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約束 9

「私最低だ・・・」

神社の境内の始めてキスした場所


傷ついた大島さんを・・・優ちゃんをまた傷つけてしまった

知られたらこうなる事は予測できたのに・・・

女の子を好きで、陽菜の事が好きだったって
本人の口から言わせてしまった

優ちゃんはヘルパーの小嶋を信用して話してくれたのに・・・

「ごめんね優ちゃん・・・」

今ごろ一人で何を思い何をしてるんだろう・・・
私の事がにゃんにゃんと分かった時手が少し震えてたもん・・・


だめだ、このまま逃げちゃダメ戻らなくちゃ

持っていた鍵で玄関を開けると
微かに漏れてくるヴァイオリンの音色
そっと部屋に入り片隅で聴いていると

「何で戻って来たの?まだ、笑い足りない?」

「違う!ただ優ちゃんのそばに居たいから」

後ろから抱きしめると

「それって同情?」

「違うよ」




「・・・もう少しで夢がかなうはずだった
夢が叶ったら打ち明けようと思ってた
例え嫌われても・・・・
それで諦めるつもりだったのに・・・

でも、もうムリ!にゃんにゃんがそばに居て
私の気持ちを知ってもそばに居たいという今
我慢なんて出来ない!」


包帯を取りこっちへ向くと

「陽菜、ずっと好きだった」

右手で頬を確かめ陽菜を引き寄せると唇を重ねてきた

それは優しくてとても甘いキスだった

約束 8

陽菜なんて事を言っちゃったんだろう・・・
優ちゃんとキスするなんて・・・


でもあのままほって帰る事なんて出来なかった

好きだったと言われてやっと気づいた

あの頃の切なくしゃがれた声も
ふと見せる悲しそうな瞳も
泣きそうな笑顔も

全部陽菜に向けられていたんだね



その日は帰らずいつも通りお世話をした


次の日

「包帯ずれてますよ」

「今日起きるの遅くて慌ててやったから」

「巻なおしてあげるのでそこに座って下さい」

そう言えばいつもどうやって一人で綺麗に巻いてるんだろう・・・

寝る時は外してるんだよね?
お風呂に入るときは?

いつも陽菜が帰ってからだったからわかんない

包帯を外し終えると傷が見えた

この傷どうやって出来たんだろう・・・

「何度見ても気持ち悪いでしょ」

考えてたら手が止まってみいっちゃってた(汗)

「そんな事ないです」

「ドイツに留学して三年目くらいまで順調にいってたんだ
でも、女の子が好きだってバレちゃって
それをよく思わない人たちもいてさ結構いじめられてたんだ」

「・・・・・」

「何度もくじけそうになったけど約束があったから頑張れた」

約束?

「五年目の時CDの録音に入れてもらえる事になって
やっと約束を果たせると思ってたのに
収録する日の朝、良く思ってなかった子に・・・
咄嗟によけたけど右目がやられちゃって
その拍子に石垣の下に落ちて・・・
このありさまさアハッ」

「大島さん・・・」

いてもたってもいられなくてまた抱きしめてしまった

「小嶋さん(汗)」

「あ、すいません」

離れようとしたら

「少しの間このままでいて」

・・・・・

「目の手術日にち決まりましたか?」

「まだちゃんと決まってない
でもこのまま見えなくてもいいかなって・・・」

「何言ってるんですか?ダメですよ!きっと見えるようになりますから」

でも優ちゃんの目が見えるようになって
私が陽菜だってわかったらどう思うだろう・・

その前に消えなきゃ(汗)

それにこんなのダメでしょ?
私はノーマルだから女の子は無理・・・ムリ?

本当にムリ?

だって優ちゃんに抱き付くとあんなに心地いいのに?・・・
もっと抱きしめていたいって思うのに?
そんな事を考えていたらつい出てしまっていた

「優ちゃん・・・」

「!?」

驚いたように私から離れる大島さん・・・

「私の事優ちゃんて呼ぶのはにゃんにゃんだけ
小嶋さんはにゃんにゃんなの?
私の事だましてたの?」

「違う!(汗)」

「見えなくて何もわからない私の事笑ってたんだ」

「違うよ!」

「酷い・・・今すぐ出てって!
こんな姿見られたくなかったのに・・・・(涙)」

約束 7

縁日の日、少しだけ昔のような関係に戻れたような気がした

その勢いで次の日

「大島さんおはようございます!」

自分で冷蔵庫からペットボトルを出そうとしていた
大島さんに後ろから抱き付いてみる

「な、何してんの(汗)」

慌てて離れようとするところは変わってない

昔もこうやって後ろから包み込んであげたら
逃げようともがいてたもんね(笑)

だって陽菜にすっぽり収まるからつい・・・(笑)

「この前からかわれたでしょ(汗)」

「女の子同士ってやつですか?」

「そう・・・そういうのに間違えられたらいやでしょ」

「大島さんとなら大丈夫です
だって特別な人だから(бвб) 」

「っ・・・・」

ドン!

「え!?」

壁に押し付けられて・・・・
今・・・キスされた?

「ごめん・・・今日は帰って」

「え!?」

「小嶋さんは悪くないから・・・
悪いのは私だから・・・」

「どう言う事ですか?」

「どうしても彼女と・・・高校の時好きだった彼女と重ねてしまうの(汗)」

「彼女・・・・」

「私は女性が好きなの、気持ち悪いでしょ」

うそ・・・もしかして好きだった彼女って・・・陽菜?

「小嶋さんといると彼女と一緒に居るような感覚に陥ってしまう
昨日の縁日や海でも彼女と手を繋いで歩いてる錯覚に・・・」

「大島さん・・・」

「小嶋さんに魅かれて行く自分が居て・・・
こんなの彼女に対しても小嶋さんに対しても失礼なのに・・・
最低だね、私・・・」

気が付くと頭を抱え項垂れる彼女を引き寄せ抱きしめていた

「最低じゃないよ、大丈夫気持ち悪くないから
今だけ私を彼女だと思ってくれていいよ」

「っ・・・にゃんにゃん・・・(涙)」

「優子」

見えない目の替わりに手で頬を確かめ包み込むと優しいキスをしてくる

「んっ・・・チュッ・・はぁっ・・・」

ゆっくりと離れると

「・・・・ごめんね・・・有難う・・・」

そう言って自分の部屋へ入って行った

約束 6

優子

「お姉ちゃん!僕たちが案内してあげようか」

声でさっきの子供たちだと言うのが分かったけど
少しだけ付き合ってあげた

すぐに戻るつもりだったから軽い気持ちだったのに
慌てて追いかけてきたであろう小嶋さんの声

子供を追い払うと

「勝手にいなくならないでくださいよ!」

少し声が震えていて泣いてる様な気がした

元の場所へ戻りペットボトルを受け取り無言で飲んでいると

「私、父親居ないんです」

「え!?」

知らなかった・・・

「仕事人間で遊んでもらった記憶もない位なんですけど
その日は遊園地に行くって約束してたんです
それなのに朝起きたらいなくて・・・
母親に聞いたら会社から呼び出しがあったけど
私との約束を守るために朝早く出て用事を済ませて帰って来ると・・
でも二度と会う事は無くて・・・」

「・・・・・」

「帰って来る途中事故に合って・・・
私のせいでお父さんが死んじゃった(涙)」

「それは違うよ(汗)」

「だから、急に人が居なくなることが怖いくて・・
怒ってしまってすいませんでした」

「ううん、私の方こそ何も言わずにごめんね」

「もう急にいなくならないでくださいね」

そう言うと私の肩に少しの重みと良い匂いがしてきたから
きっともたれ掛ってきているんだろう・・・

「大島さんの事心配してる人が近くにいるんだって
覚えててくださいね」

「あ・・・うん・・・」


ダメだぞ優子!この子はあの子の替わりじゃないんだから・・・

約束 5

「小嶋さん!佐藤さんとはどうですか?」

佐藤さん?

「ああ、大島さんですか?今日も今から行きますけど」

「柏木さんは結構怒られていたみたいだけど
小嶋さんは大丈夫?暴力振るわれてない?」

「そんな人じゃありません!(怒)」

「え?」

「あっ・・・全然大丈夫です、凄く優しい人ですから」

「それならいいんだけどさ、一か月契約だから
あと一週間頑張って」

「・・・・行ってきます」

後一週間したらまた離れ離れになっちやうのかな・・・やだな

あれ?陽菜何考えてるんだろう
優ちゃんはただの親友・・・


駅を降りて歩いていると神社があるんだけど

「あれ今日・・・・・そうだ!」





「縁日?」

「ここから歩いて10分ほどの所にある神社で
今日からなんですって、行ってみませんか?」

「昔はよく友達と行ったけど・・」

「行きましょうよ、気晴らしになりますよ」

「そうだね、ドイツに戻るとまたいけなくなるし
久しぶりに行ってみようかな」

ドイツへ戻るという言葉に胸が少し痛む



夕方手を繋ぎ縁日へ

「何か食べたいものありますか?
クレープにかき氷、焼きそばにリンゴ飴
あ、トウモロコシもある♪」

「小嶋さんの好きな物でいいよ」

「じゃーリンゴ飴♪」

「・・・・・」

「いやでした(汗)?」

「ううん、友達も好きだったなーて思い出しただけ」

覚えててくれたんだ(бвб) 

『うわー女同士が手を繋いでやがる』

『大人なのに変なの(笑)』

後ろからからかうように聞こえてきた子供の声

「ん?」

優ちゃんが振り返るとみんな一斉に黙ってしまった
だって目に包帯してるんだもんね

「気にしないで行きましょう」

「気にしてないよ、あ、この匂いイカ焼きかな?」

「あたり!食べますか?」

「食べにくいからいいや」



境内の人ごみの少ない所に行って休憩する

「ここに座っててください飲み物買ってきます」

「ありがとう」

自販機を探し戻ると

「優ちゃん・・・・」

優ちゃんが何処にもいなくて慌てて探すと
さっきの子供たちに手を引かれ歩いていた

「こら!何してるの(怒)」

「ヤベー逃げろ(汗)」

走って逃げて行く子供たち

「大島さん何処か怪我してませんか(汗)」

「大丈夫、歩いてただけだから」

「良かったぁー・・・・・
勝手にいなくならないでくださいよ・・・」

「ご、ごめん・・・小嶋さん?」

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