キングとクイーン 14

陽菜、陽菜・・・・陽菜

頭の中で陽菜の名前を繰り返し叫ぶ

その間も昔からの映像が頭を巡っていて・・・

お姉ちゃん助けて・・・・・お姉ちゃんお姉ちゃん!

はるなぁー!!


「う・・・うわぁぁぁぁ」

「キング(汗)」


やっと額から手が離れると
倒れ込みそうになるのを麻里子に支えられ踏みとどまる


「ハァハァハア・・・・・・はる・・・・な」

「ゆぅ・・・・・・・・(бвб)」


そのまま前のめりに倒れてきたからしっかり受け止めた


「うっ・・・」


傷に響いたけど落とさないようにしっかり抱きかかえていると
髪の色が元の綺麗な栗色に戻っていった


「・・・・・・・・・後は私が」

「私も行く」

「キングは自分の家へ帰ってください今は大丈夫でももしかしたら(汗)
柏木キングを・・・・」

「いやだ、陽菜は私の恋人だよ!
見て!私はなんともない!だから私が看病する」

「・・・・わかりました、しかし今キングは
怪我をされているので私が家まで運びます」


たしかに今の私では陽菜を抱えて歩くことが出来ないから
麻里子に任せた


「陽菜の部屋で寝かせないの」

「本人の承諾なしに人を入れることは出来ませんから」


麻里子の部屋のベッドへ寝かせリビングへ戻る


「柏木ありがとう、帰っていいから」

「キングをお送りしなくていいんですか?」

「クイーンが目を覚まして安全を確認したら
私が送る」

「わかりました、ではこれで失礼しまス」


最後のスが聞こえるかきこえないかのうちに
もう姿は見えなかった


「いつも早いよね(笑)」

「それが柏木の能力ですから」

「もうそんな改まらなくていいよ麻里子様(笑)」

「・・・・・・はぁ・・・・聞いちゃったんですね」

「家だし、学生の前じゃないんだからいいじゃん」


「まり・・・・こ・・・」


隣の部屋からかすかに聞こえてきた声に
反応し寝室へ


「気がついた?」

「私あれから・・・・・・・・ゆう・・こ?」

「大丈夫?陽菜」

「なぜゆ・・・・キングがここに」

「キングの頭を覗いたんだよ、覚えてない?」

「わたしが?・・・・・キングは大丈夫なんですか(汗)」

「なんかね、少し気分は悪いけど大丈夫みたいアハッ(-∀-`)」

「軽かったのかな・・・・」

「軽くないよ、変身してたから」

「うそ・・・・なのにどうして?」

「たぶん優希さんと同じじゃないかな」

「そんな事・・・・・優子が優希さんとおなじだったなんて
・・・・・っう・・・」


「え、どうしたの、泣くほどどこか痛いの(汗)」

「ありがとう・・・・(泣)」

「え?あのう・・・・え?」


急に泣くから焦って駆け寄ると抱きついてきてきた陽菜


わけが分からなかったけど抱きしめ返しておいた



少し落ちついてからリビングへ移動


「キングは紅茶のほうが良いですか」

「陽菜と同じでいいや」


「本当に大丈夫なんですか?」

「見て、なんともないよほら!イッ(汗)」


元気よく動かしてから気づく
脇腹にヒビ入ってたことを


「治りが遅くなりますから気をつけて下さい(怒)」

「ごめん・・・・・それより・・・あれは何?いつからああなったの」

「それは・・言いたくありません
でもあれがあったからたぶん陽菜がクイーンになったんだと思います
ホントだったら麻里子が・・・・」

「私はクイーンには向いてない
喧嘩が好きだから・・・」

「それでも一番強いのは麻里子だから」

「私の力はキングとクイーンを守るためにある」

「麻里子がずっとそばに居てくれるから
陽菜はクイーンでいられたの」

「だからいつも一緒に居るんだ・・・」


多分それだけじゃないと思うけど
陽菜はまったく気づいていないからそっとしておくことにした


「私はもう大丈夫だからキングをお送りして(бвб)」

「泊まる」

「・・・・何処に?この辺ホテル無いですよ」

「陽菜の部屋に決まってるじゃん(-∀-`)」

「・・・・・・無理」

「どうして?こいびと「恋人でも無理なの!」

「・・・・麻里子は入ったことあるんだよね」

「麻里子は良いの!」


敬語で話すのを忘れるほど焦ってるのはどうして?


「やっぱり私の事好きじゃないんじゃん
お姉ちゃんに言われたから仕方なくキングに選んで
仕方なく恋人だって言ってるだけなんじゃん(怒)」


私はどんどん好きになっていってるのに
なんなんだよ(怒)


「もういい、帰る(怒)」

「送ります」

「いい!1人で帰れるし自分のことは自分で守れるから
麻里子様はしっかりこじはるさんを守ってあげて下さい!(怒)」


カバンを持ち玄関へ向かう


思わせぶりな態度なんて取らずに
引っ付いちゃえばいいんだ
相思相愛なくせして何がキングと恋人だよ(怒)

だったら麻里子がキングになれば良いんだ
新学期が始まったらキングを辞退するからな


・・・くそー・・・何でこんなに苦しいんだよ・・・

あぁぁーもう、靴が散らばったままじゃんか


「くそー・・・(涙)」

「ねえ、どうして泣いてるの」

「泣いてなんか無いヤイ」

「部屋に入れないくらいでどうして好きじゃないってことになるのかな」

「麻里子は入れて私は入れないて事が物語ってるの!」

「・・・・・・・るなら・・・」

「はい?」

「呆れないって約束するなら入れてあげても良いけど・・・」

「どうして呆れるの?」

「それは・・・・・」

「わかった、絶対に呆れたりしないし嫌いになったりしない!」

「付いてきて」


玄関を出て隣のドアの前に立つ


「麻里子はいいから」

「でも」

「今日はありがとう」

「なにかあったら叫んで、すぐ飛んでいくから」

「むっ、何もしないよ(怒)」

「ふふ、ありがとうその時は頭を覗くから」

「ゲッ(汗)」


麻里子が中へ入ると自分の部屋の鍵を開け・・・・


「・・・・・・・・」

「どうしたの早く入ろうよ(-∀-`)」


ゆっくりドアを開け


「どうぞ」

「おじゃましまーす♪」


なかなか入ろうとしないから先に中へ入った

キングとクイーン 13

「夏休みは他のクラブの予定に合わせて
週1でみんな交代で学校来て見回りすることにする
曜日は決めないでおいたほうが良いかな
いつ居るかわからないほうが都合がいいし」

「わかりました」

「6人いるから二人ずつ組んで
曜日を相談して、でもクラブ生が少ない日がいいと思う
人が少ないほうが狙われやすいからね
予定がある人は変わってもらってくれていいから」

「なーんだ去年と一緒」

「玲奈(怒)」


そうだったんだ、良かった


「誰と誰を組ませますか」

「それはクイーンに任せる」

「承知しました(бвб)」


決まったのは

板野・柏木ペア
麻里子・玲奈ペア
そしてもちろん
キングとクイーンのペア

この順番で学校へ行く

私達は8月一週目か
それまでには怪我もだいぶ良くなっているだろうし
陽菜をちゃんと守れる
絶対に力は使わせないから・・・


「キング夏休みの予定は?」

「みーちゃんと遊ぶくらいかな
バイトしたいけどお姉ちゃんに禁止されてるし・・・
後は佐江と試合を応援に行く約束もしたから
今の所はそれくらい
クイーンは?」

「私はキングの予定に合わせます」

「・・・・・え!?」

「恋人ですから」

「・・・・・でもお姉ちゃんと一緒に居なかったよね」

「家には行きませんでしたが
外に出られる時は常にお側にいました」

「うそ・・・・でも私、お姉ちゃんと一緒に買物行ったり
映画見たり、遊びに行ったりしてたけど
陽菜の姿見なかったよ」

「それはキングが気づかなかっただけです」

「じゃー私のこと二年前から知ってたの?」

「はい」

「みんな?」

「いえ、麻里子と私だけです」


そうだったんだ・・・・全然気づかなかった(汗)

でも


「私に合わせなくていいよ夏休みくらい私から開放してあげる」

「・・・・・・私は邪魔ですか」

「邪魔じゃないけど陽菜には陽菜の時間を過ごしてほしいからさ」

「キング!」

「麻里子いいから!」

「でもクイーン・・・」


何か言いたげな麻里子を制止すると


「では当番の日に迎えに行きますので今日はこれで失礼します」

「え、送ってくれないの」

「これからは柏木と板野が交代で送り迎えをします」

「なんで?陽菜は?」

「・・・・・失礼します」


何も言わずに帰っていった


「今日はゆきりんお願いね」


ゆきりん?そんなあだ名があったんだ


「わかった」


二人だけの部室


「帰りましょうかキング」

「ねえ、どうしてあんなこと言ったんだろ
新学期が始まっても送ってくれないってこと?」

「キングが自分でそう望まれたからです」

「私が望んだ?いつ?そんな事一言も言ってない(汗)」

「恋人であることを放棄されたじゃないですか」

「放棄なんてしてない、私は陽菜の、クイーンの為に(;´-∀-)」

「夏休み中、2・3度学校でしか会わないのに
恋人同士って言えますか?」

「それは・・・・・」


確かにそうだ、本当の恋人なら毎日でも会いたいはず
居たこと無いからわかんないけど・・・


「どうしよう・・・・」

「追いかけますか?」

「うん、あ、でもまだ思いっきり走れないから
ゆっくりでお願い、ゆきりん(-∀-`)」


「キング(汗)」

「これからゆきりんて呼ぶね
で、板野のことはなんて呼んでるの」


歩きながら話をする


「ともちんです」

「陽菜や麻里子もそう呼んでるの?」

「キングの居ない時はそうですね・・・・」

「じゃーさ、二人のことはなんて呼んでるの(-∀-`)」

「それは・・・・言えません(汗)」

「どうして?ねえねえ教えてよ」

「本人の口から聞いて下さい」

「・・・・・キングの命令」

「そんなぁ〜(汗)」

「アハッ、早く」

「・・・こじはるさんと麻里子様です」

「へぇ〜なんか意外(笑)」


なーんてお気楽に話をしながら角を曲がると
すごい光景が広がっていた


「ゆきりんあれ・・・・あれ?」


そこにゆきりんの姿はなく前を見ると喧嘩に加わり戦っていた

私も行かなきゃ(汗)

加わろうとすると


「来ないで!」


そう叫び次々に頭を覗いていく陽菜


「ダメ!それ以上覗いたら陽菜が(汗)」


ゆきりんが加わったことで麻里子が陽菜を守りながら戦い
20人ほどの相手は逃げていった


「大丈夫ですか(汗)」

「不意をつかれた、柏木ありがとう」

「クイーンは?」

「まだ大丈夫、でも・・・・
連れて帰るからキングをお願い」

「私は帰らない、陽菜と一緒にいるから」

「ダメです・・・柏木・・早く連れて帰って・・・ハァハァ」

「嫌だ!今日は私が看病する」

「そんな事したらキングが(汗)」

「私はお姉ちゃんの妹だもん
私だってきっと大丈夫」

「もし、ダメだったら最低でも一ヶ月は尾を引きますよ」

「くっ・・・・それでも、陽菜は私の恋人だから
私が見届ける」

「っ・・・ゆう・・・こ」

「今日は覗きすぎだ、
早く帰らなければ大変なことに(汗)」


肩を貸しながら慌てる麻里子を突き飛ばし


「うぅぅぅ・・・・うあぁぁ・・・・」



うずくまり頭をかきむしり始める陽菜



「麻里子様始まってしまったんじゃ(汗)」


「私が押さえてる間にゆきりんはキングを連れて逃げて」


「私は逃げない!陽菜・・・陽菜(汗)」



みるみる髪の毛の色が・・・・・・
うそ・・・・そんな事って(汗)



「はぁはぁはぁ・・・・アハハハハ」


ガシッ!


「陽菜やめろ(汗)」


麻里子が必死に私の頭に伸びた手を外そうとしてるけど
それを制し受け入れた

キングとクイーン 12

夏休みに入ったらどうするんだろうか

学校に来ないんだからみんなと会わないよね?


とりあえず朝、まず陽菜の教室へ行った


「クイーンならまだ来てませんよ」


もしかして昨日の体調が治らないとかかな・・・・


「あ、キングおはようございます
この前はありがとうございました」


そう声をかけてきてくれたのはバスケ部の秋元さん


「お役に立てて何よりでした(-∀-`)」

「えーと・・・クイーンですか?」

「あ、はい」

「いつもぎりぎりですからまだ来ないと思いますよ」

「いつも・・・・ですか?」

「朝弱いみたいで麻里子が毎朝起こしに行ってますから(笑)」


そっか・・・だから朝は向かえにこないんだ
帰りは送ってくれるのにおかしいなって思ってたんだよね

それに昨日は麻里子の家に泊まったはずだから
もし家に一度帰ってるのなら遅くなるのもうなずける


「また昼休みにでも来てみます」


と言ったのに


「なにかご用ですかキング」


向こうからやってきた


「あ、うん・・・・教室でようか(;´-∀-)」


キングだけど私は同級生だから大丈夫なんだけど

他のメンバーが来ると上級生ということもあり
みんな怖がってしまうから教室から出た


「昨日はその・・・・・ごめんなさい」

「分かってくださればそれでいいので・・・・」


いつもよりよそよそしいし
まだ疲れが取れていないみたいに見える


「話は放課後でもよかったんだけど
陽菜の様子が気になって朝教室へ行ったんだ
迷惑だったかな(汗)」

「いえ・・・・ありがとうございます
話ってなんですか」

「夏休みはどうするの?
生徒は学校にいないから私達も集まったりしないのかな」

「それは・・・・・キング次第です」

「私次第?」

「キングが決めることなので」

「そっか、おねえ・・・・いいや、わかった考えておく」

「では失礼します」

「あ、うんまた放課後」


二人の後ろ姿はいつ見てもカッコイイ
私もああいうふうになりたいな

いや、ならなきゃいけないのか・・・・


放課後いつものように部室へ

キングの椅子に座りみんなの行動を見逃さないように見つめる

陽菜はじっと座ったまま雑誌を読んでいて
柏木は目に見えない速さでお茶を入れたり
あたりを片付けたり
板野は透明のマニキュアを付けたり取ったり
麻里子は窓の外をじっと眺めていた


「アハハハ」

「うわっ(汗)びっくりした、っう」


いきなり目の前に現れたからソファーからずり落ちそうになり
骨に響く(;´-∀-)


「何見てる?」

「へぇ?」

「玲奈やめなさい」

「だってー」

「後学校も残り一週間ですがどうするか決めましたか?」

「え、去年は・・・「友、黙って」

「・・・・・・・(怒)」

「ごめん、まだ考えがまとまらなくてさ(汗)」

「怪我もされてるので無理なさらずに・・・・」

「あ、うん・・・・」


その日も何も起こらず静かに終わっていく

帰り道


「ねえ、夏休みになってもクラブ生は学校に来るよね」

「そうですね」

「そういうのも狙われたりするよね」

「そうですね」

「あ、でも制服着て無いからどの学校かわかんないか」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「うーん・・・でもどの学校の子でも
守ってあげたいしうーん・・・」

「くすっ(бвб)」

「あぁー今笑ったな(-∀-`)」

「どんな判断をされても私達はキングに従うだけですから」

「だから困ってるんじゃん(汗)」

「では、また明日」

「あ、ねえ陽菜は何処に住んでるの?」

「麻里子のマンションです」

「え、一緒に住んでるの(汗)」

「まさか・・・・部屋が隣なだけです」

「そっか・・・・・」


なんか今ホッとした自分が居た


「二人共一人暮らしなんだ」

「何かと都合がいいので」

「そっか・・・・ねえ、今度遊びに行きたい」

「来ていただかなくても私が行きますが」

「陽菜の部屋へ行きたいの!」

「わかりました・・・・夏休みに入ってからでいいですか」

「いつでも良いよ、陽菜の都合のいい日で」

「検討します」


陽菜が私の家に泊まって以来二人っきりになることはなかった
必ず麻里子がそばに居るから


だから恋人らしいことなんて何も出来なくて
キスだってあの時だけだし名前で呼びあったのもあの時だけ

べ、別にキスしたいとかそんなんじゃないけど(;´-∀-)


結局恋人と名ばかりの生活が続いているというわけで・・・
まあ、毎日一緒にいるから恋人か・・・・
いや、でも麻里子や他のメンバーとも一緒だから
それを恋人と呼ぶなら全員と恋人になっちゃうじゃん(汗)


あ、だから行きたいって言ったわけじゃないよ
陽菜の事をもっと知りたかったから
ただそれだけだったんだんだけど・・・

キングとクイーン 11

私がいても何も出来ないとわかり帰ることに

部屋を出てエレベーターに乗ると脇腹が痛みだしてきた


「くそっ痛み止め切れてきた」


家に帰れば貰った薬があるけど
なるべく飲まないように言われてるから我慢しなきゃ

玄関ホールを通り抜けようとした時


「お送りいたします」

「柏木」


ずっと待ってたのか・・・・


「ありがとう」

「いえ、役目ですから」


お姉ちゃんはみんなを愛してたと言った
私は?
みんなに迷惑をかけ守ってもらってるだけだ

キングになるんだったらみんなを守り愛さなきゃいけない

そのためにはまずみんなを知ることから初めなきゃだよね



帰り道自転車を押しながら

「柏木って何処に住んでるの?」

「・・・・・江東区です」

「えぇーそんなところからわざわざ来てくれたの(汗)」

「近くに居たので」

「そっか助かったよありがとう(-∀-`)」

「いえ・・・・キングを守るのは当たり前ですから」

「柏木は下の名前何ていうの」

「・・・・・・由紀です」

「可愛い名前だね(-∀-`)

「あ、ありがとうございます」


お、照れてる顔、可愛いぞ


それから家に着くまでいろんな事を聞いた


「ありがとうまた明日ね」

「おやすみなさいキング」

「アハッおやすみ」


挨拶するやいなやあっという間に消えていった


こんなに話したの初めてだったけど凄く可愛い人だったなー
普段無口だから全然わからなかった

やっぱり話してみないとわからないことが沢山だ



その夜お姉ちゃんに電話をかけた


「クイーンのことなんで教えてくれなかったの」

(それは優子が自分で気づかないといけない事だからよ
前もって知っていたら決して心には届いてこないから)


そうかもしれない、知っていたらなるべく力を使わせないようにして
どんなに酷いか知らないまま卒業させてたのかもしれない
みんなとも上辺だけの仲間として付き合い
何もないままみんな卒業して行ってたんだ

「どうしたら愛せる
お姉ちゃんはどうやって何人も愛せてたの?」

(アハハハどうやってとか言ってる間は無理
ただヒントとして人をよーく観察しなさい
答えは自然と出てくるから
あ、あの人が呼んでるからもう切るわね
頑張って優子)

そう言い残し電話は切れた


観察か・・・・・確かに全然見てなかったかも


明日から観察日記を書き始めようかな

だって書いておかないと忘れちゃうから




「うっ・・・・・早くねよ(汗)」


痛む脇腹を庇いながらベッドに入った

キングとクイーン 10

食事を終え汚れた所だけ濡れタオルで拭きベッドに横になる


陽菜さん・・・・後遺症って事かな

そう言えば私を送らない日って力を使った時だ
それも沢山・・・

そうだよ、何で気が付かなかったんだろう

いつも私のせいじゃん私を守るために使ってくれてるのに
私はなんにも出来ない

恋人なのに
陽菜さんの事何も知らないし
駆けつけようにも住んでるところさえ知らない

そんなので恋人って言える?
私はキングなんだから私が守らなきゃいけないのに


「もしもし・・・・クイーンの家教えて」

(今は麻里子さんの家にいると思います)

「じゃー麻里子の家教えて」


もう敬語では話さない、だってキングなんだから


(麻里子に聞いてから・・)

「キングの言うことが聞けないのか(怒)」

(わかりました・・・・)


住所を聞き終えると


(危ないのでお供しますから家に居て下さい)

「急いでるから無理」

(キング(汗)・・・・)


電話を切り着替えて部屋を出た

スマホで地図を調べ自転車をこぐ
夕飯を食べてから痛み止めを飲んだ
だから痛みは今のところ無いにひとしい


「ふぅ・・・・ここか」

「キング(汗)」

「柏木・・・・どうしてここに」

「板野から連絡を受け急いで来て待ってました」

「自転車だから大丈夫なのに」

「もしもの時のために人数は多いほうがいいので」

「・・・・そんなに大変なの?」

「・・・・・・・行きましょう」


入り口のインターホンを押し


「柏木ですキングと一緒です」


答えは無くドアが開いた

柏木さんの後をついていき部屋の前で止まる


「どうぞ」


部屋のインターホンを押すと鍵の音がして
ドアがゆっくり開く


「・・・・・・覚悟が出来ていないならこのまま帰って下さい」

「どんな覚悟かもわからないし
理由を聞かないと帰れない」


中からドアを叩く音と誰かが叫ぶ声が聞こえてくる


「もしかして・・・あれは」

「そうです陽菜です」

「どういう事?ちゃんと説明して」

「どうぞ入って下さい・・・・・柏木はもういいから」

「でも・・・・」

「だんだん弱ってきてるからもうすぐ終わる」

「わかりました失礼します」


そう言うとあっという間に・・・・・・消えた


「弱ってきてるってどういう事?」


廊下を歩いているとおそらくトイレだろう
そこから音と叫び声がする

開けようとすると


「ダメです!」


手を叩かれ遮られた


「何で閉じ込めてるの?だから暴れてるんでしょ」

「陽菜は力を使いすぎると暴走してしまうんです
それを唯一止めれたのが優希さんだけでした」

「お姉ちゃんが?」

「苦しそうにしだし髪はピンクに顔も誰だかわからないほどになってしまい
誰彼関係なしに頭を覗くようになりそれも不の思考ばかりを取り込んでしまい
最後には壊れてしまうんです」

「だから1人で閉じ込めてるの?」

「そうです、そうすれば暴れはしますけど壊れてしまわないから・・・」

「壊れたらどうなるの?」

「廃人みたいに食事も出来なくなり何も出来ない・・・・・
それが一週間続くんです」

「お姉ちゃんはどうやって止めてたの」

「それは・・・・・」

「私にも出来るかもしれないでしょ教えて」

「自分の頭の中をわざと覗かせ
おそらく愛を見せていたんだと思います」

「でもお姉ちゃんは先代クイーンを」

「一番は先代ですが優希さんは私達みんなの事を
本当に愛してくれていました
その中でも特に陽菜を可愛がっていたから・・・
今のキングにそんな事ができますか?
不の思いを無くし愛だけを与えられますか?」

「私だって陽菜のこと」

「絶対に無理です!私でさえ無理だったんだから!」

「まり・・・・こ?」

「っ・・・・今の発言は忘れて下さい・・・
声がやんだのでもう大丈夫ですが
今日は1時間以上かかってるので相当弱ってると思います
そんな姿キングには見せたくないと思うのでもうお帰り下さい」

「なんで?私は陽菜の恋人だよ」

「まだ、ちゃんとした恋人ではありませんよね!」

「それはどういう意味?」

「陽菜の事を軽視しているあなたに
恋人を名乗る資格はありませんお帰り下さい」

「そんな事・・・・・」

「無いっていい切れますか?
今日だってあなたのせいで陽菜は・・・・・
もう少し陽菜のことを考えてあげて下さい
分かってあげて下さい
それがキングの役目です」


涙ながらに怒る麻里子に今の私ではかなわないと思った
今陽菜を一番愛してるのはきっと麻里子だ

その麻里子が止められないのなら今の私には止められない

今の私には・・・
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