中はまだ電気はついていなかったけど
外の通路の電気で玄関先が見える


「・・・・・一人暮らしなんだよね?」

「う・・・・ん」

「靴多いね(汗)」

「・・・・・・・・」


電気のスイッチを入れ今度は先に入っていく陽菜の後からついていく

リビングのスイッチを入れると


「・・・・・・・・・ど、泥棒?大変だ(汗)」

「違う!これが普通なの!」

「・・・・・・・・」

「ほら、呆れてるじゃん(怒)」

「呆れてないよ何処から片付けようかなってシュミレーションしてただけ
私片付け得意だから任せて
陽菜は・・・・そうだな、お風呂入れといてよ」

「うん・・・・・」


バスルームへ行ったのを確認して


「さーてと・・・頑張れ優子」


気合を入れ動き出す

雑誌と洋服は一箇所に固め
洗い物はキッチンへ運び
ゴミも固めておく


「陽菜ゴミ袋ある?」

「キッチンの何処かにある」


バスルームから返ってきた返事


開けさせてもらいまーす

キッチンの引き出しや開きを開けていくと


「あった」


新しいけど使ってないのかな(汗)

ペットボトルとお菓子の袋を分けて入れていっていると


「わぁ、床が広い」

「洋服はわかんないから洗濯するものと
しないもの分けて」

「わかった」


これは・・・・・いつ着たかな
とか言いながら分けていってて笑う

いつものクイーンの貫禄が何処かへイッちゃってて
どう見ても年上に見えない陽菜

「かわいい(-∀-`)」

「え?」

「いつもそうやって肩の力を抜けばいいのに
素の陽菜のほうが可愛いよ
あ、いつもは美人さんだけどね(笑)」

「クイーンという立場上バカにされないようにしなきゃいけないから」

「じゃー私の前だけは気を抜けばいいよ」

「・・・・・嫌いにならない?」

「どうして嫌いになるの
こんなに可愛いのに(-∀-`)」

「・・・・(бвб)」


顔を赤くして照れてる陽菜を無性に抱きしめたくなって
近寄って後ろから抱きしめた


「優子・・・私の事好きなの?」

頭の中覗いたはずなのに覚えてないのかな


「好きじゃなきゃ恋人制度なんて
キングになった時点で廃止してる
陽菜こそお姉ちゃんに言われたから私をキングにして
恋人のフリしてたんでしょ」

「違うよ、陽菜は・・・」

「お姉ちゃんの事が好きだったんだよね」

「優希さんも優子と同じで1年生の時からキングだったから
陽菜が入学した時にはみんなのあこがれの存在で
年上のクイーンともお似合いだったから誰も入るスキがなかった」

「先代クイーンが卒業して
今度は陽菜がお姉ちゃんのクイーン兼恋人になった」

「陽菜は平凡な、ううん全然目立たない女の子だった
あの夏の日までは・・・」

「あの夏の日?」

「始業式の日休み癖が抜けなくてボーと歩いてたの」

「・・・・・・」

「そしたら誰かとぶつかっちゃって倒れた勢いで頭を打ったみたいで
気が付いたら保健室で寝ていて
目の前には憧れの人の顔があって
また気絶しそうになっちゃった(笑)」

「・・・・・・・」

「それからすれ違うたびに声をかけてくれるようになって・・・
そうなると黙ってない人も沢山いるわけで」

「いじめられたの?」

「うん・・・・まあ、そのおかげで今の能力が身に付いたんだけどさ(笑)」


辛そうに言うから理由は聞かないでおいた


「始めて変身した時近くにいた優希さんが駆けつけてきて
陽菜の事を止めてくれてたのに
変身すると見境いが無くなっていて
優希さんを手にかけちゃったんだ」

「お姉ちゃんはどうなったの」

「何かつぶやいたまでは覚えてるんだけど
その後意識が無くなって・・・
気が付いたらまた保健室で寝てた(笑)」

「まだキングとクイーンじゃなかったのに
お姉ちゃんは大丈夫だったの?」

「わかんない、その時は優希さんは居なくて
代わりに四天王の人が居たから」

「もしかしたら倒れてたのかな」

「そうかもしれないそれから数日は姿を見なかったから・・・
でもその後からだったと思ういじめがなくなったのは」

「お姉ちゃんが止めさせた」

「うん、で
その年の冬なんだクイーンとして迎えに来てくれたの」

「まだ先代のクイーンがいたのに?」

「そう、三年生は年が明けると殆ど学校に来なくなるから」

「で、恋人同士になった」

「恋人か・・・・
大切にはしてくれてたけどそれ以上の関係にはならなかった
初めはやっぱり噂だったんだって思ったけど
真実がわかったのはまた変身して
陽菜を止めるために優希さんがわざと頭を覗かせた時

今でも覚えてる先代クイーンとの映像を・・・
でもね、陽菜が好きだよって言う言葉に嘘はなかったんだ
愛しい気持ちが流れ込んできたから
ただ、二番目だっただけ」

「陽菜・・・・
私はお姉ちゃんの代わり?」

「ちがう!」

「性格は正反対だけど顔は似てるもんね」

「だから違うって」

「そうじゃん、だってずっと好きだったんでしょ?
でもお姉ちゃんから妹を頼むって言われて仕方なく・・・
見てみたらそっくりで・・・だから代わりに」

「優子の事は二年前からしってた!
キングが外に出る時は必ず見守ってたって言ったでしょ」

「あ・・・・・・」

「始めは妹だからって甘えてる優子が嫌いで
隣は陽菜の場所なのにって思ってた」

「やっぱり・・・」

「最後まで聞いて」

「・・・・・」

「でも、バカな事して優希さんを喜ばせてる姿とか
映画へ行けばボロボロ泣いてクシャクシャな顔して出て来るところとか
お化け屋敷に入れば怖いって叫んで抱き付いてる所とか」

「悪い所ばかりじゃン・・・」

「それが愛しさに変わっていって
いつの間にか優希さんじゃなく優子を見てる自分がいたの」

「うそ・・・」

「多分優希さんも気づいてたんだと思う
だから優子をキングにと助言してくれた
みんなに陽菜への不信感を抱かせないために」

「そっか、陽菜がこんな私をいきなり指名したら
みんななんでだってなるもんね」

「でも優子はちゃんと答えてくれた
今では麻里子の次に強くなったもん」

「エヘッ陽菜に褒められると嬉しい(-∀-`)」

「だから」

「えっ!?」

「本当の恋人になろう」


そう言ってソファーに押し倒された