幕が開きお城の中

双子の王子が王様に叱られてるシーンから始まる

一瞬ざわつく観客席

だって王子が見た事もない小さな子供?だったから

みんなは背が高くてかっこいい麻里子王子を期待してたんだもんね

怯んでしまったらどうしようって
保護者のように心配して見ていたら

自分の演技をするのに必死で
周りの反応なんて聞こえてないみたい(笑)

うん、その方がいい
周りを見て巻き込むなんてまだまだ無理なんだから


城下町のシーンになるといつものメンバーが出てきて
観客もホッとしたのか笑いも出るようになっていった

劇が進むにつれ中盤には二人のじゃれ合いに笑いがおきるようになり
観客を引き付けてるというか・・・

多分観客も親のように見守ってるというか・・・

ハラハラドキドキしながら新鮮な演技に
みんなドンドン夢中になっていっていた

もちろん私達も例外じゃなく
麻里子に至ってはアドリブでいじったり
無茶ぶりしたり
その反応が全然違う二人がまた面白くて
ずっとこのまま見ていたいって思った

でも終幕はやってくる

二人の王子は別れるつもりで陽菜達に会いに来るんだけど
そんな事許さない

優ちゃんが陽菜から離れるなんてあり得ないんだから

公私混同もいいところだけど
それだけ陽菜がハマってしまったと言う事なんだと思う

だからキスシーンは本気を出した
陽菜の全身全霊をかけて!


あっちゃんも同じ気持ちだったみたい
その場面は打ち合わせも何もしていなかったのに
後でビデオを見てびっくりしたもん



写真会が終わり着替えてる中
麻里子が感想を言いだしたから
みんな口々に言いだした

そんな中着替え終わった優ちゃんが急に


「皆さんのおかげで最高の思い出が出来ました
本当にありがとうございました」

そう言って出て行こうとするから


腕をつかみ


「何辞めようとしてるの、あなたも陽菜を捨てる気」

「違います・・・捨てるとかじゃなくて・・・
小嶋さんに私はふさわしくないです
小嶋さんには佐江みたいな王子が似合います(涙)」


佐江って王子様みたいな子陽菜の好みじゃないし(怒)


「はぁ?どうして陽菜の相手をあなたに決められなくちゃいけないの」


「だって、身長だって容姿だってお似合いだからぁー(泣)」


そっちがそう言うならこっちにも考えがある



「宮澤」

「はい(汗)」

「陽菜にキスして」

「え!?」

「主役やりたいならそれくらい出来なくちゃいけないでしょ」

「・・・・わかりました、それでは失礼します」


言われるまま喉を鳴らして近づいてくる宮澤


『ダメ!!』


必死にそれを止めようとする優ちゃん

うん、これは想定内
でも後ろから抱えられるのは想定外
斜め後ろを向くと



「ゆきりん?」

「は、陽菜ちゃんごめん、でも、でも
今、佐江ちゃんとするのはなんか違う気がするから・・・・(汗)」


そう言えば宮澤さんてかっこいいと思わない?
とかなんとか言ってたっけ


まあ、本当にさせるわけないけどね
芝居でもないのにどうして好きでも無い子と
キスしないといけないのかわかんないもん


そうこうしていると俯いていた優ちゃんが


「陽菜ちゃんは私としかしちゃダメなの(泣)」


座り込みワンワン泣き出した