お給料も年齢より沢山もらっつていたから
大き目のマンションを借りていてよかった

じゃないと優子を住まわせてあげれなかったからね


でもどうしよう・・・緊張する

いつもは親がいるから会話しなくても済んでたけど
二人っきりで無言は耐えられないから会社へ行くことにした

仕事も必ず最後の人と一緒に帰るようにして早すぎる時は
時間をつぶせばいいかって思っていたのに

優子のほうがバイトで帰ってくるのが二時を過ぎるし
朝は大学へ行くのが早く土日は一日中バイト

きっと陽菜に会うのが嫌なんだと思う
そんなに嫌われてるのかな

たまにかわす言葉もよそよそしいし
名前を呼ぶときは小嶋さんだし・・・

そう思うとこっちもそれなりの対応になってしまって悪循環


「来た時より痩せてるじゃん」


寝てるときは爆睡で少々物音を立てても起きないからありがたい
昔からそうだったっけ・・・
陽菜でも目が覚める物音がしてもすやすや寝てたもんね(бвб)


「働きすぎだよ馬鹿・・・ちゃんと勉強してるの?」


一方通行の会話でしか優しくできない陽菜


それでもまだ講義があるときは早めに帰って来てたのに
夏休みに入ると本当に寝るだけのために帰ってきてるかのように
働きづめでほとんど合わなくなっていた


「お盆はちゃんと帰ってきなさい」


お母さんのありがたい言葉

この言葉があるから仕方ないなーと言いながら
優子に会いに帰れていた


そして今年もまたこの言葉をきくけど
優子はここにいるから今年はどうしようか迷っていたら

優子も帰って来いと言われたみたいだったっから帰ることに

一緒に帰りたかったけどどうしても休めない打ち合わせがあり
泣く泣く次の日に帰ることにしたんだけど


まさかあんな事故が起こるなんて思ってもいなかった



前日から降り続いた大雨で土砂崩れが起こり
優子が乗った列車が巻き込まれたと連絡を受け


終わりかけだった打ち合わせをすぐ済ませ
車で現地へ向かった

東京は晴れていたのに現場に近づくにつれ
雨が激しくなり車のスピードも落ちる


「優子・・・無事でいて」


少しするとお母さんから
救出され病院に運ばれて検査中だとLINEが入った


こんなに早く助け出されるってことは
土砂に埋まってなかったってことだよね?


少し安心はしたけど検査が気になる


詳しく聞きたかったけど車の運転中だし
とりあえず病院へ向かうことに


病院に着くころには雨はやんでいた



「おじさんおばさん」

「陽菜ちゃん来てくれたのね」

「優子は?」

「まだ検査中でわからないの」

「大丈夫なんですか?」

「先生が言うには打ち身や切り傷はあるものの
大きなけがはないって」

「じゃーどうして検査なんか」

「それが頭を強く打ってるみたいで意識がないのよ」

「そんな・・・・優子・・・」


どうしよう、もしこのまま意識が戻らなかったら
今日までの態度を悔やんでも悔やみきれない



それから3日間ずっと優子のそばにいたけど意識が戻る事はなかった


「どうしても行かないとだめですか?」

(当たり前でしょ、海外から来られるのよ)

「わかりました・・・」

「帰るの?」

「陽菜がいないと成り立たないから・・・
意識が戻ったら絶対に連絡してよ」

「わかってるわよ」

「夜中でもだよ」

「はいはい」


後ろ髪をひかれながら東京へと車を走らせた