それから3日会うことはもちろん
メールもLINEも何もなく過ぎていった

相変わらず言い合いはしてる両親だけど
以前のような物を投げ合うことは無くなっていたのに


「私が陽菜の面倒を見るんだからこれはもらいます」

「俺が見ると言ったのにお前が無理やり奪ったんだろ」


陽菜のことで喧嘩になるのは一番嫌なのに
また食器が割れる音がして声もどんどん大きくなっていく


「優ちゃん・・・助けてよ(涙)優ちゃん・・優ちゃん・・・」


布団の中で何度も何度も繰り返す

もう来てくれることはないのに・・・・





その時

ピンポン・・・ピンポン・・・ドンドンドン

チャイムとドアを叩く音で静になる部屋の中


玄関を開けたみたいで声が聞こえてきた

この声・・・・・優・・・ちゃん?

部屋から出ていくと


「陽菜!」

「優ちゃん・・・どうしたの」


パパとママの方を向いて


「もう、喧嘩はやめてください
陽菜が可愛そうだ!」

「他人の家のことは放っておくものだよ優子くん」

「二人共お互いが好きだから喧嘩するんでしょ
いつも聞こえてくる言葉は
わかってほしいから喧嘩してるとしか思えない」

「そんなこと・・・」

「二人共陽菜が可愛いんでしょ
だったら陽菜のためにもう少し頑張ってあげてください
せめて高校を卒業するまでは二人でいてあげてください」

「卒業するまでここに居るのと居ないのと
何が変わるというんだ」


「卒業したら私が陽菜の面倒を見ます!」

「ゆう・・・ちゃん?」

「何を言ってるのか分かってるのか」

「私、陽菜が好きです陽菜の居ない生活なんて考えられない
二人もそうじゃないんですか?」


「・・・・・・・・」


「だったら我慢して、妥協して、陽菜のために
もう少しだけ頑張ってみてあげてくれませんか」


何言ってるの?好きって・・・・なに?


「お願いします!!」


そう言って頭を下げる優ちゃん


「今日の所は帰ってもらえるかな」

「わかりましたでも陽菜さんをお借りします」


陽菜の腕を掴み自分の部屋へ連れて行くゆうちゃん


「ねえ、何言ったかわかってるの?
離婚を止めるためにあんなこと言ったら駄目じゃん」


「陽菜がいなくなるって聞いて
自分の気持ちにやっと気づいたんだ」

「どういう事?」

「あっちゃんの事は好きだよ
でもそれは恋に恋してたっていうか
陽菜とあっちゃんのどちらかがいなくなったらって比べたら
陽菜がいなくなる方が悲しくて、辛くて、苦しくて
陽菜のいない人生なんて考えられなくて
先におじさんとおばさんに言っちゃったけど

一生大切にするから私と付き合ってください!」


「気づくの遅いよバカ(涙)」


溢れてくる涙を拭おうとすると引き寄せられ


「ゴメンね(汗)」

ギュッと抱きしめられた


「あっちゃんはどうするの」

「理由を話して一発殴られてきた」

「だからこっち少し腫れてるんだ(笑)」

「だって思いっきりぶつんだもん(汗)」


頬をなでながら


「本当に陽菜でいいの?」

「陽菜が良いし陽菜しかいらない」


「陽菜も優ちゃんが良い」


どちらからともなく
ゆっくり重なった唇

どれくらい重なっていたんだろう
またゆっくりと離れると


「なんか改めてすると恥ずかしいね(;´-∀-)」

「優ちゃんが無理やりしてきてたんじゃん」

「それは小さかったからで(;´-∀-)」

「陽菜のファーストキスは優ちゃんだったんだから」

「私だってにゃんにゃんだったよ」


小さい頃から仲がよかったし親同士も仲が良かったから
二人にキスさせて写真にとってた両親

実はその写真今でも大切に持ってる

中学に入ると流石に口にはしなくなったけど
頬には毎日ぐらいされていてのに

高校に入るとほとんどされなくなっていた

なのに恋人になったからっていきなり唇にされると恥ずかしい
いや、恋人だから口にするのか・・・・


もう一度軽くキスをしてから


「これからも宜しくね陽菜」

「こちらこそよろしくね優子」


お互い顔を真っ赤にして向かい合い
オデコをつけて微笑みあった





おしまい