必死に顔と名前を覚えていたら

”ぐぅ”・・・・・

しまった、朝、小さいおにぎりしか食べてないからお腹なっちゃったじゃん
聞こえてないよね(汗)

ゆっくり顔を上げ優子の方を見ると

したを向いて書類に目を通してるけど
肩が小刻みに揺れていた

思いっきり聞こえてるじゃん(汗)

「ん〜んもうすぐもうお昼か
何食べようかなー陽菜は何食べたい?」

わざとらしく伸びをして話しかけてくる優子

「社員食堂ある?」

「それもいいけど今日は奇跡的に暇だから外へ食べに行こうか」

「二人だけだと何か言われない?」

「秘書だから良いんじゃない?」

秘書だから一緒にいくのはおかしいと思うんだけど
カバン持ちならぬスマホ持ちだから良いのかな?

「あっさり系がいいかも」

「じゃ〜和食かな
私の行きつけの店でいい?」

「どこでも良い」

内線で出かけることを何処かへ連絡してる

下へ降りていくと入り口には黒のベンツが止まっていて
運転手がドアを開けて待っていた

「お先にどうぞ」

「社長がどうぞ」

「そうか、そうだね」

笑いながら乗り込み陽菜もその後へ続く

「表参道の店へ」

「かしこまりました」

「それだけで分かるんですか?」

「知り合いのお店なんだ」



車が停車してドアが開く

「どうぞ」

「ありがとうございます」

優子が降りてくると

「また連絡するから」

「かしこまりました」

そう言うと私達がお店に入るまで見送っていた

綺麗な外観でまだ新しそう
和食のお店と言うか料亭?
少し高そうなお店っぽいけど・・・
お昼やってるんだね


「いらっしゃいませ」

「大島様、今日はテーブルのほうがよろしいですか?」

陽菜を見てそういう店員さん

「いや、いつもの場所で」

「どうぞこちらへ」

案内されたのはオープンキッチンのカウンター

「いらっ・・・何だ優子か」

「何だはないだろ、お客様だよ」

「最近忙しかったの?一ヶ月ぶりじゃん」

「ちょっとね」

「それよりその綺麗な女性は誰?」

「ん?恋人の陽菜(-∀-`)」

「しゃ、社長(汗)違います秘書です秘書の小嶋です(汗)」

「表向きだけだけどね」

「裏なんてありません」

「相変わらずだな、今日は何にする」

「あっさり系の定食二つ」

「何だそれ(笑)お刺身定食で良いか」

「陽菜もそれで良い?」

「はい」

優子と呼ぶ板前さん?は
彫刻みたいなはっきりした顔をしてるけど多分女性だよね

「あのう・・・知り合いなんですか?」

「あぁーこいつ、才加とは高校が同じでさ
頭良かったのに料理の世界へ進みたいって言って
大学いか行かずに見習いから修行して
去年やっとここに店を出したんだ」

「いつも一人で来るのに
人を連れてきたのは・・小嶋さんだっけ
君が初めてだよ」

「せっかくの息抜きを邪魔されたくないからね」

「私、来ても良かったんですか?」

「陽菜は良いんだよスマホ持ちだから(笑)
今の時代スマホ無かったら困るだろ」

「自分で持てばいいじゃないですか
今まではそうしてたんだから」

「今までと今日からは違うから」


「お待たせ」


定食と言っても料亭
豪華なお刺身と小鉢3つと汁物とご飯

「いただきます・・・ん・・・新鮮」

「さっきまで泳いでいた魚ばかりだからね」

そういって指さされた方を見ると
大きな水槽があり魚が優雅に泳いでいた

「これも美味しい♪」

「ありがとうございます
素直な感想で嬉しいよ
いい人捕まえたな優子」

「当たり前だろ」

「そう言えば結婚するって言ってなかったっけ」

「あぁーそれならやめたんだ
でもそのおかげで陽菜と出会えたんだけどね」

「なんだか意味深だな・・・」

「ほらオーダー入ってるぞ」

「わかってるよ、また今度聞かせてもらうから
いつでも誘ってくれ」

そう言うとまた忙しく包丁を動かし始めた