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満月なんて・・・ 15

「おそくなってごめ・・・・・ふふ可愛い(бвб)」


陽菜のベッドで子猫のように丸まって寝てる
スーパーアイドル

このまま甘えて一緒に住まわせて貰ってもいいのかな
もし世間にバレたら困るのは優ちゃん・・・

このままここに住めないこともないし
やっぱり断ろう

そう心に決め


「優ちゃん終わったよ」

「ん・・・・・・・んん〜ん・・・・気持ちぃ・・・」

「熟睡してた(笑)」

「このベッド良い匂いするし寝心地抜群」

「そうなの?毎日寝てるからわかんない」

「ふあぁぁぁぁ・・・・お腹空いた」

「もうお昼過ぎちゃった、待たせてゴメンね」

「いい睡眠できたからいいよ(-∀-`)
何食べに行く?」

「外で食べるのはダメなんだじゃない?」

「どうして?」

「騒がれたらダメでしょ、温泉街でもバレそうになったんだから
東京はもっとダメだよ」

「バレても陽菜は女の子なんだから
友達か何かだって思うし問題ない」

「そっちじゃなくてファンの子に見つかったら騒がれるでしょ」

「だったらどうせ今日から住むんだし私のマンションで作ってよ」

「あぁ・・・その事なんだけど
工事中も住めないことなさそうだし
ここにいようかなって・・・・」

「何でだよ!来るって言ったじゃんか(怒)」

「ごめんなさい、やっぱり無理だよ」


平凡な陽菜がスーパーアイドルと一緒には暮らせない


「じゃー私もここに住む!」

「ダメ!」

「・・・・・だ」

「え?」

「大人はいつもそうやって嘘をつく
私を喜ばせておいて奈落の底へ突き落すんだ」

「そんな事・・・・ちょっと優ちゃん(汗)」


言い終わらないうちに部屋を飛び出し階段を下りていく足音


「優ちゃん待って(汗)」


陽菜が下へ降りて行った時には優ちゃんの姿はどこにも見当たらなかった


「これで良かったんだよね・・・・出会う前に戻っただけ・・・
さーてと、お金の工面しなきゃ」


誰もいないのに少し大きな声で独り言を言い
自分に言い聞かせた


次の日新聞のテレビ欄に優ちゃんのグループの名前を見つけ
あまり見ない歌番組だったけど
やっぱり気になってたからチャンネルを合わせ見ていると
四人組なのに三人しか出てこなくて・・・
優ちゃんの姿が無かった

司会者の人が急病で入院中だと言っていて
重病じゃないけど念のために入院しているだけだとも言っていた


「昨日は元気だったのに・・・大丈夫なのかな」


陽菜が心配したってどうする事も出来ないと気づき
考えないことにした

だって、もう、関係ない人だから
荷物は置いたままだけどまた新しものを買うよね?
だってお金持ちだもん・・・


さーてと工事中の間短期バイト捜さなきゃ


その日持って来た見積もりの金額に少し戸惑い
でもやっぱりお店をつぶしたくないからお願いすることに

スマホで求人バイトを探し面接の予約を入れた

2日後の面接の日玄関を出ようとしたら
見知らぬ人が立っていて声をかけて来た


「ここのお店はやってないんですか?」


お客さんかと思って


「すみません改装工事をするのでふた月ほど休ませていただいてます」

「そうですか・・・あなたはここの方ですか?」

「はい」

「失礼ですが大島優子を知っていますか?」


いきなりの質問に動揺してしまったけど
嘘をつく筋合いはないから


「はい、アイドルの大島さんですよね」

「そうです、優子がここへ来たと思うんですが
今もいますか?」

「来たことはありますがもうここには居ません
というか入院してるんですよね?」

「いつここを出て行ったんですか?」

「え、2日前ですけど」

「そうですか・・・・ありがとうございました」


そう言って帰って行こうとするからつい


「優ちゃんいないんですか?」

「優ちゃん・・・・そんな親しい仲なのですか?」

「いえ・・・二度ほど会っただけです」


嘘じゃない

難しい顔をして


「・・・・・この件は内密にお願いします」


それだけ言うと帰って行った









満月なんて・・・ 14

優ちゃんを布団に寝かせ
まだ眠くないからもう一度露天風呂へ

だってこんな部屋
もう二度と泊まれないかもしれないでしょ


ゆっくり湯船に浸かり空を見上げる


「すごい綺麗(бвб)」


そういえばこの空を見せたいって言ってたっけ

星はもちろんだけどお月さまも都会より大きく明るく見える

それに今日は満月

嫌いだった満月だけど
優ちゃんと出会ったのも満月だった・・・

これから好きになっていけるのかな


部屋へ戻ると気持ちよさそうにすやすや寝てる優ちゃん、でも


「すごい寝相(笑)」


大の字とかアイドルとは思えない寝相


「風邪引くよ」


掛け布団をかけ直してあげて
隣に敷かれた布団に入り目を閉じた



朝、誰かが叫んでる声で目が冷める

もちろんそこにいたのは優ちゃんで


「おはよう、どうかした?」

「私なんで寝ちゃったんだよ
陽菜に見せてあげたかったのに(怒)」

「夜空のこと?」

「そう!それ」

「見たよ、一人でだけど(笑)」

「起こしてよね(怒)」

「酔って寝てるのに起きないでしょ
それにお風呂に入るなんてもっと危ないから」

「だって、一緒に見たかったのにー(怒)」


あまりにも悔しがるから


「また見に来よう」

「絶対だよ!約束だからね」


目をキラキラさせて覗き込んでくるからうんと頷くと
満足したのかお腹すいたーと言ってフロントに電話をかけていた




帰りもタクシーで帰ろうとする優ちゃん
でもあの金額が頭をよぎり・・・・・

今度はサングラスとマスクを付けさせ電車で帰ることに

なんとかバレずに東京駅に着いた


「昨日今日とありがとう・・・じゃーまた連絡するね・・・・・

ねえどうしてついてくるの?こっち方面?」

「違うけどスーツケースおいたままだから取りに行く(-∀-`)」


そういえばそうだった


都会で電車はまずいかなと思ったけど
若い子はほとんど下を向いてスマホを弄ってるからバレずに済んだ



「これからの予定は?」

「無い!(-∀-`)」

「とりあず工事の見積もりお願いする電話とか
全部済ませちゃってからでもいいなら車で送るけど」

「陽菜車運転できるの!?」

「おばあちゃんを病院に連れて行くのに便利だから一年前に取ったの」

「すごいじゃん、これから車で旅館いける」

「あぁ・・・・・高速乗れないんだよね(汗)」

「なんで?高速のほうが走りやすいじゃん」

「ほら、合流とか危ないでしょ」

「マジか(;´-∀-)」

「下道なら任せて(бвб)」

「事故らないようにお願いします」


だって、病院の行き来だけなら高速乗らなくても良かったんだもん
後は少し離れたショッピングセンターへ行くくらいかな

お店の買い物は自転車で行けるし・・・・


家に着くともう一度水道屋さんに電話をかける


「なんて?」

「すぐ行きますって
多分二階も見られると思うから
優ちゃんは・・・・・寝室へ行ってて」

「いいの?」

「寝ててもいいよ、帰り全然寝なかったでしょ」

「丁度眠かったんだ(-∀-`)
今から行ってもいい?」

「いいよ」


一度泊まって場所を知ってるから
おやすみと言って出て行った


それから水道屋さんが来てあちこち調べ


「明日、見積もりを持ってお伺いします」

「よろしくお願いします」


結構時間がかかって
1時間以上たっていた

お昼遅くなっちゃった
送って行く途中で何か食べに・・・・
て、出来ないよね

どうしよう・・・・・


満月なんて・・・ 13

「私、空を見上げるのが好きで
特に夜の空が好きだった
星に埋め尽くされていて
それに負けじと輝いてる月が愛おしくてさ
東京に出てきてからはあまり星が見えなくなっちゃったけど
お月さまは昔のままで・・・・
特に満月にお願いすると思いが叶うって聞いてからは
いつ満月かわかんないから丸に近づくと
毎日同じお願いしてたんだ」


陽菜の腕の中で語りだした優ちゃん


お願いは聞かなくてもわかる

多分陽菜と同じだと思うから


「なのに・・・・やっと会えても
こうやって抱きしめてくれることなんてなくて・・・・
最後には邪魔者扱い・・・・
だったら産まなければよかったんだ!」

「そんな事言わないで」


腕にいっそ力が入る


「辛いこともたくさんあったと思うけど
お母さんが産んでくれたから陽菜達は出会えたんだよ
ファンの人だってきっとありがとうって思ってる」

「でも、欲しいものは手に入らない」


肩が少し震え泣くのを我慢してるのが伝わってくる
だからかな、言っちゃった


「寂しい者同士共同生活から初めて見ない?」


埋めていた顔を上げキラッキラした目をし


「わかった、ひとまずそういうことにしといてあげる
でも絶対に好きにさせてみせるから覚悟しててよね(-∀-`)」

「ふふ、お手柔らかにお願いします(бвб)」



それから、これからの事を話し合った


住むのは優ちゃんのマンションのほうがいいと言う結論に

だってその方がセキュリティが万全だしバレにくいから

お店は水道管とお店の中も少し改装することにして
優ちゃんにお金を借り少しずつ返していく

いらないと言い張ったけどこれはけじめとして譲れないから


「明日から来る?」

「それは無理かな、工事の話し合いもしないといけないし
片付けて持っていくものの整理もしないといけないから」


陽菜はお店を続けるし
優ちゃんがツアーや泊まりの時は家に帰る


他にもいろいろと決まりごとを作った


最後に


「もし世間にバレて大島優子の仕事に支障をきたすようなら
共同生活は解消する」

「嫌だ!」

「ダメ、優ちゃんの人生を陽菜のせいで駄目にしてほしくないし
そうなったら陽菜は自分を許せないと思うから
それが嫌ならこの話は無し」

「・・・・・わかった」


納得してない返事だけど優ちゃんのためだから・・・・・



夕飯の前にもう一度露天風呂に入る
お酒を飲んだら多分入れなくなると思うから



案の定調子に乗って日本酒を飲んだ優ちゃんは・・・



「すぐお布団敷かせていただきますね」


「すみません(汗)」


「いつもはお一人なのでお酒は飲まれないんですが
今日は楽しそうに飲まれていて
私も嬉しいです」


その言葉に微笑むしか出来なかった

満月なんて・・・ 12

(陽菜・・・・陽菜!)


「あらあら、子供みたいですね(笑)」

「そうですね(бвб) 」

「恵さん陽菜をみ・・・・はぁ・・ここにいたのか(汗)」


暖簾をかき分け勢いよく入ってきた優ちゃん


「お茶を入れますので優子ちゃんもお座りになって下さい」

「私はいいや・・・・」


そう言って出て行くから


「私も戻ります、ご馳走様でした」

「夕飯は何時にされますか?」

「そうですね・・・・6時にお願いしようかな」

「かしこまりました」


それだけ会話してすぐ出たのに
姿はどこにも見えなくて
部屋へ戻ると窓際の椅子に座って外を見ていた


何も言わずテレビをつけ座椅子に座り
チャンネルをかえていると


「帰ったのかと思った」

「え?」


優ちゃんの方を見ると外を見たまま話しかけている


「・・・・帰るわけないでしょ
久しぶりの温泉だしこんないい部屋もう二度と泊まれないもん」

「また私とくればいいじゃん」

「毎回優子に出して貰うなんて出来ないから」


そう言うと勢いよく振り向き


「私がそうしたいんだから気にしなくてもいいの!」

「そういう訳にはいかないでしょ」

「どうして?」

「優ちゃんとは知り合ってまだ間もないし
ましてや会ったのはまだ二回目だよ
そんなに簡単に人を信用したらだめ」

「私見る目だけはあるんだ
女将さん良い人だったでしょ?
陽菜だって勘違いだったけど私を助けてくれようとしたし
初めてなのに家にも泊めてくれたじゃん」

「あれは仕方なく・・・・・・」

「私の事嫌いなの?」

「嫌いじゃないけど
優ちゃんの事何も知らないし・・・
アイドルだって言うのも今日知ったんだよ」

「それは・・・黙っててごめん
でも、好きになっちゃたんだ
一目ぼれなんて信じてなかったけど
ツアー中だって忘れた事無かった
ずっとずっと会いたいって思ってた」

「きっと陽菜を通してお母さんを見てるんだよ」

「違う!あいつは・・・あいつらは親なんかじゃない!!」

「ゆう・・・ちゃん?」

「はぁはぁはぁ・・・・」


苦しそうに息をする優子に近づき
背中を摩りながら


「落ち着いて、ゆっくり呼吸して」

「はぁっはぁっ・・・ふぅ・・・・ふぅ・・・・」

「大丈夫?」

「ごめん・・・・・」

「ううん」

「私さ」

「うん」

「虐待を受けてたんだ」

「・・・・」


それからゆっくり子供の頃の話をしてくれた


虐待と言っても暴力のほうじゃなくて育児放棄の方

母親はネグレストで父親に依存してた

その父親は単身赴任でほとんど帰ってこず
母親はお金だけ置いて父親の元へ行ってしまい
いつ戻ってくるかもわからず
お金が尽きないように毎日少しずつ
お兄さんと食べ物を分けあって食べていたこと

お兄さんは高校を卒業してすぐ就職し
二人で家を出て自分を育ててくれたこと


黙って話を聞いていたら


「アハッ引いちゃうよね」

「そんな事ないよ、お兄さんは立派な人だと思うし
優ちゃんだってちゃんと育ってるよ」

「ちゃんとかぁ・・・・・・」

「ん?」

「バレないように遊んでるだけだけどね」


自虐的に笑う顔はつらそうで・・・・つい


「ひとに迷惑かけてないんだから立派だよ
アイドルだって普通の人間なんだから遊んだっていいよ」


気が付くとそう言って抱きしめてしまっていた




満月なんて・・・ 11

部屋に戻ると険悪な雰囲気

陽菜は窓際の椅子に座って携帯を触り

優ちゃんは座布団を枕代わりにして
畳の上に寝そべりながらテレビを見ている


はぁ・・・・陽菜のほうが大人なんだからなんとかしなきゃ

どう言えばいいんだろう
同居するのは構わない
一人はやっぱり寂しいから

でも、優ちゃんから仕事を奪うことはできない

だから・・・・・・きっぱりと断ったほうがいいのかもしれない

お店は今すぐには無理だけど
もう一度働いてお金をためて
定年を迎えてからでも遅くないよね?
だから水道と、最低限住めるようにだけ修繕をしようと決めた



せっかくの温泉だし今日はなんとか取り繕うとして
明日断ろう

そう思って優子を見ると


「寝てる・・・・・」


タクシーでも寝てたけど相当疲れているんだろう


部屋にいても暇なだけだだから
掛け布団を掛けテレビを消して部屋を出て玄関の方へ歩いていると


「小嶋様どうかなされましたか?」

「大島が寝てしまったので散歩でもしようかと」

「そうですか・・・・
もしよければ美味しいお茶菓子があるのですがいかがですか」


人の良さそうな女将さんからそう言われたら断ることもできず
御呼ばれすることに


「大島様・・・・優子ちゃんとは長いのですか?」

「いえ、最近ひょんな事で出会って・・・」

「人懐っこい方ですからね(笑)」

「ここへはよく来ると聞いたのですが」

「そうですね、お疲れの時や悩まれてるときには
週に2・3回来られては
朝早くに帰っていかれます」

「そんなに?」

「ご家族がいらっしゃらないとかで
相談したくても出来ないとか
だから私は話の聞き役ですね」


そう言って愛おしそうに微笑む女将さんを
優ちゃんは母親代わりのように慕ってるのだろうか・・・・


でも

「ご両親は二人共健在でお兄さんも結婚はされてるけど
いると聞いてますが」

「複雑な事情があるみたいですよ
お兄さんと二人で暮らしておられたようですが
そのお兄さんが3年前に結婚されて
一緒に住もうと言ってくれたけど
邪魔だから一人暮らしを始めたって
少し切なそうにおっしゃってましたから」

「そうですか・・・・・」

「小嶋さんのような方がお友達で
私も安心しました
最近良くない噂も出ていたので」

「良くない噂?」

「二十歳になった途端夜の街での目撃情報が飛び交うようになって
写真には取られないまでも相手はその都度違う方みたいで・・・・
心配していたんです」

「・・・・・・・・・」

「でも今日来られた時の優子ちゃんの笑顔を見ていたら
やっと安らぎを見つけたのかなって・・・・
あんな笑顔始めてみましたわ」


決心が揺らぎそうになる
話を聞かなければよかった・・・・・・


「優子ちゃんを宜しくおねがいします」


親でもない女将さんが頭を下げ陽菜にお願いしている姿に


「はい」と返事するしかなかった
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