お前百までわしゃ九十九まで 20

白寿のお祝いをしてくれる息子も68歳で孫は40代後半
ひ孫のあっちゃんは大学四年生になっていた

今日は秋元家の陽菜のお祝いだけど
もちろん宮澤家も集まっている


「凄い人数だね」

「二家族分だからね(-∀-`) 」

「母さん達に報告があるんだ」

「なーに?」

「みなみとあっちゃんが婚約した」

「そう、おめでとう(бвб) 」

「なんだよ、嬉しくないのか?」

「嬉しいよ、でも薄々分かってたから
ただ、早いなーて思っただけ」

「にゃんにゃんと優ちゃんに結婚式を見せてあげたいからね
ただ、大学卒業してからになるからもっともっと長生きしてね(∵)」

「ありがとう、がんばって長生きするよね優ちゃん・・・ん?」

「グスン・・・(。-∀-)」

「あぁー優ちゃんが泣いてる('A`)」

「だっでうれじいもん(。-∀-)」

「やっと親戚になれるね」

「うん・・・」


私達がずっと望んできた事が現実になる
長生きしてよかった


「あっちゃん、みなみ、ありがとう(бвб)」

「私達がここにいるのはにゃんにゃんと優ちゃんのおかげだよ
私たちの方こそありがとう(∵)」

「でさ、私たちが結婚したら一緒に住もう」

「え?陽菜達とって事?」

「そうだよ」

「でも新婚さんなのにこんなおばあちゃん達と住むだなんて嫌でしょ」

「私達二人が大好きだから嫌じゃないよねみなみ」

「おう!仕方ないから一緒に住んでやるよ優子」

「呼捨てを許した覚えはねえぞ(怒)」

「その方が俺らも安心だしな」

「ありがとう・・・・そうさせてもらおうかな」

「私達はひと部屋でいいからな(-∀-`) 」

「当たり前、そんな大きなところ借りれないって(汗)」

「優ちゃん(бвб) 」

「うん(-∀-`) 」


持って来たバックを手元に置き


「ひ孫たちはそこに正座(笑)」

「えーなんでだよ」

「うだうだ言う子には何もあげませーん(笑)」

「小遣いでもくれるの?」

「はい、これはあっちゃん、これはみなみ・・・・・」


みんなに手渡しで通帳を渡していく


中を見たひ孫たちの驚く顔を
陽菜が動画で撮影中


「おばあちゃん見て見て(汗)」

「・・・・まあこんなに・・・お母さんいいんですかこんなに頂いて(汗)」

「毎年貯めてたから税金は取られないと思うの
これからの結婚資金や大学資金に使ってくれたら嬉しい
その頃にはもう陽菜達はこの世にいないと思うから」

「そんな事・・・・」

「だから遺産はそんなに残してないの
お葬式代と今住んでるマンションくらいかな
喧嘩しないように二家族で分けてね(笑)」

「そんなのいらないいつまでも元気でいてくれよ」

「そうしたいけど人には寿命があるから(бвб) 」


まさかこんなに長生きすると思っていなかったから
貯金は減る一方・・・
と言っても後5、6年は暮らしていけるかな(笑)


「そろそろお開きにしようか」

「そうだな、次は宮澤家の白寿のお祝いか」

「また全員で集まろうな」

「おう」

「私達が送って行くから」

「お願い」


あっちゃん家族と言うか杏奈の家族の車に乗せてもらい
マンションまで送って貰った


「部屋まで送って行く」

「大丈夫、腰は少し曲がってるけどまだ一人で歩けるから」


どちらかと言うと優ちゃんの方がこの頃は危なっかしい
早く歩く分物につまずいてはこけて痣を作ってるから

でも栄養を考えた食事をとっているからか骨折はしない


「気をつけてねバイバイ」


車が走り去るのを見送りマンションへ入った

お前百までわしゃ九十九まで 19

独身の頃に戻って
二人だけでいろんなことを決め
二人だけで出かける

もうそろそろお迎えが来るかなって言いながら長生きな私達

90歳を過ぎるとさすがに二人だけで旅行に行く事は無くなり

朝の散歩と公園でのひなたぼっこが習慣になりつつある

株はもうやってない
沢山残しすぎたら後が困るでしょ(笑)

溜まったお金はひ孫たちの通帳に毎年ためていってあげている
卒業のお祝いや就職祝い、結婚式のお祝いの代わりかな
だってその頃には陽菜達はいないから
それに
死んだときにあげると遺産相続とか言うので税金を沢山取られるから
生前贈与というやつ
みんなは知らないけどね(笑)

旅行もしなくなると二人の年金だけで十分暮らしていけるんだけど
おばあちゃんになってもおしゃれでいたいし綺麗でいたい

化粧品代や洋服代、月一のエステ代など
少しの贅沢はしたいからまだ数年生きていく分は置いてある


「今日は何する?」

「そうだな・・・・目黒川まで歩きに行こうか」

「えぇ〜陽菜の足だと結構かかっちゃうよ」

「時間はたっぷりあるんだから休み休み行こう」

「わかった・・・・でも帰りはタクシーね(бвб) 」

「アハッ(-∀-`) にゃんにゃんにはかなわないや」


目黒川の周りには桜が沢山咲いていて
優ちゃんがなぜ行きたいって言ったのかやっとわかった


「綺麗だね(бвб) 」

「にゃんにゃんの方が綺麗だよ(-∀-`) 」

「そんなわけないでしょこんなシワシワなおばあちゃんなのに」

「私の目にはシワなんてどこにも見えない
昔と変わらない陽菜しか見えてないから」

「それ眼医者さんに行った方がいいよ(笑)」

「じゃー陽菜にはしわしわの私が見えるの?」

「うん、昔よりもさらにちっちゃくなった
しわしわの優ちゃんが見える(бвб) 」

「酷いよ(。-∀-)」

「ふふふ、ちゃんと歳を重ねてきた証なんだから
どんな優ちゃんも好きだよ」

「あぁぁぁ・・・にゃんにゃんすきー(-∀-`)
世界一ううん、宇宙一好きだー! 」


そう言って抱き付いてくる優ちゃん


「ちょっと恥ずかしいからやめて(汗)」


「赤の他人に見られても二度と会わないんだからいいじゃん」

「そうだけどさ・・・・」


それでもおばあさんが抱き合ってたら変な目で見られちゃう(汗)


「あれにゃんにゃん・・・?優ちゃんも公衆の面前で何してるの」

「ゲッひ孫(;´-∀-)」

「その言い方やめてって言ってる(怒)」

「ごめんごめんあっちゃんもこんな所で何してるの」

「みなみ待ってるんだけどなかなか来ないんだよ」

「あそこでお団子でも食べながら一緒に待とう(бвб)」

「うん♪」


初ひ孫のあっちゃんとみなみは今年から高校生

優ちゃんが許嫁宣言したのを二人は知らないのに
凄く仲がいいから本当に結婚しちゃうんじゃないかって期待してる

赤ちゃんの頃から二人一緒に面倒見ていて
兄妹のように仲良かったから
それで終わったらどうしようって優ちゃんと心配してたんだけど
どうやらその心配はなかったみたい(бвб)



「ママが全然連絡してこないって心配してたよ」

「連絡無いのは元気な証拠って言っておいて(бвб) 」

「ほんと二人共元気だよね全然94歳に見えないよ」

「年齢は言わないの!それにまだ93歳だし」

「そうだそうだ陽菜はもうすぐだけど
私なんてまだまだだぞ(-∀-`) 」

「そっかもうすぐにゃんにゃんの誕生日じゃん
ママに言って誕生日のお祝いするね」

「ありがとう、でも誕生日は二人でお祝いするって決めてるから」

「えぇー」

「あっちゃんはケーキが食べたいだけでしょ(-∀-`) 」

「バレた(笑)」

「今度みなみと遊びにおいで
高校入学のお祝いしてあげるから」

「わーい、だから二人が好き(∵)」

「ほら、待ち人が必死に探してるよ」

「ホントだ、みなみー」

「敦子・・・・わあばっちゃん達なんで居るん」

「お前は何度言えばわかるんだ(怒)」

「だって友達にからかわれるんだもん(汗)」

「ちびだからからかわれるんだよ(-∀-`) 」

「ばっちゃんに似たんだから仕方ねえだろ(怒)」

「誰も似てくれって言ってない(怒)」


他人からは喧嘩してるように見えるかもしれないけど
これが二人のスキンシップ(笑)


「さーてと若い子のデートの邪魔しちゃ罰が当たるから
年寄りは退散しよう」

「で、デートじゃ無いし(汗)」

「そうなの?」

「だってまだ付き合ってないもん・・・」


まだ・・・・か(笑)
奥手で照れやのみなみはまだ告白してないみたい


「優ちゃん優ちゃん(бвб) 」

「なーに愛しの奥様(-∀-`) 」

「あっちゃん毎日違う子に告白されてるんだって」

「なんだと・・・・「付き合うんか(汗)」


優ちゃんの言葉にかぶせてあっちゃんに迫ってきたみなみ(笑)


「付き合って欲しいのかよ(∵)」

「敦子は俺の女だ!」

「よく言ったぞみなみ!それでガバッと抱き付いて
ブチュッ!!とキスするんだ(-∀-`)
いいか見本を見せてやるからよーく見とけ・・・・・
酷いよ顔を上に向けてたら出来ないじゃんかよ(怒)」

「こんな所ではしませーん(бвб) 」

「デヘヘヘこんな所ではしないけど
家に帰ったらしてくれるからとっとと帰りまーす
じゃーなあっちゃんみなみをよろしく(-∀-`) 」

「お・ば・あ・ちゃん!バイバイ(∵)」

「グスッ・・・・酷い(。-∀-)」

「ふふ、あっちゃん来るときは連絡してね(бвб) 」

「うん、にゃんにゃん変態に気をつけてね」

「はーい(бвб) 」


そんな変態が好きなくせに
と言いながら手を繋いでくるからしっかり握り返してあげた

お前百までわしゃ九十九まで 特別編

「紅茶入ったよ」

「はーい・・・いつもありがと(бвб)」

「え、急にどうしたの(;´-∀-)」

「なんか急にそう思ったから言ってみた」

「にゃんにゃんからお礼言われるなんて怖いからやめてよね」

「ひどーい陽菜だってお礼くらい言うし」


なーんて言う会話をしているいつもと変わらない朝

子供の頃陽菜のおばあちゃんがいつも早起きで
なんでそんなに早く起きるの、学校へ行かないのにって聞いた時
陽菜ちゃんにもいつかわかる時が来るわよって笑ってた思い出


歳を重ねた陽菜たちの朝はすごく早い
まあ、寝るのも早いんだけどね(笑)


それに今日は50年目の記念日だからなんとなくお礼を言ってみた


ソファーに腰掛けた優ちゃんの横顔と寝癖を確認したら
陽菜の一日が始まるって知ってた?

好きだと気づいたあの日の思いは今も
形は変わっても姿が変わっても
変わらずここにある


この年になっても
毎日笑っていられる今日があることに
心からありがとうと言いたい


「今日は雨だって言ってたよどうする?」

「相合い傘もいいじゃん(-∀-`)」

「えー濡れちゃうよ(бвб)」

「あぅ・・・そうだね・・散歩は中止か」


そんな残念そうにしなくったっていいのい(笑)


「散歩じゃないけど駅前の百貨店にお買い物いこう」

「そうだね、今日は陽菜と私の金婚式だもん
ちょっと良いワインとか買っちゃう?」

「ワインは・・・いらないかな」

「え、にゃんにゃん好きじゃん」

「それより今日はいいお肉を買おう」

「そっか、柔らかいお肉ゲットするぞ(-∀-`)」


ワインはねもう買ってあるんだ
結婚した年代のワイン

杏奈に買ってきてもらってあるからそれで乾杯しようね


優しい優ちゃん
たまに意地悪を言いたくなって
シワが増えたねって言った時は
これは笑いジワなの!て必死に言い返してくる

そんな優ちゃんが可愛くて
そんなところに笑いじわなんて出来ないよって言うと
ずるいよ、私はにゃんにゃんにそんな事言えないのにーて
拗ねる仕草はいくつになってもかわいい

喧嘩だってしたことあるけど
一番自由で陽菜らしくいれる場所がここ・・・
優ちゃんの隣だから

毎日ありがとう、て思ってるけど言わなかっただけ
でも今日は記念日で言ってあげたんだから
ありがたいと思ってよね(笑)

一日でも長く一日でも元気で
もっともっと笑って暮らしていこう


もしも優ちゃんが歩けなくなっても
陽菜が優ちゃんの足になるから
だから長生きしようね


人生を共に生きると約束した最愛の人


出会ってくれてありがとう




「10年目のLove Letter」より

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

このお話は初め書いてなかったんですが
宏美さんのコンサートに行ったときに歌っていて
このお話とすごくリンクして書きたいと思いました
こじゆう変換したら泣きそうになりましたから(笑)

何度も聞いてるのに今かよ!て思いましたけどね(笑)


皆さんも機会があれば聞いてみてください
岡本真夜さん作詞作曲でアルバムの歌なんですけど
すごく可愛い曲と歌詞を宏美さんの声でぜひ!


令和がいい時代になりますように



ぷーな

お前百までわしゃ九十九まで 18

「とうとう二人になっちゃったね」

「うん・・・」


愛し合って結婚したわけじゃなかった
条件付きで将来の為にした結婚だったけど

どんどん好きになっていって
無くてはならない人になっていたんだなーて
亡くなる時に気づかされた


「どうする?」

「どうしようか・・・」


二人だとこの家は大きすぎるし
年寄りには階段の上り下りがキツイし危ない


「二部屋あれば十分だよね」

「そうだね、引っ越す?」

「ここには沢山の思い出が詰まってるけど仕方ないか」

「思い出は陽菜達の中にあるよ」

「アハッいい事言うじゃん(-∀-`) 」



家を売ったお金で中古のマンションを買い
暮らしやすいようにリフォームし

残りは子供達二人に分けてあげた

生活は大丈夫なのかって?

もちろん年金だけでやって行けるわけがなく
他にちゃんとした収入があるわけで・・・

実は私達名義の貯金は子供達に言えないくらいある

機械に強く勘のいい陽菜の才能のおかげだよって
優ちゃんは褒めてくれる


「あぁぁ・・・今日は50円も下がってる(怒)」

「そろそろ売り時じゃないの?」

「今はダメ、絶対にもう一度上がるときが来るから
それまで置いておく」


という会話が毎日飛び交う私達

株をしてる事を才加や佐江は知らないでいた

だって二人の寝室でしていたから(笑)


「もうすぐ金婚式だよね」


もちろん正式にじゃないけど
あの日誓い合ったから
四人の結婚式は三組の結婚記念日でもある


「ねえ船で世界一周しない?」

「あそこのポスターでしょ(笑)」

「そう、優ちゃんも見てたの?」

「行ったところもあるけど
船でゆっくり出来るし、記念日だし
何よりこれ以上年を取ると海外旅行は辛くなるから
今が丁度いいかなって思ってみてたんだ(-∀-`) 」

「思う事は同じだね(бвб) 」

「出発は半年後だし才加の49日も終わってるから
文句も言われないだろうし・・・思い切って決めよう」

「うん、部屋はどのランクにする?」

「スイートにしちゃう?」

「うーん・・・・スイートは広すぎる
どうせいつも引っ付いてるんだし普通でいい
でもバルコニーは欲しいから真ん中あたりにしよう」

「その差額でオプション沢山(-∀-`) 」

「うん、それがいい(бвб) 」


早期割引で全額振り込んだら20%OFFでさらにお金が浮いた
流石にそれは使わないけどね(笑)

それでも結構減っちゃったから行くまでにしっかり稼がなきゃ(笑)




「あ、そうそう私と陽菜来週から4ヶ月ほどいないから
たまには空気入れ替えに来といてね」

「4ヶ月って・・・どこか行くのか?」

「飛鳥に乗って世界一周してくるんだよ(-∀-`)」

「はぁ?俺聞いてないぞお前聞いてたのか」

「私だって聞いてないわよ(汗)」

「そりゃそうだ誰にも言ってなかったんだから
知ってたらびっくりだよねにゃんにゃん(-∀-`)」

「うん(бвб)」


優輝くんが電話してすぐ飛んできた陸


「何考えてるんだよおふくろ」

「え、私達が私達のお金で旅行したら駄目なの?」

「いいけど限度というものがあるだろ」

「限度って何?10万はいいけど100万は駄目なの?」

「お義母さんこの人はそんなに使って
これからの生活に支障をきたさないのかって言いたいんですよ」

「それだったら大丈夫
息子に面倒見てもらおうなんて思ってないから、ねぇ優ちゃん」

「ああ、金銭的な面では絶対に迷惑はかけないから」

「でも船の上でもしものことがあったら
俺達すぐ行けないんだぞ」

「心配してくれてありがとう
でもちゃんとお医者さんも居るし
陽菜達まだまだ元気だからもしもは無いよ」

「あなた良いじゃありませんか
お義母さま達の人生なんですから
好きにさせてあげましょうよ」

「でもだな・・・(汗)」

「いい嫁を貰ったよ(-∀-`)」

「わかった・・・・でも、少しでも体調崩したりしたら連絡してこいよ」

「ありがとう(бвб)」



なんとか事なきを得て出発


「まさかあんなに反対されると思わなかったね」

「それだけ愛されてるってことだよ(-∀-`)」

「優ちゃんたまにはいいこと言う(笑)」

「たまにはってなんだよ(怒)」

「ふふ、二人共愛されててよかったね」

「だーね(-∀-`)」



そしてクルーズは最高の思い出になった

お前百までわしゃ九十九まで 17

死の間際

佐江ちゃんから優子を返すねと言われた時
涙で声が出なくて頷くことしか出来なかった

優ちゃんは喪主を立派に務め
お葬式が終わるまで一切涙を見せなかったのに

久しぶりに二人でベッドに入った時

無言で陽菜に抱きついてきて声を殺して泣くから


思いっきり泣いていいんだよって言うと
息ができなくなるくらい泣く様子に
陽菜まで釣られて泣いてしまい

朝起きた時陽菜たちの顔を見て才加が一瞬驚いた顔をしたから
相当目が腫れてたんだと思う


佐江ちゃんがいなくなってからの優ちゃんは
赤ちゃん返りじゃないけどすごく甘えてくるようになった
いつも陽菜に引っ付いていて
何も言わず傍から離れると
慌てて探し回る姿を見て苦笑いする才加

でもそんな優ちゃんが愛おしいから何も言わず
されるがままで居た

優ちゃんにひ孫が生まれたのはそれから4か月後の春
元気な男の子でそれはそれは可愛かった

陽菜のひ孫が生まれたのは三か月後の夏
可愛い女の子だった


「やっと・・・やっとだねにゃんにゃん(。-∀-)」

「そうだね、これで結婚してくれたら
陽菜と優ちゃんは本当に親戚(бвб) 」

「絶対にさせる!
いいかこの二人は今日から許嫁だからな」

「強制はダメだよ(笑)」

「いいの!私の権限により許嫁に決定!!」


この二人が大きくなって結婚する頃には
多分私達は居ない

だからかな、子供達はだれも文句を言わずに笑ってる

それでも、待ち望んでいた男の子と女の子に
期待をせずにはいられなかった



「ねえにゃんにゃんこいつ先に生まれてしかも男なのに小さくない?」


二歳になったひ孫二人は私達によくなついていたから
自分達が遊びに行きたい時はすぐ預けに来る孫達
まあ、可愛いから良いんだけどね


「血筋かな(笑)うちは才加も陽菜も大きい方だから
みんな大きいもん、ねえ才加」

「う、うん・・・・」

「どうしたの?」

「なんか調子悪いんだよな」

「もう80歳になるのに鍛えすぎなんじゃないの(笑)」

「そうかもな、少し控えたほうがいいのかな・・・」


退職してからトレーニングに目覚めた才加は
毎日ジムに通いだし、陽菜達もそれに巻き込まれていた

そのおかげでこんなに元気なんだけどね(笑)

もちろん陽菜と優ちゃんは毎日は行かないけど
週に三日は通ってヨガや有酸素運動をしてた

でもひ孫が生まれてから
共働きの息子夫婦や孫たちに替わり
保育園の送り迎えや病気になった時の
面倒を見ないといけなくなり
行けない週もあったりして
会費が勿体ないからやめようかって話をしてる所だったから


「家にもトレーニング器具あるんだし
そろそろいいんじゃない
朝とかにランニングすればいいし
浮いたお金はこの子達に使ってあげようよ(бвб) 」

「そうだな・・・体はどこででも鍛えれるしな」

「そうだよ、その方がもっと沢山一緒にいれるよ」

「そ、そうだな(汗)」

「何でてれるぅ(笑)」

「そうだそうだ!勘違いすんなよ〜(´-∀-)」

「してねえわ(汗)」

「アハハハハ爺さんが一番うぶだよな」

「優ちゃんの方がオッサンだもんね(бвб) 」

「そんな優子さんが好きなくせに(-∀-`) 」

「好きだよ(бвб) 」

「・・・・・(-∀-`) 」

「優子も照れてるじゃないか(笑)」

「いくつになってもこの女は・・・くぅ・・・」


本当のことを言ってるだけなのに変な優ちゃん(бвб) 


「お茶入れたけど飲む?」

「ありが・・と・う」


はいって渡すと

「あっ・・」


持ちそこなったのか床へ全部こぼれてしまった

「ごめん(汗)」

「ううん陽菜こそちゃんと持ってないのに離してごめんね
かからなかった?」

「う、うん・・・」


タオルを持っていき床を拭いていたら


「ごめん今日は・・・もう・・寝る」

「大丈夫?病院行く」

「寝れば・・・大丈・夫だろ」


そう言ってリビングから出て行った才加


「大丈夫かな、才加があんな事するの珍しいし心配(;´-∀-)」

「寝る前に様子見に行ってみる」

「その方がいいかも」


陽菜より仲がいいんじゃないかってくらい才加とは気が合うのに
決して陽菜と才加の寝室へは入らない優ちゃん

陽菜だって同じで佐江ちゃんとの寝室へは入らなかった
佐江ちゃんが最後息を引き取る日までは・・

それは暗黙の了解というか・・・
そこでの二人を想像したくないからかな


ガタン・・・


「今物音しなかった?」

「上からしたよね才加の部屋かな」

「様子見てくる(汗)」


階段から落ちないように急いで上がりドアを開けると
頭を押さえ苦しそうにもがいてる才加


「才加(汗)」

「頭が・・・」

「優ちゃん・・・優ちゃん来て(汗)」

「どうしたの・・て才加大丈夫(汗)」

「頭が痛いって言うのどうしよう(汗)」

「救急車・・・私が救急車を呼ぶから
陽菜は杏奈と李奈に電話してあの子達を迎えに来て貰って」

「わかった」


救急車がなかなか来なくて
その間も苦しそうに唸り顔がドンドン青白くなっていくのを見ていて


「才加死なないでよ」

「はる・・な・・・くっ・・・
いままで・・ありがとう」

「やめてよまだ死なないからぁ(涙)」

「うぅぅ・・・痛い・・・あぁっ・・」


救急車よりも孫たちの方が早く着き


「私達が病院へ連れて行こうか?」

「その間に死んじゃったらダメだから救急車をまとう
救急車の中の方が安心だし」

「そうだよね」


息子達と同時に救急車も来て
久しぶりに家が人であふれかえっていた

救急車には陽菜と優ちゃんが乗り込み
みんなは病院が決まり次第付いてくる準備は出来ているのに


「おそらく脳梗塞ですね」

「何とかしてください」


中々受け入れの病院が決まらなくて
どんどん弱って行く才加


「才加、ヤダ頑張ってよ」

「まだやりたい事あるんだろ死ぬなよ(。-∀-)」

「優子・・・陽菜をたのむ」

「ヤダヤダ、三人で暮らしていくの!」

「陽菜・・幸せだったよ・・・ありがと・・・」

「さやかぁ(泣)」


『K病院へ行きます』


酸素マスクをつけられ心臓マッサージをしながら
病院へ


でも才加が目を開ける事は二度と無かった






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