると自然と出てきた涙


「嫌なら帰りますが」

「嫌じゃない・・・・
でももう少し優しくしてくれてもいいんじゃん
最後なのに・・・(涙)」


陽菜から一瞬だけ目をそらしたけどすぐに目を見て


「ごめんなさい・・・・・わかりました
お風呂に入られますか?」

「もう入った」

「ではベッドへ行きましょう」

「それと最後くらい恋人のフリしてよ(泣)」

「ふりでいいなら・・・・
行こう、陽菜」


恋人のフリとしか言ってないのに
名前で呼ぶんだ

こういう時はにゃんにゃんと呼ばずに
陽菜って言ってたもんね・・・

それに優ちゃんの声で陽菜って言わないでよ(泣)
優ちゃんだけど・・・・
余計に辛くなる(涙)

あとね、中学生がこんなこと言わないよ馬鹿優子


差し出された陽菜より小さな手

それをギュッと握ると一瞬動いた眉

でもハの字にならない眉が
もう陽菜の優ちゃんじゃないんだって物語るから
次は胸が苦しくなった


ベッドの前まで来ると


「自分で脱ぐ?」


そう言う事聞くかな・・・・


「脱がせて(бвб)」


出来うるかぎり色っぽく誘うように囁くと

コクンと頷き服に手をかけてきたから脱がしやすいように
手伝いながら優子の服も脱がせベッドへ

少しの間見つめあいどちらからともなく唇を合わせた

記憶喪失? 19

美容室から戻って来てばっちりメイクをし
完璧な陽菜が出来上がる


「うん、優ちゃんが好きなメイク出来上がり(бвб) 」


洋服も少し下を向けば胸元が見える短めのワンピース

後は・・・・



(外に出てるから用意出来たら呼んでね)



これでよし(бвб)


この陽菜を見てどういう反応するかでわかるはず


近くのカフェで時間をつぶしていると
(出来ました)と簡単な文のlineが送られてきた


「せめて絵文字一つぐらい付けてくれてもいいじゃん」


そっけない文面に落ちそうになる気分を保ち
マンションへ



「ただいま〜」

「・・・・・・」


お帰りも出迎えも無しか・・・・

そのままリビングへ行くと
寝室から出てきた優ちゃん


「・・・・おかえりなさい
荷物少しだけまとめてました」



どうしてずっと敬語なの?

目が合ったけどすぐそらし
キッチンへ移動しながら淡々と話してくる

相変わらずマスクはしてるけど見逃さなかったよ
眉が一瞬動いたとこ

テーブルの上には陽菜の好きなおかずばかり


「すごーい、陽菜の好物ばかりだ(бвб)」

「最後ですから・・・」


確かに最後の晩餐って送ったけど
言葉で最後とか言われたら涙が出そう


「シャンパンかってあるから飲もう」

「お昼なのでやめておきます」

「最後の晩餐・・・・でも?」

「・・・・・わかりましたでは乾杯だけ」


優ちゃんが記念日に買ってきてくれた
シャンパングラスを出してきて
陽菜が注ぎグラスを合わせる


「これ、ここに引っ越してきての一周年記念に
陽菜が買ってきたんだ」


ほら、また眉がピクンと動いた
だって優ちゃんが買ってきてくれたんだもんね


「うん、美味しいこれ優ちゃんが好きな味だったんだよ
陽菜はもう一つのほうが好きだったのに
こればっかり買ってくるからいつの間にか好きになっちゃったんだ」


これも嘘、ホントは逆で陽菜が好きで
優ちゃんが仕方なく飲んでて
いつの間にか好きになっちゃったって笑ってたもん


「この美味しいご飯はもう食べれないのか・・・」

「今は宅配も美味しいですから」

「ウーバーなんちゃらだっけ?
それだけを仕事にする人もいるんでしょ」

「ウーバーイーツをする人が増えすぎてるのも
問題視されてますけどね」


どうして最近のことを覚えてるのかな?
記憶があるところはまだウーバーは無かったはずでしょ

それにあの時は気づけなかったけど
お揃いのスーツケース・・・・
名前も書いてなかったのにどうして優ちゃんのがわかったの?


これで確信した
優ちゃんの記憶は戻ってる
だったらどうして分かれようとしてるの?


「ごちそうさまでした
荷物なんだけど必要なもの詰め終わったので
残りは適当に捨てて下さい」

「もう来ないの?」

「必要が無い限り・・・・」

「陽菜の最後のお願い聞いてくれる?」

「なんですか?」

「抱いてほしい」

「それは・・・・・・」


今のは中学生の反応じゃないよね
大人の・・・今までの優ちゃんの反応だよ


「最後なんでしょ!最後の思い出に抱いてよ
それとも愛してもいない人は抱けない?」

「ごめん・・・・」

「わかったもういい」


立ち上がりバックを持ち玄関へ向かう


「どこへ行くの」

「優ちゃん以外なら誰でもいいから
ナンパされてくるあ、どうせだったら
お金持ちそうなおじさんに買って貰おうかな」

「だめだよ(汗)」

「関係ない人にダメって言われる筋合いはない」

「わかったから、やめて」

「じゃー抱いてくれるの?」

「私覚えてないんだよ小嶋さんはそれでもいいの!?」


小嶋さん呼び・・・・そこまでして何をしたいの?

でもそれはまだ聞かずコクンと頷くだけにする



「わかった・・・・でもまだお昼だし
心の準備もあるから夜まで待って」


敬語じゃなくなってるね
気づいてないのかな
でも陽菜も気づいてないふりを通す


「わかった」

「また夜に来るけど最後の晩餐は終わったから
ご飯は作らない」

「わかってる」

「じゃーまた夜に」


そう言うとまとめた荷物をもって出て行った


本当に最後なの・・・・

もうあの楽しかった日々は戻らないの?・・・・

それが本当なら

辛いよ、優ちゃん


記憶喪失? 18

「おっは〜・・・・て、どうしたのその顔」

「優ちゃんが出て行った」

「どうして?喧嘩でもした」

「陽菜とは友達でもなんでもないから
一緒に住むのは嫌なんだって
週末に荷物まとめに戻ってくるから
その間麻里子の家泊めてね」

「篠田はいいけど・・・本当にいいの?」

「仕方ないじゃん、何にも覚えてなくて
陽菜と住むのはつらいって言うんだから」

「初めはあんなに乗り気だったのに?」

「・・・・・・だよね・・・
きれいなお姉さんと恋人同士だとか言って
喜んでたのにいきなり辛いとか変だよね・・・」


それに離れて暮らす?って聞いたとき
一緒にいたいって言ったのは優ちゃんじゃん
どういうこと?


「様子変じゃなかったの?」

「どうなんだろう、表情変えずに
淡々と話すし喉痛いとかでマスクしてたから
嘘ついた時のヒクヒクがわかんなかった・・・」

「それホントにのどが痛いからなの?
バレないようにマスクをしてたんじゃないの?」


確かにそうだ・・・・まさか記憶戻ってるの?
じゃーどうして戻ってないふりして
出ていこうとしてるの?

確かめなきゃ


(昨日はごめんなさい、このまま別れるのは嫌だから
今日か明日に最後の晩餐しよう)


お昼休みにLINEを送る
すぐ既読は付いたもののなかなか返信が来なくて
夕方にやっと(レストラン予約しましょうか?)

てきたから、優ちゃんに作ってほしいって送ったら
分かりました
では明日の昼食を作りますって返ってきた

夜は嫌なんだね
それになんで敬語かな(怒)


「一人で大丈夫?」

「ありがとう、優ちゃんとだから大丈夫」

「LINEくれたらすぐ行くから」

「せっかくの休みなんだから
あっちゃんと楽しんで」

「ホントに気を使わなくていいからね」

「わかってるって、陽菜が気を使った事ある?」

「あぁ・・・・無いか(笑)」

「それはそれで酷い(笑)」


先輩だけど最高の親友に
気持ちも少しらくになった

さーてと
明日は最高の陽菜を見せなきゃだから
今日はエステを予約して・・・・

明日は朝一で美容院の予約っと・・・


これでよし


ネイルも行っておこうかな〜
えぇ・・・空いてないじゃん・・・


仕方ない


「課長・・・」

「どうした小嶋」

「さっきから体調悪くて・・・・」

「顔色は・・・・悪くないが」

「女性特有のあれでして」

「あぁ・・・・そうか(汗)」

「今から早退してもいいですか」

「早退って、まだ始まってないだろうが(汗)」

「じゃー生理休暇取りまーす(бвб) 」

「ニャロさん(汗)」

「後はよろしくね」


机の上に置いていたバッグを持ち部屋を出て
そのままネイルサロンへ直行


あ、本当の時は取れないじゃん・・・
不規則ですって言えばいっか(бвб) 


取りあえず今が大切だから

綺麗な陽菜を見せつけて
別れようとしてることを後悔させてやるんだからね!
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