陽菜の家は田舎でも少し都会のほうで
同時期に引っ越してきたお隣さんとは
年代も近かったせいか両親がすごく仲が良く
必然的に私たちも仲良くなった


陽菜が三歳の時に優子が生まれ
一人っ子だった陽菜は妹ができたようにうれしくて
毎日見に行ってたっけ

ミルクだって飲ませてあげてたし
離乳食だって陽菜がこぼしながら食べさせてあげてたんだから(笑)

そのせいか優子は陽菜にすごく懐いて
どこへ行くにもついてきて
公園にだって連れて行ってあげていたから
初めのころ公園にいた子供達は私達を本当の姉妹だと思っていたっけ(笑)

小学校へは一緒に行っていたからか
陽菜が中学生になったとき一緒に行くって泣きじゃくる優子を見て
陽菜も泣くのを我慢するのに必死だった思い出

中学校は三つの小学校から集まっていて
今まで知らなかった人達と友達になった

その中でもその子は二年前に都会から越してきた子で
おしゃれであか抜けていて陽菜が知らないことを沢山知っていて
尊敬してた

その子の前では陽菜も取り繕っていたんだよね

だからかな
あの日優子がいつものように遊びに来た時

にゃんにゃんと呼ばれ笑われて
恥ずかしくなって初めて冷たく追い返してしまった
その時の優子の顔が今も頭から離れないでいる


次の日何事もなかったかのように遊びに来た優子が
どうしてにゃんにゃんて呼んだらダメなのってっ聞かれ
説明することができず

ダメって言ったらダメなの!てまた強くいってしまって・・・

それくらいからかな、塾へ行きだした陽菜と優子の時間が合わず
遊びに来ることがなくなり

優子が中学生になると陽菜は高校生
優子が高校生になると陽菜は東京の専門学校へ

勿論両親が仲がいいから一緒に食事をしたり
お盆と正月はどちらかの家に集まったりいしていたけど

後ろめたい陽菜は優子をちゃんと見ることができず

どうしてあの時すぐ謝らなかったのかと会うたびに後悔していた


ある日お母さんから優子が東京の大学に合格したと聞き
どこに住むのか聞くと合格したのに東京行きを反対されてると聞き
陽菜の住んでいるところ空き部屋があるんだけどなーと
お母さんにそれとなく吹きこむと
案の定おばさんから連絡が来て即承諾したよね

作業部屋だった部屋を片付け優子の部屋にして
会社に作業室を作ってもらいそこにすべて移動させた


「小嶋さんが会社で作業してるなんて珍しい(笑)」

「今日から毎日出勤するのでよろしく」

「どういう風の吹き回し?」

「会社のほうが何かと便利だから」


陽菜はデザインの仕事をしている
だから会社に行かなくても出来るし
なんなら家のほうがうっくり出来ていいアイデアも浮かびやすいし
時間関係なく試作品も作れるから在宅ワークが許されていた
でも許可された極めつけは


「ここのビル0時に電源切れるんだから気を付けてよ」

「わかってまーす」

「心配だわ」



入社して半年頃かな
作業していていきなり電気が切れることが多々あった


そうなるとエレベーターも止まって帰ることができず
階段も面倒だから仕事場に泊まりる
真っ暗だと怖いから
電池で付く明かりをかってきてつけると
作業ができるから朝まですることも


そんなことが続いたある日

ビルの別階にあるテナントの人がわざと帰らず残っていて
非常階段を使いここへ降りてきて陽菜を襲おうとした


その日はたまたまもう一人いたから良かったけど
いつものように一人だったらと思うと足がすくみ少しの間会社に行けずにいたら
社長が家で出来るなら在宅ワークにしてみたらって言ってくれて

会社へ行くのは会議や試作品を持っていくだけになっていた