コトン


何かが落とされた音で気が付き
巣箱から外を覗いてみると
陽菜よりはるかに小さな動物が
恥ずかしそうにこっちを見ていた


「・・・・・・」

「あ、えーと(;´-∀-)私シマリスの優子って言います」

「・・・・・・」

「白うさぎさんの名前は?」

「陽菜」

「わぁー可愛い名前(-∀-`) 」


無視してまた奥に入って目を閉じる


「また来るね!」


そう言ってリスは帰って行った


少しするとまたコトンコトンと何かを落とす音

無視してまた目を閉じる

入って来る光がなくなり外に出ると
巣箱の前には沢山の食べ物と


「ねえ、何してるの?」

「んぁ?・・・・あぁぁ!!寝ちゃってた
大変だ真っ暗じゃん餌の時間終わってるよ(;´-∀-)」

「・・・・・そこにあるの食べたら」

「これは陽菜ちゃんの為に持って来たものだから食べない!」

グゥゥゥウ・・・・

「我慢せずに食べればいいじゃん」

「でも・・・陽菜ちゃんなにも食べてないでしょ」

「陽菜はいいの・・・・」

「ダメだよ、沢山食べないと元気にならないよ(;´-∀-)」

「どうせ独りぼっちだもん・・・」


陽菜にだって家族や仲間がいた
でもみんな死んじゃった・・・・

「どうして陽菜だけが生き残っちゃったんだろう・・・
みんなと一緒に死ねれば良かったのに
そうしたらこんなに寂しい思いしなくて済んだのに」

「私がいるよ!
それにここには沢山の仲間がいるから寂しくないよ!」

「どうせここだって同じ
潰れたら私達だけ置いて誰もいなくなるんだ
小さな檻の中に沢山詰め込まれて
餌も水も無くなり寝床は汚くなって・・・
そしてみんな弱っていって・・・・(涙)」

「私がずっとそばにいるよ」


そう言ってなぜか恐る恐る近寄ってきて
そっと抱きしめて撫でてるつもりのリス

・・・・どう見ても抱きついて埋もれてるようにしか見えない


「優子は自由に行き来できるけど陽菜はずっとこの檻の中だし」

「違うよ、ここは自由に歩き回れるところなんだ
陽菜ちゃんはまだ来たばかりで弱ってるから中にいるだけで
元気になったら外に出して貰えるよ
そしたら私のお友達沢山紹介するからね(-∀-`) 」

「・・・・・・・一緒に食べよ」

「うん食べよ食べよ(-∀-`) 」


お喋りな優子は口に食べ物を一杯頬張ってしゃべるから
その辺に餌が散らばっていて汚い


「陽菜が汚したみたいになってるからちゃんと綺麗にしていってよね」

「ごめん(;´-∀-)」

そう言うとフサフサの尻尾で床を拭き出すから
ダン!と足で床を叩いて止める

「うわっ!びっくりした(;´-∀-)どうしたの?」

「そんなことしたら体が汚れるじゃん」


毛はフサフサで艶があって陽菜とは全然違う


「汚れたら綺麗にしてくれるから気にしないで」


綺麗になんてしてくれるわけ無い・・・・
体を綺麗にしてくれるのは売られるときだけなんだから


カチャッ・・・・
部屋の明かりが付き人間が入ってきた
慌てて隠れようとしたら


「あれ?なんでこんな所にリスの餌があるんだ?
あ、ゆっぴーまた餌持ち歩いて散らかしてる(*`ω´)」


ほら人間なんて動物の気持ちなんてわかんないんだから


「なーんてね、大好きなにゃろが気になって持ってきてあげてるんだね」


にゃろ?大好き?


「陽菜ちゃんて猫だったの?(;´-∀-)」

「そんなわけ無いじゃん陽菜ウサギだし(怒)」

「だよね、麻里ちゃん変なあだ名つけるの好きで困っちゃう(;´-∀-)」


この大きな人間は麻里ちゃんと言うらしい


「ゆっぴー立派な尻尾が汚れちゃってるじゃん
綺麗にしてあげるからおいで」

「ほらね、綺麗にしてくれるって言ったでしょ(-∀-`) 」

「・・・・・・・・」

まだ信じない・・・・捕まえてそのまま狭い檻に入れられて
二度とでられないかもしれないでしょ
なのにリスは手のひらにのってそのまま肩へ乗っちゃった

「にゃろはまだ綺麗だから大丈夫か」


「はぁ?陽菜が綺麗なわけない
どんどんグレーになっていって毛も所々抜けていってて
前足なんて真っ黒に・・・・・あれ・・・・しろ・・・い」

「陽菜ちゃん真っ白だよ(-∀-`) 」

「受け取りに行ったときは弱りすぎててもうだめかと思ったけど
ゆっぴーがずっと寄り添ってあげてたんだよね〜偉かったぞ」


そう言ってリスの頭を指で撫でてる


「ねえ、どうして陽菜汚れてないの」


「陽菜ちゃんは意識朦朧としてたからあまり覚えてないと思うけど
麻里ちゃんが毎日少しずつ丁寧に綺麗にしてくれたんだよ」

「・・・・・・・」

「意識がハッキリしたらすぐ小屋に潜っちゃったでしょ
だからあまり刺激したらだめだよって言われてて・・・・
そばに行けなくて・・・・一人にしてごめんね
寂しかったよね」


そう言うと今度は勢いよく人間の肩から駆け下り
陽菜に向かって突進してきてクビに抱きつきスリスリしだした


「愛だね〜(*`ω´)」


こんな小さいのに暖かく感じるのは何故だろう・・・・



カチャッ


「ニャロそろそろ起きないと・・・て
いつの間に上がってきてたの?全然気づかなかった(汗)」


どうやら夢だったみたい

でも暖かいのは優ちゃんが陽菜のベッドに潜り込み
抱きついて寝てるから


昔を少し思い出した

あの頃も優ちゃんが陽菜のために餌をせっせと運んでたっけ

全然足らなかったけど(笑)


「ゆっ・・・・・」

「起こさなくて良いから」


麻里ちゃんが優ちゃんを起こそうとするのを止める
夢だけど良い人間でむかつく
本当は人間じゃ無いけど・・・・



「でも今日ショッピングついてきてくれるって・・・・・」

「明日行ってあげるから今日はこのまま二度寝する」

「はぁ・・・・・ゆっぴーには敵わないか
仕方ない珠理奈を誘おーと♪
おやすみー(笑)(*`ω´)」


仕方ないって顔じゃ無いけどね(笑)

リスの時もこうやってよく抱きついて眠ってたよね
たまに押しつぶしそうになってたのは良い思い出


「すき(бвб)」


起きてるときには言えない言葉を言ってみる


「大好きだよ優ちゃん」


抱き付く力が少し強くなったような気がしたけど
そっと頭に唇を落としまた目を閉じた