つながった空 6

「ふぅ〜疲れた(-∀-`) 」


二人で部屋に戻って来た


「優子先に入って」

「後でいいよ、小嶋さん先に入ってよ」

「陽菜もう、小嶋じゃないから」

「そっか・・・・ごめん」

「・・・・優子の方が早いから」

「そうだね・・・うん、先に浴びてくるよ」


スーツケースを開き着替えを取り出すと開けたまま行ってしまった


こんな所は変わんないなーと思ってみているとパスポートが目に入る

あれを見たらどこから出国してきたのかがわかる・・でも

知ってどうする?
陽菜はもう人妻なんだよ


フゥーと息を一つはいて自分の荷物を整理する


「あぁ〜さっぱりした、お先でした(-∀-`) 」


昔のように下着姿で出てこないんだね


「入って来るけど、先に寝ててもいいから」

「うん」


て言ったのに起きて待っていた


「優輝君にゃんにゃんに似てるよね」

「何で知ってるの」

「あぁ〜、佐江にたまに写メ送って貰ってたから」

「ふーん・・・」


ずっとあの二人だけとは連絡とってたんだ


「名前はにゃんにゃんが付けたの?」

「違う」


うそ、陽菜が考えて付けたんだよ
優子の優の字をどうしても付けたかった

優子の事を知らない彼はいい名前だねって言ってくれて
心が少し痛かったけど・・・


「・・・・・」


昔はこんな沈黙なんてなんとも思わなかったけど
今は息苦しい


「おやすみ(бвб) 」

「おやすみ」


その空気間から逃れるかのようにおやすみといったけど
優子が同じ空間にいるのに寝むれるはずがない

「もう寝た?」


「・・・・」


「何も聞かないんだね・・・
私の事もう興味ないか・・・そうだよねもう8年たつんだもんね」


陽菜が寝てると思ってるのか独り言のように話し始めた優子


「8年たって子供も産んでるのに全然変わらないよね
ううん、母性が出まくって一段と綺麗になっててびっくりした
やっぱ生で見るのと写真で見るのとは違うよねぇー
はぁ・・・・・好きだなぁ(-∀-`) 」


悪びれもせず昔と変わらない優子にムカッとしてつい


「軽々しく好きだなんて言わないで!(怒)」

「っ・・・ごめん・・・起きてたんだ」


「興味なくなったのは優子の方でしょ」

「そうだよね・・・うん・・・ごめんね」

「陽菜は謝られたいわけじゃない
謝らなきゃいけないような事したと思うんだったら
なんで今さらそんなこと言うの(涙)」

「ほんと・・・ごめん・・・今の私には
陽菜を抱きしめてあげる資格がないから」

そう言ってベットの端に座り
背を向けた陽菜の頭を撫でてくれる


「悪いと思うなら今までどこにいたのか
なんで急に消えたのか教えてよ」

「消息を絶ったと言われた時世界を転々としてたんだ
別に消えようと思って消えたわけじゃなくて
誰も私の居場所を突き止められなかっただけ」

「だって目撃情報とか一切出なかったもん」


「オーラ消してたからね(笑)
て言うかもうオーラが無かったのかな(-∀-`) 」


「そんな事無い、今だってあるもん」

「アハッ(-∀-`) ありがとう」

「なんで日本に戻ってこないの」

「う〜ん・・・戻ってないこともないんだよね
ほら、おばあちゃんもいい歳だし
それに・・・陽菜のウエディングドレス姿を
どうしてもこの目で見たくてさ」

「うそ・・・・見てたの?」


「うん、泣きすぎて大変だったけどね(笑)」


「なんで・・・だったら何で会いに来てくれなかったの」


「そんな事したらさ、私もだけど
陽菜の決心が揺らいだら困るでしょ
て、うぬぼれか(笑)」


そうかもしれない・・・・
結婚式の日お腹に子供がいたけど
優子が一緒に行こうって言ったら
きっと陽菜は・・・・


「私は陽菜が幸せになってくれたらそれでいいから
それが私の幸せだから」


「そんなの、独りよがりじゃん」


「だって、陽菜は今幸せでしょ?
素敵な旦那様と可愛い子供がいるんだよ
昔から子供大好きだったじゃん
私では子供を作ってあげれなかったんだよ」


「そんなの分かってる
それでも優子と・・・
優ちゃんと一緒に年を取っていきたかった」


「一緒にいれないけど一緒に年は取って行けるよ
同い年だしね(-∀-`) 」


「違う!優ちゃんの隣で
毎日好き!愛してるって言いあって
たまにけんかして仲直りのキスをして
おばあちゃんになっても手を繋いでデートして
ずっとずっとそばにいたかった(涙)」


「・・・・・・・」


何も言わなくなった優子の方を振り返ると
腕で目を隠し声を殺して泣いていた

つながった空 5

「ゆう・・・こ?」

「アハッ(-∀-`) みんな久しぶり~」

「久しぶりじゃねえわ、どこで何してたんや」

「まあまあ、そういう話はいいじゃん
ほら早く座りなよ、あ、小嶋さんは私の横ね(-∀-`) 」


あれから何年たってると思ってるの?
あの頃のままみたいに軽く流さないでよ(怒)



もちろん隣になんて座らず


「同期で挟めばいいんじゃない」

そう言って二人を隣に座らせた

笑いながら眉毛を下げてる優子
そんな顔したって昔のように話してあげないんだから


飲み物が運ばれてきてみんなで乾杯すると麻里子が口を開く


「ゆっぴーがここに居るって事は
誰かが連絡を取り合ってたって事だよね」

「ごめん」


二人が頭を下げる


「二人は悪くないよ
私がお願いして誰にも言わないでって言ったから
二人も辛かっただろうに・・・ほんとごめんね」

「おかしいと思ってたんだよね
心友であるはずの二人がゆっぴーの事について
一切何も言わなかったし
にゃろを見る時たまに辛そうにしてたから」

「さすが麻里子様洞察力が素晴らしい」

「で、今どこにいるの(ΘωΘ) 」

「それは言えない」

「と言う事は日本に戻ってくるわけじゃないんだ」

「いつかは帰るよ、日本には友達が沢山いるし
親も兄妹もいるからね
それに・・・死ぬときには看取って欲しい人がいるから」


陽菜の目を見ながら言うから勘違いしそうになる


「ただそれは来年かもしれないし10年先かもしれない」

「どういう事?なにかやってるわけ」

「それも言えない」

「言えないことだらけなんだ・・・
じゃー何故現れたの」

「それは・・・みんなに会いたかったから・・・
日本には帰れないけどここなら会えると思って・・・」


「優子はそれでいいかもしれないけど陽菜の事考えた事ある?
陽菜はまた苦しまなきゃいけないんだよ」

「みーちゃん(汗)」

「でも、陽菜は結婚して子供も出来て幸せだから大丈夫かなって・・・」

「あのね、嫌いになって別れたわけじゃない人の事忘れられると思う?
あ、そっか、優子はとっくに陽菜の事なんてなーんとも思ってないのか」

「そんな事無い!・・・そんな事・・・」


だめ、せっかくの楽しい旅行なのにこんな雰囲気じゃだめ


「陽菜は幸せだよ、優しい旦那様と可愛い子供に恵まれて
好きな事もさせて貰えてるし、こうやって旅行にも来れるんだから」

「その話はもういいじゃんほら、料理冷めちゃうからみんな食べよう(∵)」

「そうだよ、ここの美味しいのに冷めちゃったらもったいないよ」


あっちゃんの一言でみんなそれぞれに食べだした

それからは昔の公演やコンサートの話になり
楽しい時間を過ごせたと思う


お勘定を終え外に出ると佐江ちゃんが近づいて来て

「にゃんにゃんの部屋に優子いれていいかな
嫌だったら佐江か才加が代わるけど」


どうしよう・・・・
もしかしたらこのまま会えなくなるかもだし

だって人間いつ死ぬかわかんないじゃん


「いいよ、二日ともかな?」

「う、うん」

「わかった(бвб)」



「優子!」

佐江ちゃんが優ちゃんを呼び寄せ何か囁くと

「今日から二日間行動を共にさせていただきます大島優子です
よろしくお願いします」


そう言ってみんなの前で頭を下げる

それを見たみーちゃんが


「いいの?」

陽菜に向かって言うからこくんと頷いた


「よーしホテルに戻ったら佐江ちゃん達の部屋に集合して
飲みなおしまーす(ΘωΘ) 」

「え〜マジか(汗)」

「幹事なんだからお酒とおつまみよろしく」

「了解、9時に612号室集合
あ、各部屋のカップ持ってきてね」

「はーい」


その日は日付が変わるまで騒ぎ続けた

つながった空 4

「あっちゃんと麻里ちゃんは602
みーちゃんとたかみなは603
私と才加は612
にゃんにゃんは613ね」

「私だけ一人なの?」

「なかなか一人になれないから
ホテルくらい一人の方がいいかなーて思って」


そう言えば結婚してからは一人になる事なんてなかったかも
昔は一人が好きだったのに
人間て環境が代わると変われるんものなんだね(бвб) 


「行く時は誘ってよ(汗)」

「わかってるよ、放っては行かないから(笑)」

「6時にロビー集合ね」

「はーい」

まだ2時間あるから一眠りできるか・・・






スマホが鳴り電話に出ると

「もしかしてまだ寝てた?」

「え!?」

慌てて時計を見ると6時を過ぎていた

「ごめんすぐ用意して降りるから(汗)」


身なりを整えバッグを持ち部屋を飛び出る


「あっ・・・・・・もう、陽菜何してるのよ(怒)」


カードキーを部屋へ置いたまま出てきてしまった

下に降りてみんなに謝ってそのことを言うと

「母になっても変わんないね」

「ニャロらしくて嬉しい」

「ホテルに帰って来てから言えばいいよ」

「そうだね、今開けてもらっても一緒だしそうする」


「ここから歩いて10分程度なんだけどどうする」

「歩こうよ、お腹もすかさないといけないし」


ホテルの外に出るともう暗くて空を見上げると
微かに星が見える


あなたは今何を見ていますか?

同じように空を見上げていればいいのに・・・


「ウソつき・・・」

「え?何か言った」

「星があんまり見えないなーて」

「今日は曇ってるからね、
うぅ〜寒いもう一枚中に来て来ればよかった」

「食べたら熱くなるから帰りは丁度いいんじゃない?」

「あはは、確かにそうだね」


そう言えば優輝達今頃何してるかな

・・・・陽菜は悪い母親で妻だね
二人の事より彼女の事を先に思い出しちゃうんだから・・・


「着いたよ」

「お、良さそうなお店じゃん」

「良さそうじゃなくていいんだよ」

「ここのお店美味しいよ(бвб)」

「え、にゃんにゃんは来たことあるの?」

「ほら、卒業したての頃仕事でもよく来てたでしょ
その時美味しいお店巡りしてたから」

「まじかー」

「ここのお料理好きだから嬉しい(бвб)」

「にゃんにゃんがそう言うなら絶対だ」

「うん、美味しいと不味いははっきりしてたもんね」

「ここで話してんのもなんだから早く入ろう」



中へ入り宮澤と名乗ると個室へ案内される


ドアを開けると



「みんな遅いぞ何やってたんだよ
待ちくたびれてお腹ぺこぺこ」



そこには会いたくて、でも会えなくて
忘れようとしても忘れられなかったあの人がいた

つながった空 3

「結局繋がって無かったじゃん」

「え!?なにが?」

「なんでもない・・・」



あれから何度見上げただろう
はじめのうちは確かにつながっていた

でも、向こうとはほとんど真逆の生活
陽菜が寝る頃に優子は起きる
そうなるとLINEのやり取りも減っていくわけで

生存確認はSNSのいいねだけになったのはいつからだっけ?

会いに行こうにも陽菜が行くことによって
居場所がバレかねないから行くことが出来ず
一度も日本に帰ってこないまま優子は消息を絶った



「にゃんにゃんこっちこっち」

「佐江ちゃん、きょうは色々ありがとね」

「ぜ〜んぜん、でもさ優輝ちゃん大丈夫だった?」

「もうすぐ4歳になるしパパ好きっこだから」

「そうなの?この前はにゃろにべったりだったじゃん」

「人見知りだからね、男の子なのに心配」

「二泊だしたまには旦那に見てもらえばいいんだよ(ΘωΘ)」


みーちゃんとはよく会うし遊びにも来るから
優輝も懐いてるし旦那さんの事もよく知ってる


「あっちゃんとたかみなも来たみたいだし
説明するから何処かでお茶しよ」


海外旅行と言っても7人のスケジュールを調整するのは難しく
二泊三日の韓国旅行
昔はよく行っていたけど結婚してからは行けてないから
陽菜は嬉しいけどね


韓国に着くとまずホテルに荷物を預け
食べ歩きとショッピング
夜はレストランの個室を予約してるから
気兼ねなく騒げるよ、と佐江ちゃん

もちろん食べ物も楽しみだけど
みんなで昔の話に花を咲かせるのが一番の楽しみなの


お昼を兼ね屋台でいろんなものを買ってみんなでシェアする

「あっちゃん、相変わらずよく食べるよね」

「食欲は全然落ちないよ」

「陽菜は食べすぎるとすぐ太っちゃうから困る」

「こじぱ優輝くん産んだ時
体型戻るのかみんなで心配してたんだよ」

「ねぇ〜陽菜も心配だった
このままだったらまた色々言われちゃうなーて」

「でもすぐ戻ったよね」

「授乳してたら勝手に体重落ちていってた」

「にゃんにゃんが授乳とかー
なんか想像してまうやん(汗)」

「気持ち悪いって(怒)」

「そんなたかみなが一番女してるもんね
早く結婚すればいいのに」

「結婚にこだわってないからね
にゃんにゃんみたいに出来ちゃったらするかもやけど」


「なんかその言い方ムカつく
別に出来たから結婚したわけじゃないし
結婚しようと思ってたから作っただけだし(怒)」

「ごめんよ(汗)そんなつもりでいったんやないから('A`)」

「しらない(怒)」

「あ〜あ、怒らせちゃったよ
ブス会ももうおしまいだな(ΘωΘ) 」

「もうとっくに終わってるし(бвб)」

「だよねぇ、たかみな全然来ないから
二人だけのブス会だもんね」

「今は優輝がいるから三人だよ」

「アハハ確かにそうだ、新・新ノースリーブスだ」

「いいなー、才加DIVAもたまには集まろうよ」

「私達は集まれるけどダンサーの子達は無理だよ」

「そうだよね、梅ちゃんや有華とは二期生の集まりで会うか」


二期生・・・・そこにあの人はいない・・・よね?


「私だけじゃんユニット無いの(*`ω´)」

「それは仕方ないよ、だって麻里ちゃんの歌(бвб)」

「はいはい、分かってますよー」



そんな話をしてる間も一言も言葉を発せず
モグモグ口を動かし目だけで微笑んでるあっちゃんは
やっぱり陽菜にとっては永遠のアイドルだ


「じゃーいったんホテルに戻って
チェックインしに行きまーす」

「はーい」

佐江ちゃんを先頭にみんなで歩き出した


つながった空 2

「卒業おめでとう(-∀-`)」

「ありがとう(бвб)」


「ねえ、本当に行っちゃうの」

「この事は何度も話し合ったでしょ」

「そうだけど・・・」



「陽菜おめでとう!今日のステージ最高だったよ(ΘωΘ)」

「ニャロおめでとう(*`ω´)」


一期生が寄ってきたら優ちゃんは佐江ちゃん達の所へ行っちゃって
続きの話ができなかった


でも集合写真撮影の時は隣に来てくれた


「みんなSNSにアップするでしょ」


ファンを喜ばすためだけに隣に来たみたいじゃん・・・


カラオケで陽菜の大好きな回遊魚の・・・・がかかると
腕を取られ引っ張り出されて一緒に踊らされた


「こういうのも出来なくなるから」


だったら行かなければいいじゃん
行ってもたまに帰ってくればいいじゃん

口に出せない言葉を何度も飲み込む


若い子達やスタッフたちは帰っていき
残ってるのは昔っからのスタッフと
初期メンだけ

「私もそろそろ帰ろうかな」

「ヤダ最後までいてよ」

「でも私は二期生だし・・・」

「なんで、帰るまでは恋人でしょ」

「陽菜(汗)」

「もういいじゃん卒業したんだから
やっと卒業したのになんで友達に戻らないといけないの
そんなのおかしいよ(涙)」


「泣かないでよ・・・」

そう言って指で涙を拭ってくれる優ちゃん

「大好き、ずっとずっと大好きだから・・・
だから、陽菜には幸せになって欲しい」

「優ちゃんが幸せにしてよ」

「ごめん・・・・」

「っ・・・・わかってる・・・陽菜こそゴメン・・・」

「ううん、陽菜は悪くないから謝らないで」


「友だちになってもキスしてくれる?」

「アハッもちろん(-∀-`)」

「でも今は恋人としてして欲しい」

「みんないるよ」

「いい」


どれだけの時間キスしていたのかわからない
一分以上?ううん、もしかしたら5秒位?

何故か途中からしょっぱい味がしたっけ


部屋に帰り着きインスタをチェックしていたら


(これからは友達としてLOVEです)


次の日の朝、目がパンパンに腫れていて
一歩も外に出ることができなかったなぁー


それからも何度か会ったり
ファンミのゲストで登場したり
最後までこじゆうをやりきって優子は旅立っていった


「寂しくなったら空を見上げて
きっと私につながってるから」


そう言い残して
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